相談者様のプロフィール
【相談者の情報】
宮本 恵子さん(仮)、58歳、埼玉県さいたま市緑区在住。
医療事務としてクリニックに正職員勤務。年収約280万円(手取り月収18万円程度)。
別居中の夫(61歳)との離婚協議中。
長男(32歳・独立)、長女(28歳・独立)の子供2人は、それぞれ独立して別世帯を持っている。
【物件・ローンの情報】
2004年に新築で購入した4LDKの戸建て(築21年)。
住宅ローン残債は約2,200万円。月々の返済額は約11万2,000円。
夫婦合算収入による連帯債務型ローン。
ご相談の内容
恵子さんが自宅を購入したのは2004年、長男が小学校に入学する前年のことでした。当時、恵子さん一人の収入では希望の物件のローン審査が通らず、夫・浩二さんの収入と合算する連帯債務型で住宅ローンを組みました。さいたま市緑区の閑静な住宅街に建つ4LDKの戸建ては、子供2人を育てるのに十分な広さで、20年近く家族の生活の場となっていました。
しかし、子供たちが独立してから夫婦の関係は少しずつ変わっていきました。会話が減り、定年後の生活設計について意見が折り合わず、2022年の秋に夫・浩二さんが家を出ました。恵子さん自身も関係修復よりも前に進む気持ちが強く、引き止めませんでした。
問題は翌月から始まりました。これまで浩二さんの口座から自動引き落としされていた住宅ローンの支払いが滞り始めたのです。恵子さんはそれまでローンの詳細を浩二さんに任せきりにしており、自分が「連帯債務者」であるという事実を、離婚協議の中で初めて行政書士から告げられました。連帯債務では、夫が払わない場合、妻にも全額の返済義務が生じます。月々の返済額は約11万2,000円。手取り18万円の恵子さんには、到底払い続けられる金額ではありませんでした。
長女の沙織さんに相談すると「お母さん、それは無理だよ」とすぐに言われました。長男の大樹さんは「売ればいいじゃないか」と言いましたが、恵子さんにはその言葉が受け入れられませんでした。この家で子供たちを育てた、ここを手放したら自分には何も残らない気がした、という思いが強く、当初は「どうにか住み続ける方法」ばかりを探していました。
インターネットで「親子間売買」という方法を知り、長男の大樹さんに打診したこともありました。しかし大樹さんは既婚で、妻との生活もある中で「買えなくはないけど……」と曖昧な返答が続き、現実的には難しいと感じていました。
2023年12月、金融機関から「期限の利益喪失予告」という書類が届きました。意味がわからずスマートフォンで検索すると、競売や自己破産といった言葉が次々と出てきました。怖くて途中でやめることを繰り返していたある日、差押えの予告に近い内容の封筒がまた届きました。恵子さんはその封筒を3日間、テーブルの上に置いたまま開けられませんでした。仕事中も頭の片隅がざわついて集中できず、夜は布団の中で「競売になったら近所に知られる」「子供たちに迷惑をかけるのか」という考えが頭を巡り、眠れない夜が続きました。
ご提案内容と解決までの流れ
ご相談いただいた際、恵子さんはまず「親子間売買で家を守りたい」というご意向をお持ちでした。ご状況を整理すると、連帯債務型ローンの整理には元夫・浩二さんの同意も必要であること、また長男の大樹さんが購入した場合でも、親族間売買は金融機関の融資審査が厳しく、一般的な住宅ローンが通りにくいという現実がありました。大樹さんご自身も既婚で住宅購入の意思が明確ではなく、沙織さんも収入面でローン審査は難しい状況でした。
まず恵子さんに、任意売却と競売の違いをご説明しました。競売になると市場価格より大幅に低い価格での売却となり、引越し費用も手元に残りません。一方、任意売却であれば市場に近い価格での売却が可能で、売却後の残債についても分割交渉の余地があります。任意売却=信用情報に傷がつく=人生が終わる、という思い込みをお持ちでしたが、競売と比較すれば、生活再建の選択肢がはるかに多く残ることをご理解いただきました。
次に、連帯債務型ローンの整理に向けて、離婚協議中の元夫・浩二さんとの合意形成が必要であることをご説明しました。浩二さんも滞納を続けることで自身の信用情報に傷がつくリスクを抱えており、任意売却による解決は双方にとって合理的な選択でした。交渉の結果、浩二さんからも売却への同意を得ることができました。
売却活動では、学区の良さやさいたま市緑区の住環境、駅からの距離感を踏まえ、子育て世帯をターゲットに売り出しました。結果として売却価格は2,500万円となり、残債2,200万円を完済した上で、諸費用を差し引いた後も恵子さんの手元に一定の資金が残る形となりました。
相談者の声

差押えの文書が届いた時は、何から手をつければいいのかまったくわかりませんでした。離婚の問題とローンの問題が同時に来て、頭の中を整理できないまま毎日が過ぎていました。夜も眠れない日が続いて、このまま競売になってしまうのかと本当に怖かったです。
相談する前は、任意売却というのはよほど追い詰められた人がするものだと思っていました。信用情報に傷がついて、この先ローンも何も組めなくなると思い込んでいたので、相談することを決めるまでに電話番号を入力しては消してを何度も繰り返しました。
実際に相談してみると、状況を一つ一つ整理してもらえて、今自分がどこにいるのかがわかるようになりました。元夫との交渉も自分ではとても無理だと思っていたのですが、間に入っていただいて話が進んだことには本当に助かりました。
子供たちと話す中で、長女の沙織から「お母さんが元気でいてくれる方が大事」と言われた時に、自分がこの家に執着しすぎていたことに気づきました。家を守ることよりも、借金のない生活でもう一度スタートしたい気持ちの方が強くなっていきました。売却後に手元にお金が残ったことは正直予想していなかったので、驚きました。今は収入に合った賃貸に移り、気持ちが楽になっています。相談して、本当に良かったです。
担当者のコメント

恵子さんのケースは、夫婦合算収入による連帯債務型ローンと離婚が重なった、複雑なご状況でした。連帯債務型は、離婚後も両者に返済義務が残るため、どちらか一方が支払いを止めると、もう一方に全額請求が来ます。埼玉県でも夫婦合算でローンを組まれるケースは多く、離婚時に初めてその仕組みを知る方が少なくありません。
ご相談の最初、恵子さんは家を手放したくないという気持ちが強く、親子間売買の可能性を探っておられました。しかし、お子さんたちの状況や意向を丁寧に確認していく中で、現実的な選択肢を一緒に整理することができました。解決策を押しつけるのではなく、恵子さん自身が納得して決断できるよう、時間をかけて対話することを大切にしました。
住宅ローンの問題は、放置すると競売という結果につながります。差押えの通知が届いた段階でもまだ間に合うケースがほとんどですので、一人で抱え込まずにまず現状をお話しください。連帯債務や離婚絡みの案件など、複雑な状況であっても対応実績がございます。フリーダイヤル(0120-963-281)または無料メール相談からお気軽にご連絡ください。
