離婚で収入合算ローンが破綻。親子間売買を希望したが子どもへの負担を考慮し任意売却を選択

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相談者様のプロフィール

相談者の情報
高橋由美子さん(仮)、54歳、東京都練馬区在住。
スーパーマーケットのパート勤務6年、年収180万円。離婚協議中で現在別居状態。
長男(26歳・IT企業勤務)、長女(24歳・看護師)、次男(22歳・大学生)の3人の子ども。

物件・ローンの情報
2008年購入の中古一戸建て(3LDK・築25年)、購入価格2,800万円。
夫婦の収入合算(夫450万円+妻見込み120万円)でローンを組み、住宅ローン残債1,400万円、月々返済額約9万円。
現在2ヶ月滞納中。

ご相談の内容

由美子さんの人生が大きく変わったのは2023年春のことでした。夫の健太郎さんから突然「もう一緒にやっていけない。離婚したい」と告げられたのです。原因は価値観の相違と、お互いの両親の介護問題での意見対立でした。結婚当初から専業主婦として家庭を支えてきた由美子さんは、慌ててパートの時間を増やしましたが、54歳からの就職活動は厳しく、スーパーのパートが精一杯でした。

2008年に現在の家を購入した際、由美子さんの収入だけでは審査が通らず、将来的にパートで働く前提での収入合算でローンを組んでいました。しかし実際にはその後も専業主婦を続け、離婚話が進む中で住宅ローンの問題が浮上しました。月9万円の返済は年収180万円では到底無理で、銀行からも「単独での借り換えは困難」と言われました。

2024年夏、住宅ローンの滞納が2ヶ月続き、銀行から催促の手紙が届くようになりました。由美子さんは子どもたちに初めて状況を打ち明けました。長男の大輔さんは「お母さん、僕がローンを引き継げないかな?」と提案してくれましたが、次男の翔太さんは「就職も決まってないのに、そんな重い話をされても困る」と困惑した様子でした。

25年間住んだ家への愛着は人一倍強く、夜中に一人でリビングに座り、「この家を失ったら、私には何が残るんだろう」と涙が止まらない日もありました。長男に親子間売買の話を持ちかけた時、彼の困った表情を見て「26歳の息子に、こんな重い負担をかけてしまって申し訳ない」という罪悪感に襲われました。銀行からの督促状が届く度に手が震え、「差押え」という文字を見た時は頭が真っ白になったのです。

相談所からのご提案・解決までの流れ

ご相談では、由美子さんの「家を手放したくない」という強い気持ちを理解した上で、親子間売買の可能性を検討しました。長男の大輔さんの年収や勤務状況を詳しく伺い、金融機関での住宅ローン審査の可能性を探りました。しかし、26歳での1,400万円のローンは負担が重く、また長女や次男との公平性も課題となりました。

何度かの面談を重ねる中で、由美子さんご自身から「息子に重い負担をかけるのは親として正しいのでしょうか」というお言葉をいただきました。そこで発想を転換し、親子間売買ではなく任意売却によって新しい人生をスタートすることをご提案しました。

お子様方とも個別にお話しする機会を設け、それぞれの本音を聞かせていただきました。長男は「母親を助けたい気持ちはあるが、正直不安もある」、長女は「お母さんには身軽になって第二の人生を楽しんでほしい」と率直な思いを語ってくれました。

任意売却を進めるにあたり、売却価格の査定を複数の不動産会社に依頼し、住宅ローンの残債を上回る価格で売却できることが分かりました。売却後の住まいについても、由美子さんの収入に見合った賃貸物件を一緒に探し、新生活の準備をサポートしました。売却は3ヶ月で完了し、ローン完済後に手元資金も確保できました。

相談者の声

最初は絶対に家を手放したくないと思っていました。25年間の思い出が詰まった家だし、子どもたちがいつでも帰って来られる実家でありたいという気持ちが強かったんです。親子間売買の相談をしたのも、なんとか家を残したい一心でした。

でも担当者の方に「本当に息子さんのためになるでしょうか」と問いかけられた時、はっとしました。息子に1,400万円の借金を背負わせることが、本当に親としての愛情なのかと。子どもたちとも話し合う中で、私が家に執着しすぎていることに気付けました。

実際に売却してみると、借金がなくなって思っていたよりお金も手元に残りました。今は駅に近い1Kのアパートで一人暮らしをしていますが、掃除も楽だし生活費も抑えられて、精神的にとても楽になりました。子どもたちも「お母さん、すっきりして良かったね」と言ってくれます。家への執着を手放して、本当に良かったと思っています。

担当者のコメント

由美子さんのケースは、離婚に伴う収入減少で住宅ローンの返済が困難になった典型的な事例でした。最初は親子間売買を強く希望されていましたが、お話を重ねる中で、ご自身の真の幸せとお子様方の将来を冷静に考え直していただくことができました。

親子間売買は一つの選択肢ですが、若い世代に重い負担を課すリスクもあります。今回は任意売却により、由美子さんが経済的にも精神的にも新しいスタートを切ることができました。お子様方との関係も、むしろ以前より良好になったとお聞きしています。

住宅ローンでお困りの際は、一つの解決策に固執せず、様々な選択肢を検討することが大切です。時には手放すことが、新しい幸せへの第一歩となる場合もあります。感情的にならず、冷静に将来を見据えた判断をしていただければと思います。

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