相談者様のプロフィール
【相談者の情報】
古賀雄一さん(仮)、46歳、埼玉県さいたま市南区在住。
独立して10年になる内装工事の一人親方。年収は繁忙期と閑散期の差が大きく、年間300〜420万円ほど。
妻(43歳・パートタイム勤務、スーパー)、長女(17歳・高校2年生)、長男(13歳・中学1年生)の4人家族。
【物件・ローンの情報】
2013年に購入した築7年の2階建て一戸建て(4LDK)。購入価格は2,980万円。
住宅ローン残債は約2,100万円。月々の返済は約8万4,000円。
消費者金融・信販系3社からの借入残高は合計約180万円。月々の返済総額は約5万円。
ご相談の内容
古賀さんが最初に消費者金融に手を出したのは、3年ほど前のことです。取引先の支払いが遅れ、職人への外注費を立て替えるために、一時しのぎのつもりで1社から30万円を借りました。「すぐに返せる」と思っていましたが、仕事の入りが不安定なまま月日が経つうちに、別の出費が重なるたびに借入先を増やしていきました。消費者金融2社に加え、クレジットカードのキャッシング枠も使うようになり、気づけば3社合計で180万円近い残高になっていました。
毎月の支出は、住宅ローンの8万4,000円、消費者金融等への返済が5万円近く、光熱費・食費・長女の高校の学費などを合わせると、手取り収入がほぼなくなる計算でした。仕事が入らない月は、次の借入で当月の返済をまかなうという状態が続いていました。「自転車操業」という言葉がこれほど身に染みたことはなかった、と古賀さんは振り返ります。
妻のパート収入は月に10万円ほどありましたが、生活費の不足分に充てるのが精一杯で、家計の全体像を妻に話すことができていませんでした。恥ずかしさと、「心配させたくない」という気持ちが混在したまま、古賀さんは一人で抱え込んでいました。夜中に目が覚めて、翌月の返済額を頭の中で計算し直す、という夜が何ヶ月も続きました。
転機になったのは、住宅ローンの口座残高が不足し、初めて引き落としが失敗したときです。金融機関から通知が届き、妻が先に見てしまいました。その夜、妻に消費者金融への借入を初めて全部話しました。妻は責めるよりも「二人で何とかしよう」と言ってくれましたが、古賀さん自身は「家族に隠していた自分が情けない」という感覚が長く残りました。
二人でインターネットを調べ始め、債務整理や自己破産という言葉を目にしました。ただ、自己破産すると仕事の資格や取引関係に影響が出るかもしれないという情報を見て、「一人親方の自分には使えない選択肢かもしれない」と感じました。任意売却という方法については断片的な情報しか見つからず、「売ったら終わり」というイメージで、最初は選択肢として考えていませんでした。相談に踏み切ったのは、妻が「このまま何もしない方が家族にとって一番まずい」と背中を押してくれたからです。
相談所からのご提案・解決までの流れ
相談を受けた際、まず古賀さんの収支と借入の全体像を整理することから始めました。住宅ローンに加えて複数の消費者金融への返済が重なっており、毎月の支出が実収入を上回る月もある状態でした。一人親方という職業柄、収入が不規則なことも踏まえ、月々の固定支出をどこまで圧縮できるかを優先的に検討しました。
住宅ローンの残債は約2,100万円でしたが、現在の不動産市況と物件の状態を調査した結果、2,300万円前後での売却が見込めることが分かりました。売却額がローン残債を上回る見通しがあったため、通常の不動産売却(アンダーローンでの任意売却)として進める方針が立てられました。
並行して、消費者金融への借入については、弁護士と連携した任意整理の手続きを検討しました。任意整理は自己破産とは異なり、一人親方としての業務や特定の資格に直接影響が出ない手続きです。古賀さんが懸念していた職業上の問題をクリアしながら、借入残高を整理できる道筋が見えてきました。
物件の売却活動は約3ヶ月で買い手が見つかり、2,280万円での成約となりました。住宅ローンの完済後、諸費用を差し引いた残余の一部は、引越し費用と新居の初期費用に充てることができました。消費者金融3社への任意整理も同時進行で手続きを進め、利息のカットと分割返済の合意が取れました。
古賀さん一家は売却後、同じさいたま市内で家賃7万円の3LDK賃貸物件に転居しました。月々の住居費と債務返済を合わせても、以前より5万円以上の支出削減につながりました。
相談者の声

自分が消費者金融に借金していることを妻に打ち明けるまでが、一番つらかったです。話してからは、二人で動けるようになったので、気持ちの上では少し楽になりました。
最初は「家を売る=負け」という気持ちが正直ありました。ですが、担当の方に収支を整理してもらったとき、このまま続けていたら家族にもっと大きな影響が出ていたと気づきました。早く相談していればよかったと思います。
自己破産しか選択肢がないと思い込んでいましたが、任意整理という方法があること、一人親方でも使える手続きであることを教えてもらって、視野が開けた気がしました。今は月々の支出が落ち着いて、娘の受験費用も計画的に準備できています。担当の方には、焦らず丁寧に対応してもらえて助かりました。
担当者のコメント

古賀さんのケースでは、住宅ローンと消費者金融の多重債務が組み合わさっており、最初から全体を見渡した整理が必要でした。「自己破産しかないのか」という思い込みをお持ちの方は多いのですが、職業や状況によって選択できる手続きは異なります。今回のように、任意売却と任意整理を組み合わせることで、職業上のリスクを抑えながら解決できるケースは少なくありません。
一人で抱え込んでいる時間が長いほど、選択肢が狭まっていきます。特に自営業・フリーランスの方は、収入の波があるぶん、状況が悪化するスピードも速い傾向があります。「まだ何とかなる」と思っている段階で相談していただくことが、解決策の幅を広げることにつながります。
