相談者様のプロフィール
中村健太郎さん(仮)、55歳、埼玉県川口市在住。
大手自動車部品メーカーの品質管理担当で、勤続32年。
うつ病発症前の年収は580万円、現在は退職により無収入。
妻(52歳・パート月収8万円)、長男(26歳・都内IT企業勤務・一人暮らし)、次男(23歳・大学4年生・就職活動中)の4人家族。
物件・ローンの情報
1997年に購入した築28年の一戸建て(4LDK)。
住宅ローン残債は約1,850万円。当初月12万円の返済を条件変更により8万円に減額。
ご相談の内容
健太郎さんは2022年春、会社で海外工場との品質統一プロジェクトを任されましたが、深夜の国際会議や厳しいスケジュールで体調を崩し、翌年2月にうつ病と診断されました。休職中は傷病手当金で何とか生活していましたが、復職の目処が立たず、2024年4月に早期退職を決断しました。
退職金800万円を受け取ったものの、治療費と生活費で徐々に減少していきました。妻のパート収入8万円が条件変更後の住宅ローン8万円とちょうど同額で、「妻の稼ぎが全部ローンに消える」現実に愕然としました。就職活動中の次男が「お父さん、俺が就職したらすぐお金入れるから」と言ってくれましたが、内定はなかなか決まりませんでした。
2024年11月、預金残高が100万円を切った時、健太郎さんは毎晩電卓を叩いて「あと何ヶ月持つか」と計算する日々。眠れない夜が続き、家族に申し訳ない気持ちで一杯でした。「28年も住んだこの街で、近所の人にどう思われるか」という不安も大きく、妻に「一度専門家に相談してみない?」と背中を押されるまで、なかなか決断できませんでした。
相談所からのご提案・解決までの流れ
初回相談では、健太郎さんが抱えていた「任意売却=即退去」「もう二度とローンが組めなくなる」といった誤解を丁寧に解消しました。実際には売却まで数ヶ月の期間があること、信用情報への影響も一定期間で回復することをご説明し、ご不安を和らげました。
物件査定の結果、川口市内の利便性の良いエリアで4LDKの広さがあることから、査定価格2,100万円での売却が見込めることが判明しました。残債との差額約250万円についても、債権者との交渉により無理のない分割返済計画を提案しました。
売却活動では、近隣への配慮を最優先に進めました。内覧は平日の昼間に限定し、看板設置も控えめにしました。幸い、同じ川口市内で子育て世帯を探していた購入希望者が現れ、売却開始から約2ヶ月で成約に至りました。引き渡しまでの3ヶ月間で、ご家族には同市内の2LDKアパートを見つけていただき、次男さんの大学卒業まで家族一緒に暮らせる環境を整えました。
相談者の声

最初は家を手放すことに強い抵抗がありました。28年間住み続けた我が家への愛着もありましたし、何より家族に申し訳ない気持ちで一杯でした。任意売却についても、ネットで調べただけでは分からないことが多く、相談するまでは「人生の終わり」のように感じていました。
でも、担当の方が親身になって話を聞いてくれて、私たち家族の状況を理解した上で最適な解決策を提案してくれました。売却後も同じ川口市内で暮らせることになり、次男も慣れ親しんだ環境で就職活動を続けられます。妻も「新しい生活の始まり」と前向きに捉えてくれて、家族の絆がより深まったように感じます。
病気の治療にも専念でき、最近は体調も安定してきました。もう少し回復したら、再就職も視野に入れています。もっと早く相談していれば、ここまで一人で悩むことはなかったと思います。
担当者のコメント

健太郎さんは病気による収入減少という、誰にでも起こり得る事情で住宅ローンの返済が困難になったケースでした。特に印象的だったのは、最後まで家族のことを第一に考えていらっしゃる姿勢でした。ご本人は「家族に迷惑をかけてしまった」と自責の念を抱えていましたが、ご家族の結束は非常に強く、みなさんで新しいスタートを切ろうという前向きな気持ちを持っていらっしゃいました。
うつ病などの精神的な病気は、ご本人だけでなくご家族にも大きな負担となります。住宅ローンの問題を一人で抱え込まず、早めにご相談いただくことで、より多くの選択肢の中から最適な解決策を見つけることができます。どんな事情であっても、必ず解決の道はあります。まずはお気軽にご相談ください。