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7年放置した実家の相続登記ができず売却不可能に。娘の結婚資金にと考えていたが、弟とは疎遠で途方に暮れていた

空き家

相談者様のプロフィール

森田恵子さん(仮)、52歳、神奈川県藤沢市在住。
大手スーパーマーケットのパート社員として15年勤務。
夫(55歳・建設会社現場監督)、長男(28歳・独立)、長女(25歳・横浜在住)の4人家族。年収は約180万円で、夫の収入と合わせて堅実な生活を送っている。

物件の情報

千葉県木更津市にある実家(築50年・木造2階建て・土地約60坪)。
15年前に父が他界、7年前に母が他界してから空き家状態。登記簿上は父名義のまま。年間の固定資産税は約12万円。

ご相談の内容

恵子さんが実家の売却を考え始めたきっかけは、長女の美咲さんから「来年の春に結婚するかもしれない」という報告を受けたことでした。夫と「少しでも祝い金を出してやりたいな」と話していた矢先、7年間放置している実家のことが頭に浮かびました。

地元の不動産会社に電話したところ、「登記簿を確認したら、お父様の名義のままですね。相続登記がされていないと売却できません」と言われ、初めて事態の深刻さを認識しました。その週末、夫と一緒に15年ぶりに実家を訪問すると、庭は雑草だらけ、玄関ドアは錆び、窓ガラスは割れている箇所もありました。近所の方から「防犯上心配だから何とかしてほしい」と声をかけられ、恵子さんは胃が痛くなったそうです。

弟の健一さん(49歳・大阪在住)に15年ぶりに電話しましたが、「今さら何?俺は大阪で生活してるし、面倒なことに巻き込まないでくれ」と冷たい反応でした。「相続登記しないと売れないらしいの」と伝えると、「じゃあ姉さんが全部やってよ。ハンコ押すくらいならするけど、こっちに来いとか言わないでね」と投げやりな返事。その後、インターネットで「相続登記 やり方」などと検索しましたが、専門用語だらけで何から手をつけていいのか分からなくなりました。

決定的だったのは、木更津市役所から届いた「空き家の適正管理に関するお願い」という通知でした。「このまま放置すると特定空家に指定される可能性があります」という文言に、恵子さんはパニックになりました。夫に相談すると「俺は専門家じゃないから分からん」と言われ、長男からは「お母さん、それ早く何とかしないとまずいよ」と指摘されました。

夜、布団に入ると「このまま放置したらどうなるんだろう」「弟がもっと非協力的になったらどうしよう」という不安が頭をぐるぐる回り、眠れない夜が週に3回はありました。仕事中もレジを打ちながら「相続登記、どうしよう」という思いが頭の片隅にあり、釣り銭を間違えそうになったこともあったそうです。「父が亡くなった時にちゃんと手続きしておけば…」という後悔と、近所の方に迷惑をかけている罪悪感で胸が苦しくなり、藁にもすがる思いで当相談所に連絡されました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

初回相談では、恵子さんの状況を丁寧にお聞きし、まず相続関係を整理しました。父の相続時(15年前)と母の相続時(7年前)の2回、相続が発生していることを確認。現在の法定相続人は恵子さんと弟の健一さんの2名であることを明確にしました。

恵子さんは「兄弟で半分ずつと口約束してあるから、登記も自動的にそうなる」と誤解されていましたが、遺産分割協議書の作成が必要であることを説明しました。また、令和6年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく怠ると過料の対象になることもお伝えしました。ただし、過度に不安を煽らず、「今から対応すれば問題ありません」と安心していただきました。

次に、弟の健一さんとのコミュニケーションが課題でしたので、当相談所から健一さんに連絡を取り、状況を説明しました。健一さんは最初こそ渋っていましたが、「必要な書類はこちらで準備します。押印と本人確認書類の郵送だけお願いします」と具体的に伝えたところ、「それならやる」と協力を得られました。恵子さんが直接やり取りするストレスを軽減することができました。

提携している司法書士と連携し、戸籍謄本や住民票などの必要書類の収集を代行しました。恵子さんには最低限の書類取得のみお願いし、複雑な手続きは専門家に任せていただきました。遺産分割協議書は「土地建物を恵子さんが相続し、将来の売却益から健一さんに相応の金額を支払う」という内容で作成し、両者の合意を得ました。

相続登記完了後、物件の査定を行いました。築50年で老朽化が進んでいましたが、土地の立地が比較的良く、更地渡しを前提とすれば約800万円での売却が見込めることが分かりました。解体費用は約150万円と見積もられましたが、売却益から捻出できる範囲でした。

買主候補が見つかり、売買契約から決済まで約2ヶ月で完了。売却益から解体費用、司法書士費用、仲介手数料などを差し引き、残った約580万円を恵子さんと健一さんで290万円ずつ分配しました。恵子さんは7年分の固定資産税負担からも解放され、娘さんへの結婚資金援助も実現できました。

相談者の声

正直、最初は何から手をつけていいのか全く分かりませんでした。弟とは10年以上まともに話していなかったので、自分で連絡するのも憂鬱でした。相談所の方が間に入ってくださったおかげで、弟も意外とすんなり協力してくれて驚きました。

私は「相続登記は任意」だと思い込んでいて、「いつかやればいい」と先延ばしにしていました。でも義務化されていることを知って、本当に焦りました。もっと早く相談していればよかったと思います。

一番嬉しかったのは、娘の結婚式で「少しだけど援助できるよ」と笑顔で言えたことです。夫とも「ようやく肩の荷が下りたね」と話しました。毎年12万円の固定資産税を払い続けるストレスからも解放されて、本当にほっとしています。実家の仏壇も新しいお寺に移し、両親に「ちゃんと片付けたよ」と報告できました。

担当の方には、私の不安な気持ちに寄り添っていただき、専門的なことも分かりやすく説明してくださいました。一人で抱え込んでいた問題が、こんなにスムーズに解決するとは思いませんでした。本当にありがとうございました。

担当者のコメント

恵子さんのように、相続登記を放置してしまうケースは決して珍しくありません。特に兄弟姉妹が疎遠になっている場合、誰が主導して手続きを進めるべきか曖昧になり、結果として何年も放置されてしまいます。

今回のポイントは、弟さんとの関係調整でした。疎遠な家族同士が直接やり取りすると感情的になりやすいため、第三者が間に入ることで冷静な話し合いができました。また、「必要最低限の協力」を具体的に示すことで、遠方に住む相続人の負担感を軽減できました。

相続登記の義務化により、令和6年4月以降は過去の相続も含めて3年以内の登記が求められています。放置すればするほど相続人が増え、手続きが複雑化します。空き家をお持ちの方は、早めに専門家に相談されることをお勧めします。