相談者のプロフィール
【相談車様の情報】
福島健一さん(仮)、42歳、埼玉県川口市在住。
フリーランスWEBデザイナーとして独立8年目。
妻・由紀さん(40歳・パート勤務)、長男(14歳・中学2年)、長女(10歳・小学4年)との4人家族。
【住宅・ローンの情報】
2018年に新築一戸建てを購入。
購入価格は3,980万円で、住宅ローン残債は約3,650万円(変動金利・35年ローン)、月々の返済額は約108,000円。
相談時点での推定売却価格は約3,100万円で、約550万円のオーバーローン状態。
カードローン残債は約85万円。
ご相談の内容
健一さんは34歳で前職の制作会社を退き、フリーランスのWEBデザイナーとして独立。人脈を活かして着実に仕事を増やし、独立3年目には年収600万円台に乗せました。収入の約65%を占めていた主要取引先の都内EC系コンサル会社とは、「外注というより社内デザイナーに近い」と感じるほどの関係で、安定した継続案件が毎月入っていました。この収入を背景に、2018年に妻の「子どもが大きくなる前に庭のある家に住みたい」という希望を叶える形で、川口市内の新築一戸建てを購入しました。
転機は2023年春に訪れました。主要取引先が突然の事業縮小と内製化方針を発表し、健一さんへの発注は「今期末で一旦終了」と告げられました。「一旦」という言葉を信じ、他の取引先の開拓を後回しにしていましたが、終了後も再開の連絡は届きませんでした。半年後、担当者のSNSで取引先が別のデザイン会社と業務提携したことを知り、待ち続けていた再開の可能性が消えたことを悟りました。
新規営業を始めたものの、単価の低いスポット案件しか獲得できず、月収は20〜30万円台まで落ち込みました。当初は「半年もすれば仕事は戻る」と自分に言い聞かせ、貯蓄を切り崩しながら返済を続けました。しかし2024年に入り、貯蓄残高が80万円を下回ったころ、「これは長期化する」と認識し始めました。
同年6月、初めてローンの返済を1ヶ月延滞しました。銀行からの着信を2度無視した後に出て「今月は少し遅れます」と告げ、翌月にまとめて支払いましたが、このとき初めて「もう限界に近いかもしれない」と感じました。その後も返済できない月が続き、カードローンで補填する悪循環に陥っていきました。
妻の由紀さんには深刻な状況を伝えられずにいました。「仕事が少し減っている」とは告げていたものの、数字の実態は隠していました。深夜に目が覚め、ローン残債・カードの残高・今月の見込み収入の3つを頭の中で計算し続け、答えが出ないまま夜が明ける、という日が続いていました。長男が「高校どこ受けようかな」と言った夜は特に眠れませんでした。受験費用のことが頭をよぎったからです。
「住宅ローン 払えない 自営業」と検索したのは2025年の2月、深夜のことでした。競売に関する記事に行き着き、そこから任意売却という選択肢を知りました。ただ「任意売却すれば残債はすべて消える」と誤解していたこと、「相談すると即座に手続きが始まる」という思い込みがあったこと、また「自己破産しないと任意売却はできない」という誤った情報を複数のサイトで目にしていたことから、なかなか行動に踏み出せませんでした。
相談を決意したのは、問い合わせを入れた当日の朝、由紀さんに「最近ずっと元気ないけど、私に言えないことなの?」と聞かれたことがきっかけです。健一さんはそこで初めて現状のほぼすべてを話しました。由紀さんは怒るでも泣くでもなく、「そっか。で、どうするの?」と言いました。その一言で、健一さんはその日のうちに相談フォームを送信しました。
ご提案・解決までの流れ
初回の相談では、まず健一さんが「任意売却すれば残債はゼロになる」と思い込んでいた点を丁寧に説明するところから始めました。任意売却は残債を消すのではなく、競売を回避しながら市場価格に近い価格で売却することで、残債額を最小化する手続きであること、自己破産とは別の選択肢であること、また相談がそのまま手続き開始にはならないことをお伝えし、健一さんの緊張が少し和らいだのを確認してから、具体的な資産・負債の状況を整理しました。
住宅ローン残債約3,650万円に対し、推定売却価格は約3,100万円。差額は約550万円のオーバーローン状態でした。この残債約550万円については、売却後も支払い義務が残ることを説明した上で、債権者である金融機関と分割返済の条件交渉を行う方針をご提案しました。カードローン残債約85万円についても、住宅ローンとは別に整理する必要があることを確認しました。
健一さんが「子どもの学区を変えたくない」と話していたことを踏まえ、川口市内、かつ現在の小学校・中学校の通学区域内で賃貸物件を探すことを並行して進めました。フリーランスという職業柄、収入証明の提出が難しいケースがある点については、直近の確定申告書・取引実績・今後の受注見込みを資料としてまとめ、賃貸審査への対応をサポートしました。
売却活動においては、健一さんが在宅で仕事をしていることを考慮し、内覧の日程調整を柔軟に対応しました。債権者である金融機関への任意売却承諾の申請、売却価格の協議、残債の分割返済に関する条件交渉まで、手続きの各段階で状況をご説明しながら進めました。最終的に市場価格に近い条件での売却が成立し、競売による大幅な価値毀損を避けることができました。残債約550万円については、健一さんの現在の収入水準に応じた現実的な分割返済の条件で金融機関と合意しました。
相談者の声

任意売却を調べ始めたとき、残債がゼロになると思い込んでいたので、最初に「売っても約550万円の返済は残ります」と聞いたときは正直、頭が真っ白になりました。でも、「では競売になったらどうなるか」を数字で比べて見せてもらったとき、任意売却を選ぶ方が自分にとってはるかにマシだとわかりました。判断できたのは、感情論ではなく数字で説明してもらえたからだと思います。
妻には長い間、本当のことを話せていませんでした。話したとき、怒られると思っていたんですが、「どうするの?」と言われて。その一言で、逃げるのをやめようと思いました。
引っ越しは同じ川口市内で、子どもたちの学校は変わりませんでした。長女は「部屋は小さくなったけど、引越しって意外と楽しいね」と言っていました。正直、そんなふうに受け止めてくれるとは思っていなかったです。
仕事の方は、まだ以前の水準には戻っていません。ただ、毎月10万円以上のローン返済がなくなったことで、月々の収支の圧迫感がかなり変わりました。残債の分割返済は続いていますが、額が毎月の収入に見合っているので、以前のようにカードで補填するという状況はなくなっています。フリーランスは続けるつもりです。
担当者のコメント

福島さんの場合、問題の本質は「収入が下がったこと」ではなく、「主要取引先1社への高い依存度がリスクとして顕在化したこと」でした。フリーランスの方で、同様の状況に陥るケースは少なくありません。
相談にいらっしゃった時点で、カードローンによる補填が約85万円まで膨らんでいました。この状態が続いていれば、住宅ローンだけでなく、カードローンの返済も立ち行かなくなるのは時間の問題でした。任意売却という選択肢を取り得る時間的な余裕が、まだ残っていたタイミングでご相談いただけたことは、解決にあたって大きなプラスでした。
また、福島さんが「子どもの学区を変えたくない」という具体的な希望を持っていたことが、転居先の条件を明確にする上で助かりました。任意売却後の生活設計において、「何を守りたいか」を最初に整理しておくことは、その後の判断を迷いなく進めるために重要です。
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、「もう少し頑張れば何とかなる」と考えて時間が過ぎてしまうケースが多くあります。競売の申し立てが入ってしまうと、任意売却で対応できる選択肢は急速に狭まります。状況が悪化する前に相談することが、最終的に残せるものを増やすことにつながります。
