認知症の母と二人だけの相続手続き。税務署からの通知に慌て、一人で悩み続けた2ヶ月間

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相談者様のプロフィール

森川美穂さん(仮)、52歳、埼玉県所沢市在住。市立中学校事務員で、年収は320万円。
勤続28年。 夫(56歳・建設会社勤務)、長男(26歳・IT企業勤務)、長女(22歳・大学生)の4人家族。
2ヶ月前に父親(78歳)が心筋梗塞で急逝。母親(75歳)は軽度認知症で老人ホーム入所中。

相続財産の概要
父親の遺産は預貯金約1,200万円、実家の土地建物(固定資産税評価額約800万円)。
遺言書はなし。

ご相談の内容

父が亡くなってから、美穂さんは毎日のように実家の片付けに通っていました。「財産なんて大したものはない」と言っていた父でしたが、片付けを進める中で複数の通帳が見つかり、想像以上の預貯金があることが判明しました。

転機となったのは、税務署から「相続税の申告について」という封書が届いたことでした。期限は10ヶ月以内とあり、美穂さんは初めて相続税がかかる可能性を知り、慌てて夫に相談しました。しかし、認知症の母親とは相続について話し合うことができず、美穂さん一人で全てを決めなければならない状況でした。

毎晩、キッチンテーブルで電卓を叩きながら相続税の計算を試みましたが、基礎控除額や評価方法が分からず、何度も計算をやり直す日々が続きました。「もしかして数百万円も税金を払わなければならないのか」という不安で、夜中に目が覚めることが増えました。インターネットで情報を調べても専門用語が多く、特に「成年後見制度」について調べた際は、「母に後見人をつけなければ手続きができないのか」という疑問が生まれ、さらに混乱が深まりました。

長男からは「早く手続きしないとまずいんじゃない?」とプレッシャーをかけられ、責任の重さに押し潰されそうになっていた時、同僚から「税理士さんに頼んで楽になった」というアドバイスをもらい、専門家への相談を決意しました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

初回相談では、まず美穂さんの不安や誤解を丁寧に伺いました。相続税の基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×法定相続人2人)であり、今回のケースでは相続税はかからないことをご説明し、大きな安心を提供できました。

母親の認知症について成年後見制度の利用も検討しましたが、遺産分割協議書への署名能力があるかを医師に確認したところ、軽度認知症であり、分割内容を理解して署名できる状態であることが分かりました。そのため、後見制度を利用せずに手続きを進めることができました。

遺産分割については、母親の今後の施設費用を考慮し、預貯金の大部分を母親が相続し、美穂さんが実家の不動産と一部の預貯金を相続する方針で進めました。母親との面談も丁寧に行い、わかりやすい言葉で説明することで、納得いただけました。

手続きは約3ヶ月で完了し、相続税の申告も不要であることが確定しました。また、今後の母親の財産管理方法についてもアドバイスを行い、美穂さんが安心して管理できる体制を整えました。

相談者の声

正直、税務署からの通知が来た時は本当に焦りました。ネットで調べても専門用語ばかりで理解できず、一人で悩んでいる時間がとても辛かったです。まさか相続税がかからないなんて思ってもいませんでした。後見制度についても、必ず必要だと思い込んでいましたが、母の状態を正しく判断していただけて助かりました。

手続きも思っていたより複雑ではなく、先生が母との面談でも優しく説明してくださったので、母も安心していました。一人で抱え込まず、もっと早く相談していれば無駄に心配する必要がなかったと反省しています。おかげで母の施設費用の心配もなくなり、実家も維持することができました。

担当者のコメント

美穂さんは責任感が強く、お母様のことを第一に考えられる優しい方でした。相続税について大きな誤解をされていましたが、これは一般的によくあることです。今回のケースでは、お母様の認知症の程度を正しく把握することが重要なポイントでした。

相続手続きは複雑に感じられがちですが、専門家のサポートがあれば決して難しいものではありません。税務署からの通知に驚かれる方も多いですが、まずは落ち着いて専門家に相談していただくことをお勧めします。一人で悩まず、早めにご相談いただくことで、より良い解決策が見つかります。

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