体調不良で収入減少、代位弁済通知が到着。5年間音信不通の元夫との共有名義で売却に悩む
相談者様のプロフィール
相談者の情報
原田裕子さん(仮)、47歳、東京都武蔵野市在住。
医療事務の派遣社員として3年勤務、年収220万円。体調不良により勤務日数減少中。
2019年に離婚、長男(19歳・大学生)、長女(17歳・高校生)と3人暮らし。母親(72歳)の介護も担っている。
物件・ローンの情報
2015年購入の中古マンション(3LDK・築18年)、購入価格4,200万円。
元夫との共有名義(50%ずつ)。住宅ローン残債2,800万円、4ヶ月滞納により代位弁済が実行され一括請求中。
元夫とは離婚後5年間音信不通状態。
ご相談の内容
裕子さんの人生が大きく変わったのは2023年秋のことでした。原因不明の体調不良に悩まされるようになり、めまいや倦怠感、頭痛が続き、派遣の医療事務の仕事も体調が悪い日は休まざるを得なくなりました。収入が不安定になる中、2024年初頭には同居していた母・静江さんが転倒し大腿骨を骨折、要介護2の認定を受けました。
仕事と介護の両立に追われる中でさらに体調が悪化し、介護施設の利用料や医療費も家計を圧迫しました。2024年5月、ついに住宅ローンの返済ができなくなりました。銀行に相談しましたが「共有名義人である元夫の同意が必要」と言われ、5年間音信不通の元夫に連絡を取ることもできず、問題を先送りしてしまいました。
2024年9月初旬、保証会社から「代位弁済通知書」が届きました。裕子さんは「代位弁済」という言葉の意味が分からず、書類を何度も読み返しました。「一括返済」「2,800万円」という文字を見た瞬間、頭が真っ白になりました。長男の拓也さんに相談することも考えましたが、「大学生の息子にこんな話はできない」と躊躇し、夜中に一人でキッチンに座り通知書を見ながら「私はなんてダメな母親なんだろう」と自分を責める日が続きました。
長女のさやかさんから「お母さん、最近元気ないね。大丈夫?」と心配される度に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、「このままでは家を失って、子どもたちに迷惑をかけてしまう」という恐怖が常に頭から離れませんでした。インターネットで調べて任意売却という方法があることを知りましたが、「元夫の協力が得られなければ意味がない」という不安を抱えながらも、「子どもたちのために頑張らなければ」と最後の希望をかけて相談の電話をかけました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
まず代位弁済の意味と今後の流れについて詳しくご説明しました。代位弁済とは、裕子さんに代わり保証会社が住宅ローン全額を金融機関に一括返済することで、その後は保証会社から一括返済を求められる状態です。放置すると競売手続きに進むため、早急な対応が必要でした。
幸い武蔵野市は売却相場が高いエリアで、残債を上回る価格での売却が見込めることが分かりました。しかし最大の課題は5年間音信不通の元夫の協力を得ることでした。裕子さんは「元夫に頭を下げるのは屈辱的」と感じていましたが、お子様方が間に入ってくれることになりました。
長男の拓也さんが父親に連絡を取り、状況を説明してくれました。最初は元夫も自身の持分の権利主張をしていましたが、「子どもたちの住まいを失うわけにはいかない」という思いから、最終的に売却に協力していただけることになりました。お子様方の説得もあり、元夫は持分放棄に近い形での協力を約束してくれました。
売却活動では、武蔵野市の立地の良さと管理の行き届いたマンションであることをアピールし、3ヶ月で買主が決定しました。売却代金でローンを完済し、諸費用を差し引いても若干の手元資金を確保することができました。売却後は同じ学区内の賃貸マンションへの転居をサポートし、お子様方の学校生活に支障がないよう配慮しました。
相談者の声

代位弁済通知が来た時は本当にパニック状態でした。一括で2,800万円なんて絶対に払えませんし、どうしたらいいのか全く分からませんでした。代位弁済という言葉も初めて聞きましたし、このまま放置したら競売になると聞いて震えが止まりませんでした。
一番困ったのは、元夫との連絡手段がないことでした。離婚してから一度も話していないのに、こんな時だけ協力をお願いするのは本当に辛かったです。でも担当者の方に「お子様方から連絡を取ってもらうのはどうでしょうか」と提案していただき、息子が間に入ってくれました。
元夫も最初は「自分の権利もある」と言っていたようですが、息子から「お母さんが本当に困っている。子どもたちのためにも協力してほしい」と説得してもらい、最終的に協力してくれることになりました。売却できただけでなく、ローンを完済して少しお金も残り、本当にほっとしています。子どもたちも同じ学区内に引っ越せたので、生活への影響も最小限で済みました。
担当者のコメント

裕子さんのケースは、体調不良による収入減少と代位弁済という二重の困難を抱えた事例でした。特に離婚後長期間音信不通だった元夫との共有名義という点で、解決が困難な状況でした。
重要だったのは、お子様方が両親の橋渡し役となってくれたことです。離婚で夫婦関係は終わっても、子どもにとっては両方とも大切な親です。今回はお子様方の説得により、元夫も最終的に協力的な姿勢を示してくれました。
代位弁済通知が届いた場合、競売まで時間的余裕は限られています。感情的な問題よりも、まずは現実的な解決策を優先することが重要です。共有名義の問題を抱えている方は、関係が悪化する前に早めの相談をお勧めします。時間が経つほど解決が困難になる傾向があります。
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