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妻の実家に15年居住、850万円のリフォーム代を全額負担したのに離婚で何ももらえない?

離婚

相談者様のプロフィール

木村健一さん(仮)、48歳、神奈川県藤沢市在住。
中堅電機メーカーの営業課長として24年勤務、年収約720万円。
妻の美紀さん(46歳・パート事務員)、長男(19歳・大学生)、長女(16歳・高校生)の4人家族。
15年前から妻が母親から相続予定だった実家に同居し、健一さんが全額負担で約850万円の大規模リフォームを実施。
しかし、夫婦関係の悪化により離婚を切り出され、妻から「家は私が相続したものだから財産分与はない」と告げられた。

ご相談の内容

健一さんが妻の実家に同居を始めたのは、長男の小学校入学を控えた33歳のときでした。義母から「この家はいずれ美紀のものだから一緒に住まないか」と提案され、通勤にも便利な立地だったため決断しました。しかし築40年超の家は老朽化が激しく、同居から2年後、健一さんは「子どもたちのためにも、義母のためにも」と貯金500万円とリフォームローン350万円の合計850万円をかけて大規模改修を実施しました。

義母が亡くなった3年前から夫婦関係が悪化し、今年2月に妻から離婚を切り出されました。健一さんも関係修復は難しいと感じていましたが、妻が「家は私が相続したものだから、あなたには財産分与はない」と言い切ったことに大きなショックを受けました。深夜にスマホで「離婚 リフォーム代 返還」と検索しても情報はバラバラで、「850万円が全部無駄になるのか」と胃が重くなりました。

ある夜、一人暮らしの長男に思わず離婚のことを打ち明けると、「お父さんも無理しなくていいよ」と言ってくれましたが、「家はどうなるの?」と聞かれて言葉に詰まりました。

同期の同僚に相談すると「それ、絶対弁護士に相談した方がいい案件だって」と真剣な顔で言われ、翌日の昼休みに「藤沢市 離婚 弁護士」と検索しました。眠れない夜が続き、「リフォーム代850万円、ローン残債120万円、貯金は今80万円しかない」と頭の中で数字が何度も回りました。

娘の大学進学も2年後に控えており、「早く決着つけないと」と焦りが募る中、妻から「来月中に離婚届を出したい。家のことはこっちで処理するから、あなたは何も請求しないで」と迫られ、相談を決意しました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

初回相談では、健一さんが持参されたリフォームの領収書や契約書を詳細に確認しました。まず、「妻が相続した家だから自分には権利がない」という誤解を解き、婚姻期間中に夫婦の協力で形成された財産は財産分与の対象になること、リフォームによる家の価値向上分も考慮される可能性があることを説明しました。

不動産鑑定士に依頼して、リフォーム前後の家の価値を評価しました。リフォーム前は約1200万円、現在は約1850万円と算定され、リフォームによる価値向上分は約650万円と判明しました。この価値向上分について、健一さんの全額負担による寄与を主張する方針を立てました。

弁護士を通じて妻側と交渉を開始しました。当初、妻側は「実家だから財産分与の対象外」と主張しましたが、リフォームによる価値向上の客観的データと、健一さんの貯金とローンで全額負担した事実を提示し、価値向上分の2分の1にあたる325万円の財産分与を求めました。交渉は難航しましたが、調停を視野に入れた粘り強い話し合いの結果、最終的に妻側が280万円を健一さんに支払うことで合意に至りました。また、リフォームローンの残債120万円も妻側が負担することになり、健一さんの実質的な取り分は400万円となりました。

離婚成立後、健一さんは会社近くの1LDKマンションを賃貸し、新生活をスタートされました。養育費の支払いと娘との定期的な面会についても合意書に明記し、円満な形で離婚手続きを完了しました。

相談者の声

相談前は、妻の実家だから自分には何の権利もないと諦めかけていました。ネットで調べても「寄与分」という言葉が相続の話なのか離婚の話なのか混乱していましたし、弁護士費用も高いだろうと躊躇していました。

実際に相談してみて、リフォームで家の価値が上がった分は評価されるということを初めて知りました。不動産鑑定士の評価書があったおかげで、妻側も感情的にならず現実的な話し合いができたと思います。850万円全額は戻ってきませんでしたが、400万円を確保できたことで新生活のスタート資金になりましたし、何より「自分の貢献が認められた」という気持ちが救いになりました。

娘との関係も心配していましたが、月に2回の面会と養育費の支払いについてきちんと合意書を作成できたので、今でも良好な関係を保てています。調停まで行かずに解決できたことも良かったです。会社に知られることもなく、精神的な負担も最小限で済みました。

担当者のコメント

配偶者の相続財産に居住し、リフォーム代を一方が負担したケースは、財産分与で揉めやすい典型例です。多くの方が「配偶者の実家だから自分には権利がない」と誤解されていますが、婚姻期間中のリフォームによる価値向上分は財産分与の対象として評価される可能性があります。

今回のケースでは、健一さんが領収書や契約書をきちんと保管されていたこと、不動産鑑定による客観的な評価を提示できたことが、交渉を有利に進める鍵となりました。感情的にならず、データに基づいて冷静に話し合いを進めたことも成功要因です。

離婚に際しては、財産分与だけでなく、お子様との関係維持も重要です。養育費や面会について明確に合意書に残すことで、離婚後のトラブルを防ぐことができます。リフォーム代の負担や配偶者の相続財産への居住でお悩みの方は、諦める前に一度専門家にご相談されることをお勧めします。早期の相談が、より良い解決につながります。