相談者プロフィール
相談者の情報
安藤真紀さん(仮)、39歳、神奈川県相模原市在住。
食品メーカーの製造ラインオペレーター(契約社員)として7年間勤務。
年収は約280万円。 長男(12歳・小学6年生)、母(67歳・同居)の3人暮らし。
5年前に離婚し、長男の親権を持つ。元夫からの養育費(月4万円の取り決め)は離婚2年目から途絶えている。
母は2年前に脳梗塞を発症し、要支援2の認定を受けてデイサービスを利用中。
物件・ローンの情報
2019年に中古で購入した3LDK(築22年)の分譲マンション。
購入価格2,180万円。住宅ローン残債は約1,820万円。
月々の返済は約6.5万円(ボーナス払いなし)。
管理費・修繕積立金は月額約2.8万円。
ご相談の内容
安藤さんは、5年前の離婚を機に母と長男の3人で暮らし始め、離婚から1年後に中古マンションを購入しました。当時は自身の収入に加えて元夫からの養育費月4万円、母の年金月6.5万円があり、無理のない返済計画を立てていました。しかし、離婚から2年が経った頃に元夫からの養育費が途絶え、連絡も取れなくなりました。月4万円の収入減は家計に大きな影響を与えましたが、安藤さんはパートから契約社員への登用を受けて収入を増やし、何とかやりくりを続けていました。
状況がさらに厳しくなったのは、2023年秋に母の節子さんが脳梗塞で入院してからです。入院費用の自己負担分約12万円の出費に加え、退院後はデイサービスの利用で月約8,000円の固定支出が新たに発生しました。さらに2024年8月にはマンションの大規模修繕に伴い修繕積立金が約5,000円値上がりし、管理費と合わせた月額が約2.8万円に増加しました。食料品や光熱費の値上がりも重なり、毎月の収支は赤字に転落、貯蓄は30万円を切るところまで減っていきました。
2025年2月に住宅ローンの返済が初めて遅れ、翌月、翌々月と滞納が続きました。管理費も2ヶ月分の滞納が生じました。銀行からは督促の書面が届き、管理会社からも電話が入るようになりましたが、安藤さんは知らない番号からの着信に出ることができなくなっていました。5月に届いた「期限の利益喪失予告通知」を読んで初めて事態の深刻さを理解し、その夜からスマホで「住宅ローン 払えない マンション」「任意売却 マンション 管理費滞納」などを繰り返し検索しました。
安藤さんには相談できる相手がほとんどいませんでした。元夫との連絡は途絶えており、職場にも事情を話せる相手はいません。母にはこれ以上の心配をかけたくないという思いがあり、ローンの滞納は伝えていませんでした。離婚後ずっと「自分でどうにかする」と決めてやってきた安藤さんにとって、人に助けを求めること自体が大きなハードルでした。
安藤さんが一番つらかったのは、長男の陸くんが来春の中学入学を楽しみにしている姿を見ることでした。陸くんは小学校の友達と同じ中学に進む予定で、「サッカー部に入りたい」と話していました。「この家にいられなくなったら、この子の学校はどうなるのか」という不安が常に頭の中にありました。離婚のときに一度、陸くんの生活環境を大きく変えてしまった経験があり、「もうこれ以上、この子の生活を振り回したくない」という思いが安藤さんの中にはありました。
5月のある土曜日、長男が友達の家に遊びに行き、母がデイサービスに出かけた午前中、安藤さんはリビングで督促状と通知書を前に「もう一人では無理だ」とはっきり感じたそうです。その日の午後、スマホで当相談所のサイトを見つけ、相談フォームから連絡をいただきました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
初回の面談では、安藤さんの状況と不安を丁寧にお聞きすることから始めました。安藤さんは終始緊張した様子で、「管理費も滞納しているので、自分のようなケースでは相談しても無駄ではないか」と心配されていました。まず、管理費の滞納分は売却代金から精算できるケースが多いことをお伝えし、マンションの任意売却でも管理費滞納が障害にはならないことを説明しました。
安藤さんはまた、「年収280万円のシングルマザーがローンを組んだこと自体が間違いだった」と自分を責めていました。購入当時の収入状況と返済計画を一緒に確認したところ、養育費が予定通り支払われていれば返済に問題はなかったことが明らかでした。複数の想定外の事情が重なった結果であり、購入の判断自体に問題があったわけではないことをお伝えしました。
安藤さんの最大の希望は、長男の陸くんが小学校の友達と同じ中学に進学できるよう、同じ学区内で暮らし続けることでした。この点を最優先に、売却後の住まい探しを並行して進めました。
物件の査定を行った結果、市場価格は約1,400万円と見込まれ、残債約1,820万円との差額は約420万円でした。加えて、管理費の滞納分約5.6万円(2ヶ月分)も売却代金から精算する必要がありました。債権者である銀行との交渉では、安藤さんの収入状況、母の介護にかかる費用、養育費が途絶えている事情などを整理した資料を作成し提出しました。交渉の結果、残債については月額1万円からの分割返済に応じていただけることになりました。
売却活動では、マンションの管理組合や近隣に事情が伝わらないよう、広告の掲載範囲を限定して進めました。約2ヶ月半の活動を経て、1,380万円で成約に至りました。引き渡し時期は陸くんの小学校卒業後の翌年3月末に設定し、同じ相模原市中央区内で3人で暮らせる2LDKの賃貸物件(家賃5.8万円)を見つけることができました。月々の住居費はローン6.5万円+管理費等2.8万円の合計9.3万円から、家賃5.8万円+残債分割1万円の合計6.8万円に軽減され、母のデイサービス費用や日々の生活費を含めても収入の範囲内で生活を維持できる家計になりました。
相談者の声

相談フォームを送信するまでに何度も文章を消したり書き直したりしました。自分の状況を文字にすること自体がつらくて、何を書けばいいのかもわからなかった、というのが正直なところです。管理費も2ヶ月分滞納していたので、こんな状態で相談していいのかという気持ちもありました。
最初の面談で、管理費の滞納があっても任意売却は進められると聞いたとき、少し気持ちが楽になりました。それまでは、ローンの滞納と管理費の滞納が二重に重なっていて、もうどうにもならないと思い込んでいたので。あと、私がずっと気にしていた「ローンを組んだのが間違いだった」という点について、「購入の判断自体は問題なかった」と言ってもらえたことは、思った以上に救いになりました。自分で自分を責め続けていたので。
息子が同じ学区の中学に通えるように引越し先を探してもらえたのが、一番ありがたかったです。息子には離婚のときに一度つらい思いをさせているので、これ以上の変化を押しつけたくなかった。引越し先が決まって、息子に「中学は今の友達と一緒だよ」と伝えたとき、息子が「よかった」と言ったあの一言で、相談してよかったと心から思いました。
今振り返ると、もっと早い段階で誰かに話していればよかったと思います。一人で抱え込んでいた期間は、何も解決しないまま不安だけが大きくなる時間でした。同じように悩んでいるシングルマザーの方がいたら、一人で全部背負わなくていいんだと伝えたいです。
担当者のコメント

安藤さんは、離婚後の生活を自分一人の力で立て直してきた方です。パートから契約社員に登用され、母親の介護と子育てを両立しながら、住宅ローンの返済も続けてこられました。養育費の途絶え、母親の入院、修繕積立金の値上げと、複数の要因が短期間に重なったことで返済が困難になりましたが、安藤さんの家計管理や生活設計に問題があったわけではありません。
今回のケースで特に配慮したのは、安藤さんが抱えていた自責の念を和らげることでした。シングルマザーの方は、住宅ローンの問題を「自分の選択が間違っていた」と捉えてしまいがちですが、状況の変化は誰にでも起こり得ることです。相談の場では、まず安藤さんの判断が当時の状況に照らして合理的だったことを一緒に確認するところから始めました。
マンションの任意売却では、管理費・修繕積立金の滞納処理が特有の問題として加わりますが、売却代金からの精算で解決できるケースがほとんどです。管理費の滞納があるから相談できないと考えている方もいらっしゃいますが、むしろ滞納が長引くほど延滞金が膨らみます。マンションにお住まいでローンの返済にお悩みの方は、管理費の問題も含めて、早めにご相談いただければと思います。
