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父が遺した再建築不可の実家。売れないと思い込んで悩んでいたが、専門業者の紹介で想定以上の価格で売却できた

相続

相談者様のプロフィール

小林真由美さん(仮)、45歳、神奈川県横浜市港北区在住。
総合病院の医療事務として勤務8年目、年収350万円。
夫(48歳・年収580万円)、長女(18歳・大学1年生)、次女(15歳・高校1年生)の4人家族。実母(72歳)は昨年軽度の脳梗塞を発症し、今年3月に有料老人ホームへ入居。

物件の情報

千葉県市川市の築58年木造2階建て住宅(延床面積約80㎡)。
接道幅1.8メートルの再建築不可物件。
40年前に父が購入し、5年前に他界。現在は母名義で空き家状態。固定資産税は年間12万円。

ご相談の内容

真由美さんの母は昨年11月に脳梗塞で倒れました。幸い後遺症は軽かったものの、一人暮らしの継続は難しいと判断し、横浜の自宅近くの有料老人ホームへの入居を決めました。そこで問題になったのが、母が住んでいた千葉の実家の処分でした。

3月下旬、地元の不動産会社3社に査定を依頼したところ、「300万円でも厳しい」「200万円前後」「500万円で出してみましょうか」とバラバラの回答。調べてみると接道が1.8メートルしかなく「再建築不可物件」であることが判明しました。インターネットで検索すると「買取業者に二束三文で買い叩かれる」「隣地を買い取って接道を確保すれば」など情報が氾濫し、何が正しいのか分からなくなりました。

夫からは「固定資産税を考えたら早く売ったほうがいい。300万円でも現金化できればマシ」と言われ、母からは電話口で「お父さんが一生懸命ローンを払って買った家なのに」と涙声で話されました。父の思い出が詰まった家を手放す罪悪感と、現実的な経済負担への不安に板挟みになり、夜中に何度も目が覚めるようになりました。

5月のゴールデンウィーク明け、固定資産税の納付書が届いた同じ週に、近隣から「雨樋が外れている」との連絡がありました。夫と見に行くと外壁の剥がれや庭の雑草も目立ち、このまま放置したら特定空き家に指定されるのではという不安が募りました。長女の大学の学費、次女も2年後には大学受験というタイミングで、教育費のピークがこれから来る時期。夫からは「お前の実家のことだから、お前が決めてくれ。でも娘たちの教育費もあるから、赤字は避けたい」と言われ、プレッシャーを感じていました。

職場の同僚に愚痴をこぼしたところ、「うちの親戚も似たような問題で専門家に相談して解決した」と聞き、5月下旬に不動産問題の専門相談窓口に電話をかけました。「正直に全部話そう。恥ずかしいことかもしれないけど、私は不動産のことが何も分かりません」という気持ちで相談に臨みました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず、真由美さんが持っていた誤解を丁寧に解きほぐすところから始めました。「再建築不可=違法建築」ではなく、建築当時は合法だったこと、再建築不可物件でもリフォームして住むことは可能なため、一定の需要があることを説明しました。また、相続税については評価額から見て基礎控除内で非課税になる可能性が高いこともお伝えしました。

次に、一般的な不動産会社では再建築不可物件の適正な販路を持っていないケースが多いことを説明し、再建築不可物件を専門に扱う買取業者と、リノベーション物件として販売実績のある不動産会社を紹介しました。同時に、隣地所有者への打診についても、専門家を介して交渉する方法があることをご案内しました。

6月上旬、再建築不可物件専門の買取業者A社と、リノベーション販売に強い不動産会社B社にそれぞれ査定を依頼しました。A社からは「買取価格480万円」、B社からは「リノベーション前提の投資家向けに販売する場合、650万円程度で売り出せる可能性がある」との回答がありました。

真由美さんは当初「早く手放したい」という気持ちが強かったのですが、B社の担当者から「この立地なら、古民家カフェや小規模オフィスとしてのリノベーション需要がある。少し時間をかけても適切な買い手を探しましょう」と提案を受け、B社に仲介を依頼することにしました。

7月中旬、B社の販売活動により、古民家リノベーションを手がける工務店経営者から購入希望の連絡がありました。「この地域で小さなギャラリー兼カフェを開きたい」という明確なビジョンを持った方で、価格は630万円で合意しました。

8月下旬に売買契約を締結し、9月末に決済・引き渡しが完了しました。売却代金から仲介手数料や登記費用などの諸経費を差し引いても、約580万円が手元に残りました。この資金は母の老人ホーム費用の一部として活用し、残りは真由美さん家族の教育資金として貯蓄することにしました。

相談者の声

相談する前は「再建築不可の物件なんて誰も買わない」と思い込んでいました。インターネットで調べれば調べるほど不安になり、300万円でも売れればいいほうだと諦めかけていました。でも、専門家の方に「再建築不可でも需要はあります」と言っていただき、本当に救われました。

最初に査定してもらった地元の不動産会社は、おそらく再建築不可物件の扱いに慣れていなかったのだと思います。専門の業者を紹介していただいたことで、想定の倍以上の価格で売却できました。しかも、買ってくださった方が「ギャラリー兼カフェにしたい」と具体的なビジョンを持っていて、父が大切にしていた家が新しい形で生まれ変わると思うと、罪悪感も和らぎました。

母に「ちゃんと売れたよ、お父さんの家、大事にしてくれる人に引き継げたよ」と報告できたことが何より嬉しかったです。母も「そう、よかったわね。お父さんもきっと喜んでいるわ」と安心してくれました。夫も「専門家に相談して正解だったな」と言ってくれ、長女も「お母さん、よく頑張ったね」と声をかけてくれました。

一人で抱え込まずに、早めに相談して本当によかったです。固定資産税を何年も払い続けたり、特定空き家に指定されたりする前に解決できて、精神的にも経済的にも楽になりました。

担当者のコメント

真由美さんは最初の相談時、「私は不動産のことが何も分かりません」と率直におっしゃっていました。その謙虚さと真摯な姿勢が、逆に適切な解決につながったと感じています。間違った情報に振り回されず、専門家の意見を素直に受け入れてくださったことが良い結果を生みました。

再建築不可物件は確かに一般的な物件より流通性は低いですが、だからといって「売れない」わけではありません。立地や物件の状態、そして何より適切な販路を選ぶことで、適正価格での売却は十分に可能です。今回のケースでは、リノベーション市場に精通した不動産会社を選んだことで、物件の価値を理解してくれる買い手と出会うことができました。

また、真由美さんが「父の思い出を大切にしたい」という気持ちと「現実的な経済問題」の両方を抱えていらっしゃったので、単なる金額だけでなく、買い手の購入目的にも配慮しました。結果として、物件を新しい形で活かしてくれる方に引き継げたことで、真由美さんの心の負担も軽くなったのではないかと思います。

空き家問題は時間が経つほど選択肢が狭まります。特に再建築不可物件の場合、建物の劣化が進むと買い手がさらに見つかりにくくなります。早めに専門家に相談し、複数の選択肢を比較検討することが大切です。また、一般的な不動産会社だけでなく、その物件特性に合った専門業者を探すことも重要なポイントです。