相談者様のプロフィール
佐藤麻衣さん(仮)、42歳、千葉県船橋市在住。
保険会社事務職として8年勤務、年収380万円。中学2年生の長女・りのちゃんと2人暮らし。
2021年に離婚成立。
父・正夫さん(68歳)は群馬県在住の元公務員。
物件・ローンの情報
2018年購入の中古戸建て(4LDK・築12年)、購入価格3,200万円。
住宅ローン残債2,100万円。所有権は麻衣さん40%、元夫30%、父30%の複雑な共有状態。
父の持分は2021年に元夫の借金立替により取得。
ご相談の内容
麻衣さんの悩みは2020年秋から始まりました。夫の雄介さんが経営する自営業が行き詰まり、麻衣さんに内緒でカードローンや知人からの借金を重ね、総額800万円の借金があることが発覚したのです。娘の将来を考え離婚を決意しましたが、住宅ローンが残る中での離婚は複雑で、当初は別居という形で雄介さんは家を出ました。
2021年春、雄介さんの借金で住宅ローンの返済も滞り始め、銀行から督促が届くようになりました。麻衣さんの父・正夫さんが「娘と孫を路頭に迷わせるわけにはいかない」と退職金から500万円を拠出して借金を立替えました。この際、父の意向で不動産の持分30%を取得することになり、麻衣さん、元夫、父の3人の複雑な共有名義となったのです。
2021年末に正式に離婚が成立しましたが、元夫の名義が登記に残り続けていることが麻衣さんの大きな精神的負担となりました。毎朝ポストから郵便物を取る時、未だに「川崎」宛の迷惑メールが届くことがあり、その度に複雑な気持ちになりました。娘から「お母さん、なんで表札にお父さんの名前があるの?」と聞かれた時は、どう答えてよいか分からず言葉に詰まったのです。
父には感謝していましたが、月に一度の「様子を見に来る」という訪問が次第に重荷に感じるようになり、自分の家なのに気を遣わなければならない状況に疲れを感じていました。娘が高校受験を控えた2024年秋、「娘が成人する前に、この複雑な状況を整理したい」と強く思い、インターネットで調べた末に任意売却の相談を決意されました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
ご相談では、麻衣さんの「元夫の名義を外したい」という強いご希望を最優先に、現実的な解決策を検討しました。当初は麻衣さんが不動産担保ローンを組んで単独所有にする方向で進めましたが、父の正夫さんにも「過去に多額の支援をした」という所有権への強い主張がありました。
親子間での協議が難航する中、麻衣さんの本当の希望が「元夫の名義を外すこと」であることを再確認し、発想を転換しました。麻衣さんの所有権を優先するのではなく、住宅ローンの完済と所有者の単独化をゴールとし、買主を父の正夫さんにすることをご提案したのです。
この方法により、元夫の持分も含めて不動産全体を正夫さんが買い取る形となり、全員の同意を得ることができました。売買価格については贈与税の問題を避けるため、不動産鑑定士による適正な評価額を基準に設定しました。正夫さんは過去の立替金と今回の売買代金の両方を支払う形となりましたが、確実な所有権を得ることができ満足されました。
売却後も麻衣さんと娘さんは同じ家に住み続けることができ、正夫さんに適正な賃料を支払いながら生活する賃貸借契約を締結しました。これにより住環境を変えることなく、複雑な権利関係を整理することができたのです。
相談者の声

最初は他の不動産会社にも相談しましたが、こちらの担当の方の対応が格段に違いました。私の複雑な家族関係や感情面まで理解してくださり、何度も足を運んで親身に相談に乗っていただけました。
当初は自分名義にしたいという気持ちが強かったのですが、担当者の方から「元夫の名義を外すことが一番の目的ですよね」と言っていただき、目が覚めました。結果的に父が所有者となりましたが、元夫とは完全に縁が切れて精神的にとても楽になりました。
父との関係も、今回の売買を通じて適度な距離感を保てるようになりました。家賃を払うことで対等な関係になれた気がします。娘も表札から元夫の名前が消えて喜んでいます。豊富な知識で複雑な問題をスムーズに解決していただき、本当に感謝しています。
担当者のコメント

離婚後の共有不動産の問題は、法的な複雑さに加えて感情的な要素も絡む難しいケースです。麻衣さんの場合、お父様の支援があったことでさらに権利関係が複雑化していました。
重要だったのは、麻衣さんの真の希望を見極めることでした。表面的には「自分名義にしたい」とおっしゃっていましたが、本質的には「元夫との関係を断ち切りたい」ということが最優先でした。この点を明確にしたことで、現実的な解決策を見つけることができました。
このような複雑な共有関係でお悩みの方は、一人で抱え込まず早めにご相談ください。法的な手続きだけでなく、家族関係の調整も含めて総合的にサポートいたします。感情的になりがちな親族間の協議も、第三者が介入することで建設的に進めることができます。