再婚相手の連れ子2人とは養子縁組をしていない。15年間家族として過ごしたが相続権がなく妻も罪悪感を抱えている

  • 相続

相談者様のプロフィール

中村博之さん(仮)、58歳、神奈川県横浜市港北区在住。
大手商社で管理職として35年勤務、年収950万円、来年定年予定。15年前に離婚後、10年前に真由美さん(55歳・パート勤務)と再婚。
現在の家族は妻、長女あかね(22歳・大学4年生)、妻の連れ子である石田健太(28歳・IT企業勤務)、石田翔太(25歳・公務員・既婚)の5人家族。連れ子2人とは養子縁組をしていない。
財産は自宅マンション3,800万円、預貯金2,200万円、退職金予定額2,800万円。

ご相談の内容

博之さんは真由美さんと再婚した際、真由美さんの息子2人(当時18歳と15歳)と養子縁組を結びませんでした。「もう大きいし、本人たちの意思を尊重したい」という判断でした。石田兄弟も博之さんを「お父さん」ではなく「博之さん」と呼びながらも、15年間良好な関係を築いてきました。

しかし、定年を控えて相続について考えるようになり、現在の財産が法定相続では妻と実娘のあかねにしか相続されないことに気づきました。石田兄弟は博之さんを実父のように慕っており、特に次男の翔太さんは結婚式で「博之さんがいてくれて本当に良かった」とスピーチしてくれました。

真由美さんも最近「あの子たちには申し訳ない気持ちがある」と口にするようになり、博之さんは「15年間一緒に暮らしてきたのに何も残せないのは不公平では」という気持ちと、「実子のあかねの取り分が減るのは」という迷いの間で悩んでいました。ネットで「養子縁組していない 相続権」と検索を繰り返したり、遺言書の書き方について書籍を購入したりしましたが、複雑で理解しきれずにいました。会社では部下の相談には乗るものの、再婚家庭の複雑さを同僚に相談しづらく、一人で抱え込んでいる状態でした。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず、博之さんが抱えていた誤解を整理しました。養子縁組をしていなくても、遺言書により連れ子に財産を残すことは可能であること、また生前贈与という方法もあることを説明しました。さらに、相続税の配偶者控除や基礎控除を活用すれば、税負担を抑えながら希望に沿った分配が可能であることをお示ししました。

具体的には、遺言書により石田兄弟それぞれに500万円ずつを遺贈し、残りを妻と実娘で法定相続分に従って分ける方法をご提案しました。また、博之さんの前妻との息子にも配慮し、年1回の食事の際に相続について率直に話し合うことを勧めました。

家族会議では、石田兄弟が「相続については期待していない」と言いながらも、博之さんの気持ちを理解してくれました。真由美さんも「15年間の感謝の気持ちを形にできる」と安堵の表情を見せました。最終的に、公正証書遺言を作成し、家族全員が納得できる相続プランを確定しました。

相談者の声

養子縁組をしていないと絶対に相続できないと思い込んでいましたが、遺言書という方法があることを知って安心しました。また、石田兄弟に財産を残すとあかねの相続分が大幅に減ると心配していましたが、相続税の仕組みを理解すると、そこまで影響がないことがわかりました。

家族会議を開くのは緊張しましたが、みんなで話し合えて良かったです。石田兄弟は「お金のことより、15年間家族として大切にしてもらったことが一番嬉しい」と言ってくれました。妻も罪悪感から解放されて、表情が明るくなりました。前妻の息子とも久しぶりに長時間話すことができ、お互いの気持ちを確認できました。

一人で悩んでいた時は複雑で解決不可能に思えましたが、専門家に整理してもらうことで、みんなが幸せになれる方法が見つかりました。定年後も家族仲良く過ごせそうです。

担当者のコメント

再婚家庭の相続問題は、法的な複雑さと感情的な配慮の両方が必要な難しいケースです。博之さんは石田兄弟への愛情と実娘への責任の間で悩まれていましたが、これは多くの再婚家庭が直面する課題です。

重要なのは、法的な選択肢を正しく理解した上で、家族全員の気持ちを大切にすることです。今回のケースでは、遺言書による遺贈と家族会議により、15年間築いてきた絆を大切にしながら相続問題を解決できました。再婚家庭では早めに相続について話し合うことで、家族の結束をより深めることができる好例だと思います。

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