母親のローン管理を任せていたら6回滞納。期限の利益を喪失。競売寸前で相談に

  • 任意売却

相談者プロフィール

松本和人さん(仮)、42歳、神奈川県川崎市宮前区在住。
システムエンジニアとして中堅IT企業に勤続15年、年収650万円。妻・美紀さん(38歳・パート勤務)、長男・翔太くん(12歳・中学1年生)、長女・結菜ちゃん(9歳・小学3年生)、母・恵子さん(67歳・元パート勤務)の5人家族。

物件・ローンの情報
2017年購入の築8年分譲マンション(3LDK、72㎡)。
購入価格4,200万円、住宅ローン残債約3,600万円。
母親と息子のペアローンで、母親名義1,500万円(返済期間20年)、息子名義2,700万円(返済期間35年)、月々返済額合計約12万8千円。

ご相談の内容

和人さんは長年、住宅ローンの管理を母親の恵子さんに完全に任せていました。恵子さんの口座からの自動引き落としで、特に問題もなく順調に返済が続いていると信じて疑いませんでした。しかし、2022年春頃から恵子さんの体調が徐々に悪化し、軽度の認知症の兆候も見え始めていました。プライドの高い恵子さんは「まだまだ大丈夫」と家計管理を手放そうとせず、和人さんも仕事の忙しさから詳細な確認を怠っていました。

状況が発覚したのは2022年10月のある土曜日の朝でした。銀行からの「期限の利益の喪失通知書」が郵送で届き、開封すると「6回連続の滞納により、残債の一括返済を求める」という内容でした。恵子さんに確認すると、「最近、銀行口座の管理がよくわからなくなって…」と小さな声で打ち明けられました。

通知書を受け取った週末は、和人さんにとって人生で最も長い2日間となりました。妻の美紀さんに状況を説明すると彼女も青ざめ、子どもたちには何も言えず普段通りを装うのが精一杯でした。月曜日の朝一番で銀行に連絡しましたが、「既に期限の利益を喪失しているため、分割での返済は受け付けできません」と冷たく断られ、「競売か任意売却しか選択肢がない」と告げられた時は頭が真っ白になりました。その夜は全く眠れず、「家族をどこに住まわせよう」「子どもたちにどう説明しよう」といった考えが頭をぐるぐると回り続けました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

銀行担当者から全国任意売却協会を紹介され、通知書受領から1週間後に相談を決意されました。まず、現在の状況を詳細に聞き取り、既に代位弁済が完了している状態であることを確認しました。競売か任意売却かの選択肢しかない中、任意売却を選択していただきました。

住宅ローンの滞納以外にも、マンション管理費や修繕積立金の滞納があることが判明したため、支払いが滞っているすべての項目を洗い出しました。物件の販売活動を開始し、同時に各債権者との交渉を重ねました。マンションの立地条件が良かったこともあり、競売申し立て前に複数の購入希望者が現れました。

債権者との交渉では、管理費や修繕積立金の滞納分についても売却代金からの配分を調整し、すべての関係者が納得できる条件を整えました。最終的に、競売を回避して任意売却による売却を実現し、無事に物件の引き渡しを完了しました。

相談者の声

支払いについては完全に母に一任しており、ローンの滞納がされているなんて微塵も感じていませんでした。私が母に確認しにくい環境を作り出していた結果かもしれません。通知が届いた時は本当に驚きましたし、銀行からも冷たくあしらわれ、競売手続きがこんなにも進んでいるとは思いませんでした。

相談した時は、翌日には面談していただけて、とても親身になって対応してくださいました。住宅ローン以外の滞納についても詳しく調べてくださり、支払い可能な金額だったので貯金を崩して対応できました。競売で家を失うことなく、任意売却で売却を決めていただけて本当に良かったです。

残債は残りましたが、分割での支払いで完済を目指しています。新しい土地での生活も始まり、家族も前向きに頑張っています。母の認知症についても、今はきちんと家族でサポートする体制を作りました。

担当者のコメント

ご家族の中での役割分担が明確でも、定期的な確認は重要だということを改めて感じたケースでした。特に高齢のご家族が金銭管理を担当されている場合は、認知症の初期症状として金銭管理能力の低下が現れることがあるため、注意が必要です。

松本さんは非常に責任感の強い方で、お母様を責めることなく状況を受け入れ、前向きに解決に取り組まれました。任意売却後も残債の返済計画をしっかりと立てられ、新生活への準備も着実に進められています。このようなケースでは、家族間のコミュニケーションを見直すきっかけにもなります。困った時は一人で抱え込まず、早めに専門家にご相談いただければと思います。

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