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息子の開業資金の連帯保証人になり、店の閉店とともに返済義務を負った。

相談者様のプロフィール

相談者の情報
橋本久美子さん(仮)、52歳、埼玉県川口市在住。
医療事務として正社員勤務(クリニック・勤続11年)。
年収は約310万円。10年前に夫を病気で亡くし、以来シングルで家計を担っている。同居の母(78歳・要介護1)と二人暮らし。
長男(28歳)と長女(24歳)はともに別居。

物件・ローンの情報
2004年に夫婦で購入した一戸建て(2階建て・3LDK・築21年)。
夫の死後、久美子さんがローンを引き継ぐ形で返済を続けてきた。
住宅ローン残債は約1,420万円(変動金利・残り18年)。
月々の返済は約7万8,000円。現在の推定売却価格は1,550〜1,700万円前後。

ご相談の内容

夫が亡くなってからの10年間、久美子さんは母の介護と仕事を両立させながら、ローンの返済を一度も滞らせずに続けてきました。生活に余裕はなかったものの、川口市内のその家は夫との思い出が詰まった場所であり、仏壇もある。手放すという選択肢は、長い間、頭の中にありませんでした。

状況が変わったのは3年前、長男の達也さんが勤めていた飲食店を辞め、川口市内でラーメン店を開業したいと言ってきたときのことです。達也さんは日本政策金融公庫から300万円の融資を受けることになり、久美子さんに連帯保証人への署名を求めました。「連帯保証人はただのサインだ」という認識で、深く考えずに応じました。達也さんへの信頼と、「応援してあげたい」という気持ちが先にありました。

しかし開業から1年、店の売上は伸び悩み、達也さんは消費者金融2社からも追加の借り入れをしていたことが後から判明しました。それから半年後、店は閉店し、達也さんは自己破産を検討していると打ち明けてきました。久美子さんに届いたのは、連帯保証人として公庫への残債230万円の返済を求める通知でした。

月々の住宅ローン7万8,000円に加え、公庫への分割返済として月3万円が加わった時点で、手取り約21万円の収入は住居費・返済・母の介護費用・生活費を支えるには足りなくなっていました。貯金の取り崩しが続き、残高が70万円を切ったころ、住宅ローンの支払いが初めて数日遅れました。その後、2ヶ月連続の滞納が発生し、銀行から「期限の利益喪失の可能性」を示す書面が届きました。

書面を受け取った夜、久美子さんは達也さんに電話しました。達也さんは「お母さんに迷惑をかけた」と泣き、「俺がなんとかする」と言いました。ただ、自己破産手続き中の達也さんに経済的な余力がないことは、久美子さんにもわかっていました。電話を切ったあと、久美子さんは一人で数字を計算し直しましたが、どう見ても出口が見えなかったと言います。

それまで状況を知らなかった長女に相談したのはそのころです。長女は「なんでお兄ちゃんの保証人になったの」と言い、その場は険悪な雰囲気になりました。久美子さんは「達也を責めないでほしい」と答えましたが、長女の言葉は頭から離れませんでした。家族の関係がぎこちなくなっていくことが、金銭的な問題と同じかそれ以上に重くのしかかっていました。

インターネットで「住宅ローン 滞納 シングル 保証人」などのキーワードで調べるうち、任意売却という選択肢を知りました。ただ、「52歳でこういう状況になっている自分が相談していいのだろうか」という気持ちがあり、問い合わせるまでにもう少し時間がかかりました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

最初の面談で、久美子さんの状況を整理するところから始めました。住宅ローンの滞納状況、公庫への連帯保証債務の返済状況、母の介護状況、そして今後どのような生活を希望しているかを丁寧に確認しました。

まず確認が必要だったのは、売却価格と残債・諸費用の関係です。推定売却価格が1,550〜1,700万円であるのに対し、住宅ローン残債は約1,420万円。売却価格によっては通常売却での完済も理論上は考えられますが、仲介手数料や各種費用を含めると手元にほぼ残らない水準であること、また現時点で滞納が発生し保証会社への移管が視野に入っている状況を踏まえ、債権者との交渉を通じた任意売却の枠組みで進めることが久美子さんの状況に合っていると判断しました。

久美子さんが特に不安を示していたのは、78歳・要介護1の母との転居先の問題でした。「高齢者と同居していると賃貸は借りられないのでは」という懸念を持っておられましたが、久美子さん本人の勤続11年・安定した収入という条件は賃貸審査において評価される要素です。川口市内で介護サービスへのアクセスが確保できるエリアを中心に、高齢者同居に対応できる物件の情報収集を並行して進めました。

公庫への連帯保証債務については、住宅ローンとは別の問題として整理しました。任意売却で住宅ローンを解消することと、公庫への返済義務は切り離して対応できることをご説明し、任意売却後も引き続き現行の分割返済を維持することで対応できる見通しをお伝えしました。達也さんの自己破産手続きとも別に進められることも確認しました。

売却活動においては、久美子さんの仕事と介護のスケジュールに配慮し、内覧対応は週末に集中させる形で調整しました。手続きの節目ごとに状況をわかりやすく説明し、久美子さんが「何が起きているかわからない」という状態にならないよう意識しました。

最終的に1,630万円での売却が成立し、住宅ローン残債1,420万円と諸費用を精算した後、わずかながら手元に残る形でのクロージングとなりました。転居先は川口市内の2LDKの賃貸物件で、介護事業所からも近く、母の通所サービスの継続にも支障のない立地を確保できました。

相談者の声

相談の電話を入れるまで、正直かなり迷いました。52歳でこんな状況になって相談に来る人間だと思われるのが嫌で、なかなか動けなかったです。でも実際に来てみたら、担当の方が何も責めるような話をしなかったので、思っていたより話しやすかったです。

連帯保証人の問題と住宅ローンの問題が別々に整理できると聞いたとき、少し頭が整理された気がしました。相談前は「保証人の借金がある状態では任意売却なんてできないのでは」と思っていたので。公庫への返済は今も続いていますが、住宅ローンの7万8,000円がなくなっただけで、月々の家計の圧迫感がかなり違います。

母を連れて引っ越せるかどうかも心配でしたが、川口市内で介護サービスに近い物件を探してもらえて、結果的に今の場所のほうが母の通所サービスに通いやすくなりました。夫との思い出がある家を離れることへの気持ちの整理はそれなりに時間がかかりましたが、仏壇は新居にも持ってきています。

長女とは、引っ越しが落ち着いてから少し話ができるようになりました。完全に元通りとはいかないですが、少しずつ関係が戻ってきている感じはあります。達也については、今は自分のことをちゃんとやってほしいと思っています。

担当者のコメント

久美子さんのご相談で印象的だったのは、「連帯保証人になったのは自分の判断だから、誰かのせいにはできない」という言葉を最初の面談で話されたことです。責任感の強い方だということが伝わりましたし、だからこそ一人でここまで抱えてこられたのだとも思いました。

連帯保証に関する誤解は、相談者の方に多く見られます。連帯保証人は主債務者と同等の返済義務を負うという点で、保証人とは法的に異なる重い立場です。ただ、今回のように住宅ローンとは別の債務として整理できるケースもあり、すべてが一度に解決しなくても、優先順位をつけて対応していくことで状況は変えられます。

また、高齢の親御さんと同居しているために転居をためらっているという方は、久美子さん以外にも多くいらっしゃいます。賃貸への転居が難しいと思い込んでいるケースも少なくありませんが、安定した収入と勤続年数があれば対応できる物件は十分に存在します。「動けない理由」と思っていたことが、実は解決できることであるケースも多いので、まず一度ご相談いただければと思います。