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一人親方で収入激減。税金を3年以上滞納し、自宅に差押え登記がされてしまった

相談者プロフィール

相談者の情報
岡村勝利さん(仮)、58歳、埼玉県熊谷市在住。
型枠大工の一人親方として35年以上働いてきた。
5年前に膝を痛めてから仕事が減り、年収は約280万円まで落ち込んでいる。
妻(56歳)はスーパーでパート勤務、年収約90万円。
長男(32歳)は群馬県高崎市で家庭を持ち、次男(28歳)は東京都内で一人暮らしをしている。

物件・ローンの情報
1996年に建てた木造2階建ての注文住宅。
土地60坪、建物35坪。住宅ローン残債は約380万円で、完済まであと4年、月々の返済額は約6万8,000円。
固定資産税3年分、住民税2年6ヶ月分、国民健康保険税2年分、消費税1年分を滞納しており、延滞金を含めた総額は約152万円。
3ヶ月前に市から自宅の土地・建物に差押え登記がなされた。

ご相談の内容

岡村さんは型枠大工として、30年以上腕一本で家族を養ってきました。28年前、自分の手で建てた自宅は、岡村さんにとって職人としての誇りそのものでした。棟上げの日、まだ小学生だった息子たちを肩車して骨組みを見せたことを、今でも覚えています。

状況が変わり始めたのは5年前でした。現場で左膝の半月板を損傷し、手術とリハビリで3ヶ月間休業しました。復帰後も以前のようには動けず、高所作業や長時間の立ち仕事が難しくなりました。一人親方は体が資本です。若い職人に仕事を取られることが増え、年収は450万円から徐々に下がっていきました。

固定資産税の支払いを「仕事が入ったら払おう」と後回しにしたのが、滞納の始まりでした。一人親方は収入の波が大きく、入金が遅れると支払いが滞ります。翌年には住民税と国民健康保険税も払えなくなり、さらに消費税の納税義務も発生しました。市役所と税務署、両方から督促状が届くようになりました。

分納の相談には何度も足を運びました。「月2万円ずつ払います」と約束しては破り、また相談に行くことを繰り返しました。窓口の担当者の目が、回を重ねるごとに冷たくなっていくのがわかりました。「来週必ず払います」と言いながら払えない。自分でも情けなかったですが、ないものは払えませんでした。

妻には3年間、滞納のことを隠していました。「なんとかなる」と言い続けていましたが、1年半前、ついに全容を打ち明けました。妻は「なんでもっと早く言ってくれなかったの」と泣きました。その日から妻はパートのシフトを増やそうとしましたが、体力的に週4日が限界でした。

3ヶ月前、市役所から届いた通知を見て、血の気が引きました。自宅の土地と建物に差押え登記がなされた、という内容でした。このまま放置すれば、公売にかけられる可能性があることを知りました。競売は聞いたことがありましたが、税金滞納による「公売」という制度があることは初めて知りました。

息子たちには相談できませんでした。長男には1歳になる孫がいます。次男は東京で忙しく働いています。迷惑をかけたくないという思いと、こんな状況を知られたくないという思いがありました。夜中に目が覚めて、「このまま死んだら保険金で払えるのか」と考えることもありました。

1ヶ月前、妻が「このままじゃ家を取られる。誰かに相談しよう」と切り出しました。岡村さんは「俺が建てた家だ。人に売るなんて」と抵抗しましたが、妻に「意地を張ってる場合じゃない」と諭されました。インターネットの使い方がわからない岡村さんに代わり、妻がスマートフォンで相談先を調べ、任意売却という方法があることを知りました。公売で何もかも失うくらいなら、自分の意思で決着をつけたい。そう思い、相談を決意しました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

ご相談を受け、まず岡村さんの状況を整理しました。自宅にはすでに市から差押え登記がなされており、このまま放置すれば公売にかけられる可能性がありました。住宅ローン残債は約380万円、滞納税金は約152万円、合計で約532万円の債務があります。一方、土地の市場価値は1,200〜1,400万円程度と見込まれ、売却によって全ての債務を完済できる見通しが立ちました。

最初に取り組んだのは、市役所および税務署との交渉です。差押え登記がなされている状態では、通常の売却手続きが困難になります。任意売却を進める意思があること、売却代金から滞納税金を優先的に支払うことを説明し、売却完了までの間、公売手続きを保留してもらえるよう交渉しました。複数の窓口との調整が必要でしたが、売却の見通しが立っていることを示すことで、協力を得ることができました。

次に、住宅ローンの債権者である金融機関に連絡しました。残債は約380万円で、売却価格から十分に完済できる見込みがあったため、交渉はスムーズに進みました。

販売活動では、熊谷市内で60坪の土地を探している買主を中心にアプローチしました。建物は築28年で価値がほぼありませんでしたが、土地の広さと整形地であることが評価され、2ヶ月後に1,280万円で売却が決まりました。売却代金から住宅ローン残債約380万円、滞納税金約152万円を完済し、仲介手数料などの諸費用を差し引いても、岡村さんの手元には約700万円が残りました。

新居は熊谷市内の2DKの賃貸アパートを見つけました。家賃は月5万5,000円で、住宅ローンの返済額より1万円以上安くなりました。岡村さんご夫妻は、手元に残った資金を老後の生活資金として確保しつつ、新たな生活をスタートすることができました。

相談者の声

相談に行く前は、差押え登記がされたらもう売却できないと思っていました。また、任意売却は住宅ローンを滞納した人だけが使える方法だと勘違いしていました。税金滞納でも任意売却ができると知ったときは、少し希望が見えた気がしました。

28年住んだ家を手放すのは、正直つらかったです。自分の手で建てた家です。庭の柿の木は、長男が小学生のときに一緒に植えたものでした。引っ越しの前日、妻とその木を見ながら「よく頑張ったね」と言い合いました。家はなくなりましたが、あの日々は消えません。

一番ほっとしたのは、息子たちに迷惑をかけずに済んだことです。売却が決まってから2人に事情を話しました。長男は「なんで早く言ってくれなかったんだ」と怒りましたが、「でも解決できてよかった」と言ってくれました。次男は「親父、無理すんなよ」と電話をくれました。心配をかけましたが、隠し続けなくてよかったと思います。

今は2DKのアパートで妻と2人で暮らしています。前より狭くなりましたが、掃除も楽だと妻は言っています。手元に残ったお金があるので、膝の具合を見ながら、できる範囲で仕事を続けるつもりです。同じように税金を滞納して悩んでいる人がいたら、差押えされる前に相談してほしいと思います。俺みたいに差押えされてからでも遅くはないですが、早いほうがいいに決まっています。

担当者のコメント

岡村さんが最初にいらしたとき、作業着姿で、日焼けした節くれ立った手が印象的でした。言葉少なでしたが、「自分で建てた家」という言葉を何度も口にされていたのが記憶に残っています。職人として誇りを持って生きてこられた方なのだと感じました。

一人親方の方は、会社員と違って収入が不安定なため、税金の支払いが滞りやすい傾向があります。また、国民健康保険税や消費税など、会社員にはない税負担もあります。岡村さんのように、複数の税金を同時に滞納してしまうケースは珍しくありません。

今回のケースでは、すでに差押え登記がなされていましたが、任意売却によって公売を回避することができました。差押え登記があっても、債権者との交渉次第で売却は可能です。ただし、公売手続きが進んでしまうと、交渉の余地が狭まります。督促状が届いた段階、遅くとも差押え予告の段階でご相談いただければ、より多くの選択肢を検討できます。

税金滞納で悩んでいる方、特に自営業や一人親方の方は、一人で抱え込まずに早めにご相談ください。体が動かなくなってからでは遅いです。ご自身の誇りを守りながら、生活を立て直す方法を一緒に考えましょう。