遠方にある実家を相続。親族の意見が揃わないまま長期間放置してトラブルに。

  • 相続

相談者プロフィール

山田太郎さん(仮)、52歳、神奈川県横浜市在住。大手メーカーの技術職で年収580万円。妻(48歳・パート)、長男(20歳・大学生)の3人家族。実家は群馬県の農村部にあり、3年前に父親が他界後、空き家状態が続いている。相続人は太郎さんを含む兄弟4人(長男・太郎さん、次男・関西在住、長女・九州在住、次女・北海道在住)。

【相続財産の状況】
築40年の木造2階建て住宅(敷地面積200坪)、農地約300坪、預貯金約200万円。固定資産税評価額は土地建物合わせて約800万円。住宅ローンなし。

ご相談内容

太郎さんは長男として、父親の死後も実家の管理を何となく引き受けてきました。しかし、横浜から群馬まで車で2時間かかる距離にあり、月1回程度しか様子を見に行けませんでした。草刈りや家の換気などの最低限の管理はしていましたが、仕事や家庭の事情で十分な手入れができず、庭の草木は伸び放題になっていました。

昨年の夏、近隣住民から「草が道路にはみ出している」「蜂の巣ができて危険」といったクレームが入り、市役所からも「適切な管理をするように」との指導を受けました。その時初めて、空き家問題の深刻さを実感しました。

兄弟4人で話し合いをしようと思いましたが、全員が遠方に住んでおり、なかなか集まる機会がありません。電話やメールでやり取りしても、「売却したい」「思い出の家だから残したい」「管理費用は誰が負担するのか」など意見がバラバラで、話がまとまりませんでした。

さらに、相続登記もまだ済ませておらず、名義は亡くなった父親のままでした。「このままでは売却もできない」「固定資産税だけがかかり続ける」「近隣に迷惑をかけ続ける」という状況に追い込まれ、どこから手をつけていいか分からず途方に暮れていました。

ご提案内容

ご相談を受けた際、まず太郎さんの置かれた状況と兄弟それぞれの意向を詳しく伺いました。空き家問題の法的リスクや、相続登記の必要性、遺産分割の進め方について分かりやすくご説明しました。特に「放置し続けると特定空家に指定される可能性がある」「相続登記が義務化されている」ことをお伝えし、早期解決の重要性を共有しました。

まず、当事務所が全相続人との連絡調整を代行し、それぞれの希望や事情を整理しました。次男は「現金化したい」、長女は「思い出は大切だが現実的に管理は困難」、次女は「兄弟で平等に分けたい」という意向でした。

司法書士と連携して相続登記の手続きを進めながら、並行して不動産査定を実施しました。地元の不動産会社数社に査定を依頼した結果、土地建物合わせて約600万円での売却が可能と判明しました。

遺産分割協議では、太郎さんを代表相続人として不動産を相続し、売却後の代金から諸費用を差し引いた金額を4人で均等分配することで合意しました。売却活動では、地元に精通した不動産会社に依頼し、約3ヶ月で買い手が見つかりました。

相談者の声

正直、どこから手をつけていいか全く分からない状態でした。兄弟それぞれが遠方に住んでいて、話し合いも思うように進まず、近隣からのクレームもあって精神的に参っていました。でも、相談所の方が兄弟全員との調整を代行してくれて、それぞれの気持ちを汲み取りながら現実的な解決策を提示してくれたのが本当に助かりました。

相続登記から売却まで、専門家のネットワークでスムーズに進めてもらえて、最終的に全員が納得できる形で解決できました。空き家の管理から解放されて、近隣への心配もなくなり、肩の荷が下りた気持ちです。もっと早く相談していれば、無駄な心配をする時間が減ったと思います。

担当者のコメント

山田様のケースは、空き家問題でよく見られる典型的なパターンでした。相続人が複数いて遠方に住んでいる場合、話し合いが進まず問題が長期化しがちです。しかし、適切な調整と専門家の連携により、全員が納得できる解決策を見つけることができます。

空き家は放置すればするほど問題が深刻化し、解決コストも高くなります。相続が発生したら、感情的な部分と現実的な判断を分けて考え、早めに専門家にご相談いただくことが重要です。遠方の不動産ほど、迅速な対応が将来的な負担軽減につながります。

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