相談者様のプロフィール
【相談者の情報】
宮本 恵子さん(仮)、51歳、女性。埼玉県さいたま市緑区在住。
食品メーカーで一般事務(パート)として勤続9年。年収は約150万円。
夫(53歳・製造業の正社員・年収約450万円)との2人暮らし。長男は独立済み。義母(79歳・認知症)が2年前から同居。
2007年に購入した4LDKの一戸建て。住宅ローン残債は約2,100万円で、月々の返済額は約9万5千円。購入時は夫婦の収入を合算して審査を通した。
ご相談の内容
義母に認知症の診断が出たのは、2年ほど前のことです。最初のうちは週に数回、夫の実家に様子を見に行く程度でした。しかし症状が進むにつれて一人暮らしが難しくなり、自宅への同居を決めました。
恵子さんがパートの日数を週5日から週2〜3日に減らしたのは、その頃からです。義母の食事の準備、服薬管理、入浴のサポート、通院の付き添い。これらを日中ほぼ一人でこなすうちに、月の収入は10万円以上落ちました。
介護施設への入居も調べましたが、月15〜20万円という費用の現実に直面して断念しました。夫も仕事から帰ると義母のサポートに入るため、残業ができない状態が続き、世帯全体の収入は以前と比べて月8万円ほど減っていました。
それでも返済を続けようと貯蓄を切り崩していましたが、預金残高が60万円を下回った頃、恵子さんは「このまま数か月後には返済できなくなる」と感じるようになりました。
夫は「もう少し経てば何とかなるかもしれない」という考えで、すぐには危機感を共有してもらえませんでした。恵子さんは家計の通帳を見せながら夫と何度か話し合い、少しずつ現実を伝えていきました。眠りが浅い夜が続き、「自分たちが何か間違えたわけではないのに」という気持ちが繰り返し頭をよぎりました。
相談の2か月ほど前から、恵子さんはインターネットで「住宅ローン 払えない」「任意売却 デメリット」などのキーワードを調べ始めていました。しかし、任意売却をすると信用情報に傷がつき、その後の生活に何もかも支障が出るのではないかという不安が強く、なかなか動けずにいました。銀行に相談したら、すぐに手続きが一方的に進んでしまうのではないかという恐れもありました。
最終的に相談を決めたのは、義母の主治医から「今後も介護の負担は増えていく見通し」と告げられたことがきっかけでした。先が見通せない中で、これ以上判断を先延ばしにするのは難しいと感じ、第三者の専門家に一度話を聞いてもらおうと決めました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
ご相談を受けた際、恵子さんご夫婦には「できれば家を手放したくない」「義母の介護環境を変えたくない」という強いご希望がありました。同居して2年が経過した自宅は、義母が生活しやすいよう手すりの取り付けや段差の解消などを施しており、環境を大きく変えることへの不安も大きい状況でした。
まず現状の整理として、住宅ローン残債・物件の査定価格・現在の世帯収入をもとにシミュレーションを行いました。査定の結果、売却価格はローン残債を下回る見込みでしたが、金融機関との交渉によって残債を圧縮しながら売却できる可能性があることをご説明しました。
ご夫婦の希望を踏まえ、売却後も同じ家に賃貸として住み続けられるリースバックをご提案しました。投資家・買取業者への打診を複数行い、義母の介護環境を維持できる家賃水準での成立を目指しました。交渉の結果、月々の支払いを現在のローン返済額より約2万5千円抑えた水準で賃貸契約を結ぶことができました。
手続きの窓口は基本的に担当者が一本化して対応し、恵子さんが介護の合間を縫って対応できるよう、書類のやりとりは郵送・メール中心で進めました。義母の通院日や体調の悪い日は打ち合わせを調整するなど、介護の状況に配慮した進め方を心がけました。
金融機関との交渉から売却完了まで約4か月で手続きが完了し、その後も同じ住所に生活を継続しています。
相談者の声

相談する前は、任意売却というものが「信用情報に大きなキズがついて、その後の生活が全部ダメになる」ようなイメージでした。でも実際には、早めに動いたことで選べる方法が増えたと知り、もっと早く相談しておけばよかったと感じています。
家を売ることへの抵抗感は最後まで消えませんでした。でも同じ家に住み続けられると分かったとき、夫も少し気持ちが楽になったようでした。義母の部屋の手すりもそのままですし、かかりつけの病院も変わらず通えています。
月々の支払いが少し減ったことで、介護に必要な消耗品や義母の通院費用を確保する余裕が生まれました。担当の方が義母の介護の状況も理解してくれて、こちらのペースに合わせて進めてくれたことに感謝しています。正直、相談するまでが一番つらかったです。
担当者のコメント

宮本さんのケースは、ご本人たちに非があるわけでなく、介護という避けられない事情で家計が圧迫されてしまったケースでした。それだけに、相談に来られるまでにどれほど悩んだか、最初のヒアリングで伝わってきました。
介護中のご家族をお持ちの方は、物件の売却後に生活環境が大きく変わることへの不安を強く持つことが多いです。今回はリースバックという方法が条件に合い、住み慣れた環境を維持したまま経済的な負担を軽減できたことは、ご本人たちにとっても大きな安心につながったと思います。
住宅ローンの支払いが苦しくなってきたと感じた段階で相談していただけると、取り得る選択肢の幅が広がります。介護や療養を抱えながら一人で抱え込まず、まず状況を整理するところから始めていただければと思います。
