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母から相続した貸家に借家人が居住中。弟との遺産分割も進まず、相続税の申告期限が迫り途方に暮れた

相続

相談者プロフィール

高橋美咲さん(仮)、42歳、神奈川県藤沢市在住。
地元の調剤薬局で薬剤師としてパート勤務(年収約320万円、勤続12年)。
夫(45歳・システムエンジニア)、長女(15歳・高校1年生)、長男(12歳・中学1年生)の4人家族。
4ヶ月前に母親(享年78歳)を脳梗塞で亡くし、実弟(39歳・独身)と二人で相続人となった。

相続財産の情報

東京都大田区の築55年木造2階建て貸家(土地約60坪、相続税評価額約4,500万円)。1階に70代夫婦が20年以上、2階に50代男性が15年居住中。預貯金約800万円。母は家賃収入で生活の一部を賄っていたが、建物の老朽化が進んでいた。

ご相談内容

美咲さんは、母の死後、葬儀や四十九日の対応に追われ、相続の話は後回しにしていました。遺品整理を始めた際に賃貸借契約書を発見し、母が大田区に貸家を所有していたことを改めて認識しました。当初は弟と「半分ずつにすればいい」と軽く考えていましたが、弟から「貸家は売って現金化できないの?」と聞かれ、初めて借家人がいる物件の複雑さに直面しました。

借家人への挨拶で物件を訪問した際、1階の高齢夫婦から「ここは終の棲家と思っています」と言われ、2階の男性も「引っ越しは考えていません」ときっぱり。建物の老朽化も目の当たりにし、途方に暮れました。夜、子供たちが寝た後にスマホで「相続 貸家 売却」「借家権 立ち退き」などを検索しましたが、法律用語が多く理解が追いつきませんでした。夫に相談しても「不動産屋に聞けばいいんじゃない?」と軽く返され、温度差を感じました。

そんな中、弟から「姉さん、俺は現金が欲しい。貸家を相続するなら、預貯金は全部もらってもいい?」とLINEが来ました。電話で話すと「借家人がいるなら姉さんが管理すればいい。俺は忙しいし無理」と一方的に言われ、自分だって仕事も子育てもあるのにと腹が立ちましたが、弟も結婚資金を貯めたいらしく、強く言えませんでした。

相続税の申告期限が10ヶ月以内と知り、既に4ヶ月経過していることに焦りを感じました。地元の不動産会社に相談すると「借家人付きだと買い手がつきにくい」と言われ、立ち退きについても「トラブルになるリスクがある」と警告されました。母を慕ってくれていた借家人たちを追い出すことへの罪悪感と、弟との関係悪化への不安で、週に2〜3回、午前2時頃に目が覚めるようになりました。薬局の先輩薬剤師から「早く専門家に相談した方がいい」とアドバイスされ、ある晩、娘から「お母さん、最近元気ないね」と声をかけられたことをきっかけに、法律相談窓口に予約の電話を入れました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

美咲さんの状況を詳しく伺い、まず相続税の申告期限までの時間的余裕を確認しました。基礎控除の範囲内で相続税は発生しない見込みでしたが、遺産分割協議を早期にまとめる必要がありました。

借家権付き物件の評価について、不動産鑑定士と連携して正確な時価を算定しました。借家権を考慮すると、実勢価格は相続税評価額の約60%程度となることが判明しました。この情報をもとに、弟さんとの遺産分割協議の具体的な選択肢を3つ提示しました。

第一案は、美咲さんが貸家を相続し、弟さんに預貯金800万円と代償金を支払う方法。第二案は、貸家を第三者に売却して現金化し、売却益を分割する方法。第三案は、貸家を投資家向けのオーナーチェンジ物件として売却し、早期現金化を図る方法です。

美咲さんは当初、母の遺志を継いで借家人に住み続けてもらいたいと考えていましたが、弟さんとの公平性や今後の管理負担を考慮し、第三案を選択しました。不動産投資会社数社に査定を依頼し、借家人の居住権を尊重しつつ購入を希望する投資家を見つけることができました。売却価格は約2,700万円となり、諸経費を差し引いた後、美咲さんと弟さんで約1,250万円ずつを分割しました。

売却にあたっては、借家人の方々に丁寧に事情を説明し、新しいオーナーが賃貸借契約を引き継ぐこと、家賃や契約条件に変更がないことを書面で保証しました。高齢夫婦の方は最初不安そうでしたが、「住み続けられるなら安心です」と理解を示してくださいました。相続税の申告も期限内に無事完了し、弟さんとの関係も修復の兆しが見えました。

相談者の声

相談するまでは、借家人がいる物件は売却できないと思い込んでいました。立ち退きをお願いするしかないのかと悩んでいましたが、オーナーチェンジという方法があることを教えていただき、借家人の方々に迷惑をかけずに解決できて本当に良かったです。

弟とは一時期ぎくしゃくしましたが、公平に分割できたことで関係も改善しました。専門家の方が間に入って客観的な評価をしてくださったおかげで、感情的にならずに話し合いができました。相続税の申告期限のことも、もっと早く知っていればと思いましたが、今回のサポートで期限内に全て完了できて安心しました。

夜中に目が覚めることもなくなり、子供たちにも「お母さん、元気になったね」と言われます。夫も「専門家に任せて正解だったな」と言ってくれています。一人で抱え込まず、早めに相談して本当に良かったです。

担当者のコメント

相続した不動産に借家権や借地権が付いているケースは、相続人の方々が最も悩まれる問題の一つです。特に今回のように相続人が複数いる場合、遺産分割の公平性と借家人の居住権保護の両立が課題となります。

美咲さんは当初、借家人に立ち退いてもらうか、自分が管理を続けるかの二択で考えておられましたが、オーナーチェンジという第三の選択肢をご提案できました。投資家向けに売却することで、借家人の方々の生活を守りながら、相続人間の公平な分割も実現できました。

相続は時間との勝負でもあります。申告期限を意識しながら、不動産の適正評価、遺産分割協議、借家人への配慮を並行して進める必要があります。また、兄弟姉妹間の感情的な対立を防ぐためにも、専門家が客観的な立場で介入することが有効です。借家権付き物件の相続でお悩みの方は、早めにご相談ください。必ず解決策が見つかります。