相談者プロフィール
相談者の情報
倉持 誠一さん(仮)、51歳、埼玉県さいたま市浦和区在住。
設備工事会社に配管工として勤務。勤続18年。年収約480万円。
妻・恵子さん(49歳・医療事務フルタイム勤務、年収約230万円)、次男(19歳・大学1年・自宅から通学)との3人家族。
長男(23歳)は社会人として別居中。
物件・ローンの情報
2016年に購入した投資用ワンルームマンション(東京都足立区・築約29年・22㎡)。
投資用ローン残債は約1,100万円。月々の返済は42,000円。管理費・修繕積立金が月12,000円。
2023年3月から空室が続いており、毎月54,000円の持ち出しが発生。カードローン残債は約45万円。
ご相談の内容
倉持さんが投資用ワンルームを購入したのは2016年、43歳のときでした。職場の同僚から「管理は業者任せで手間がかからない」「足立区は再開発で資産価値が上がる」「家賃保証があるから空室リスクもない」と聞かされ、不動産投資会社の営業担当者と面談。そのまま頭金なし・フルローンで1,380万円の物件を購入しました。
当初はサブリース契約による家賃保証があり、月々の手出しは数千円程度で収まっていました。しかし2020年、サブリース会社から「保証賃料を引き下げたい」と申し出があり、月75,000円から62,000円に減額。2022年にはサブリース契約自体が解除され、自分で賃貸管理会社を探して切り替えることになりました。管理会社の担当者から「この築年数とこの賃料設定では入居者の確保が難しい」と率直に言われ、初めて「自分が何を買ったのか」を実感し始めました。
2023年3月、入居者が退去しました。賃料を70,000円から段階的に62,000円まで引き下げ、内覧対応も続けましたが、契約には至りません。気づけば空室のまま14ヶ月が経過し、持ち出しの累計は約75万円を超えていました。この穴埋めのために使い始めたカードローンの残債も45万円に膨らんでいました。
事態が表面化したのは2024年夏、妻の恵子さんが家計の通帳を確認したときです。「なんでこんなにカードの引き落としが増えてるの」と聞かれ、倉持さんはその場でマンションの状況とこれまでの持ち出し額をすべて話しました。恵子さんは「なんで今まで黙ってたの」と言い、その日の夜は会話がありませんでした。
翌週末、恵子さんから「早く売ったほうがいい。赤字を垂れ流し続けるほうがおかしい」と言われました。倉持さんには「今売ると損失が確定してしまう」という強い抵抗感がありましたが、反論できる材料もありませんでした。その後も「もう少し待てば入居者が見つかるかもしれない」という考えと「このまま毎月お金を捨て続けることになる」という現実の間で数ヶ月間、判断を先送りにしていました。
相談を決めたのは、恵子さんの「このまま3年空室が続いたら持ち出しだけで200万円になる。今すぐ損を確定させるのとどっちがましか計算してみたら」という言葉がきっかけでした。実際に電卓を叩いて数字を並べたとき、倉持さんは「もう判断しなければいけない」と思い、相談窓口に問い合わせを送りました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
ご相談を受け、まず倉持さんの状況を整理しました。投資用ローン残債約1,100万円に対して物件の推定売却価格は830〜900万円程度であり、売却後に200〜270万円程度の残債が残る見込みです。加えてカードローン残債が約45万円あるため、物件の売却と残債の処理を合わせて対応する必要がありました。
ステップ① 債権者(信販系ローン会社)への任意売却の打診
投資用不動産ローンであっても、債権者の合意が得られれば任意売却は可能です。競売になれば回収額がさらに低下するリスクがあることを踏まえ、ローン会社に対して任意売却での解決を提案しました。交渉の結果、任意売却への合意を取り付けることができました。
ステップ② 売却活動と価格設定
足立区内の類似物件の市場動向を調査し、870万円を売り出し価格として設定しました。投資用物件の購入を検討している投資家層に向けたアプローチを中心に進め、約6週間で850万円での売却が成立しました。
ステップ③ 売却後の残債処理
売却代金850万円をローン返済に充当した後、残債は約250万円となりました。この残債については、倉持さんの収入状況をもとにローン会社と分割返済の交渉を行い、月々の負担が現実的な範囲に収まる返済計画を合意しました。一括返済を求められることはありませんでした。
ステップ④ カードローンの整理
カードローン残債45万円については、売却後の家計収支を踏まえて返済スケジュールを整理しました。投資用物件の持ち出し(月54,000円)がなくなることで毎月の収支に余裕が生まれ、カードローンの返済は通常の返済を続けることで対応できる見通しになりました。
相談者の声

相談する前は、「投資用ローンは住宅ローンと違って任意売却が難しい」という情報をどこかで読んでいたので、そもそも自分のケースは対応してもらえないと思っていました。でも実際に相談してみたら、投資用でも債権者との交渉次第で進められると教えてもらえて、まず「相談してよかった」と思いました。
売却後に残った残債も一括返済しなければいけないと思い込んでいたので、分割での返済交渉ができると聞いたときは正直驚きました。「損を確定させたくない」という気持ちは今も多少ありますが、毎月54,000円の持ち出しが止まって、妻との会話が普通に戻ったのが一番大きかったです。
同じ物件を買った職場の同僚には「まだ持っておいたほうがいい」と言われていましたが、今思えばあの判断を先延ばしにしていた時間が一番もったいなかったと思っています。次男が卒業するまでに家計を安定させるという目標は、ようやく現実的になってきました。
担当者のコメント

投資用ワンルームの相談は、住宅ローンの相談とは少し異なる難しさがあります。「売ると損が確定する」という心理的な抵抗が強く、判断を先送りにしている間にも毎月の持ち出しが続いてしまうケースが多いためです。倉持さんも、ご自身で電卓を叩いて「このまま3年続けたら持ち出しだけで200万円になる」という数字を出したことが、相談への一歩につながっていました。
投資用不動産ローンの任意売却について、「住宅ローンとは違うから難しい」と思い込んでいる方は少なくありません。実際には債権者との交渉次第で対応できるケースがあり、売却後の残債も必ずしも一括返済が求められるわけではありません。
空室が長期化している投資用物件を抱えている場合、「もう少し待てば」という判断が続くほど手元の資金が減っていきます。状況を整理して判断するだけでも、一度ご相談いただけると選択肢が明確になります。
