隣地との境界が不明確で売却できず、測量費用100万円の見積もりに途方に暮れた2年間
相談者様のプロフィール
岩崎正夫さん(仮)、65歳、神奈川県藤沢市在住。
元地方公務員(市役所建築課)で現在は年金生活、月収18万円。妻の節子さん(63歳・元小学校教員・現在パート)、長男の隆志さん(38歳・IT企業勤務・世田谷区在住)、長女の真理子さん(36歳・専業主婦・船橋市在住・子ども2人)の4人家族。
2年前に独身だった兄を亡くし、群馬県高崎市の築35年木造平屋建て(土地約80坪)を相続。
ご相談の内容
兄の葬儀後、久しぶりに実家周辺を訪れた正夫さんは、隣の畑との境界が曖昧になっていることに気づきました。子どもの頃の記憶では「あの石垣の辺り」だったはずが、実際には境界標もなく不明確な状態でした。
売却を検討して地元の不動産会社3社に相談したところ、全社から「境界が不明確では売却困難。測量が必要」と指摘されました。測量会社からの見積もりは「隣接地が多いため80〜120万円」との回答で、年金生活の正夫さん夫婦には大きな負担でした。
元建築課職員として測量の重要性は理解していましたが、「測量してもすぐに売れる保証はない」「息子に頼りたいが親として情けない」という気持ちが錯綜しました。一方で空き家の維持費は年間18万円かかり続け、台風での修繕費15万円も発生。2年間で総額50万円以上の出費となり、妻からも「このままでは老後資金に影響する」と言われていました。
月1回の管理のための群馬往復も体力的・経済的負担となり、「境界問題で売却できない」「放置していたら将来トラブルになるかもしれない」という不安で夜も眠れない日が続いていました。長男から測量費用の援助を申し出られましたが、「息子に負担をかけるわけには」と躊躇し、専門家への相談を決意しました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
まず正夫さんの元公務員としての知識と現在の心境を理解し、段階的なアプローチを提案しました。
最初に現地調査を実施し、隣接地の状況と境界の推定位置を確認。畑の所有者は協力的で、隣家も境界確定に積極的であることが分かりました。測量費用については、隣接地所有者との費用分担交渉を提案し、特に境界確定により利益を得る隣家との協議を行いました。
また、測量会社との交渉により、作業工程の見直しで費用を80万円まで圧縮。さらに隣家が30万円の負担に同意したため、正夫さんの実質負担は50万円まで削減できました。測量と並行して売却活動を開始し、「田舎暮らし希望者向け」として農地転用可能性も含めてアピールしました。
境界確定後は登記も完了し、最終的に1,200万円での売却が成立。測量費用を差し引いても十分な売却益を確保でき、2年間の維持費負担からも解放されました。
相談者の声

建築課にいた経験から測量の必要性は分かっていましたが、いざ自分のこととなると費用負担の重さに悩んでしまいました。年金生活で100万円の出費は本当に大きく、息子に頼るのも申し訳なくて2年間も先延ばしにしてしまいました。
相談では私の立場を理解した上で、隣地所有者との費用分担という発想を教えてもらいました。特に隣家の方が境界確定を望んでいたことから、費用負担にも応じてもらえて助かりました。測量会社との交渉でも費用圧縮ができ、当初の予想より大幅に負担を軽減できました。
売却後は維持費の心配もなくなり、妻も安心しています。兄が選んだ土地を田舎暮らしを希望する若い夫婦に託すことができ、兄も喜んでいると思います。もっと早く相談していれば無駄な維持費を払わずに済んだのにと思いますが、結果的に満足のいく解決ができました。
担当者のコメント

境界不明確な不動産は売却が困難ですが、測量費用の負担を理由に問題を先送りされる方が多くいらっしゃいます。正夫さんのケースでは、元公務員としての知識がありながら、当事者になると冷静な判断が難しくなっていました。
重要だったのは隣接地所有者の協力と費用分担の交渉でした。境界確定は売主だけでなく隣地所有者にもメリットがあるため、適切な費用分担により双方の負担を軽減できます。また測量会社との交渉により作業内容を最適化し、コストを抑えることも可能です。
境界問題は放置するほど複雑化し、解決コストも上がる傾向があります。維持費負担を考慮すると、早期の専門的な対応が結果的に経済的メリットをもたらします。お一人で悩まず、まずは現状の正確な把握から始められることをお勧めします。
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