
育児休業中は喜ばしいライフイベントである一方で、世帯収入の減少により住宅ローンの返済に不安を感じる方が少なくありません。「毎月の返済額が重い」「貯蓄が底をつきそう」といった悩みを抱えているのは、決してあなただけではないのです。
大切なのは、問題を先送りにせず早期に対応すること。滞納が始まってしまうと、延滞損害金の発生や信用情報への影響、最悪の場合は競売といった深刻な事態に発展します。
この記事では、育休中に住宅ローンの支払いが困難になった際の具体的な対処法、金融機関への相談方法、利用できる公的制度について詳しく解説します。返済計画の見直しから任意売却まで、状況に応じた選択肢を知ることで、最適な解決策が見つかるはずです。
はじめに:育休中の収入減、住宅ローンの不安はあなただけじゃない

育児休業制度は子育て世帯を支える重要な仕組みですが、育児休業給付金は通常賃金の67%(6ヶ月経過後は50%)に減少するため、家計への影響は避けられません。特に夫婦共働きで住宅ローンを組んだ場合、配偶者の一方が育休を取得すると、想定していた世帯収入を大きく下回ることになります。
実際、住宅金融支援機構の調査によれば、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)が高い世帯ほど、ライフイベントによる返済困難リスクが高まることが分かっています。育休中の収入減少は一時的なものですが、その期間が1年以上に及ぶケースも珍しくなく、月々の返済と生活費のやりくりに頭を悩ませる家庭が増えているのが現状です。
まずは現在の家計状況を冷静に把握し、利用できる制度や対処法を知ることから始めましょう。早めの行動が、将来の安心につながります。
住宅ローンを滞納するとどうなる?最悪の事態を避けるための基礎知識

返済が厳しいからといって、金融機関に相談せず放置してしまうのは最も避けるべき選択です。住宅ローンの滞納は段階的に深刻化していき、最終的には自宅を失う結果につながります。
滞納のステップを理解しておくことで、「まだ取り返しがつく段階」と「手遅れになる前の最終段階」を見極められるようになります。どの段階であっても、専門家や金融機関への早期相談が解決の鍵となることを忘れないでください。
ステップ1:金融機関からの督促(滞納1〜3ヶ月)
返済日に引き落としができなかった場合、まず金融機関から電話や書面で連絡が入ります。この段階では「うっかり残高不足だった」というケースも多く、すぐに入金すれば大きな問題にはなりません。
ただし、滞納が続くと遅延損害金が発生し、通常の金利に加えて年14%程度の損害金が日割りで加算されていきます。1ヶ月で約1.2%、3ヶ月で約3.5%と、放置するほど返済負担が増える仕組みです。
この時期に金融機関へ連絡し、返済条件の変更(リスケジュール)を相談すれば、多くの場合で柔軟な対応が期待できます。「連絡しづらい」と感じるかもしれませんが、金融機関側も競売より任意の解決を望んでいるため、誠実に状況を説明すれば協力的な姿勢を示してくれるでしょう。
ステップ2:一括返済の要求(滞納3〜6ヶ月)
滞納が3ヶ月を超えると、「期限の利益の喪失」という状態に陥ります。これは「分割で返済する権利」を失うことを意味し、金融機関から残債の一括返済を求められる段階です。
通常、住宅ローンは保証会社を通じて契約しているため、この時点で保証会社があなたに代わって金融機関に残債を一括返済します。その後、債権者が金融機関から保証会社に移り、保証会社から一括返済の請求を受けることになるのです。
ここまで来ると通常の返済計画への復帰は困難になりますが、まだ任意売却という選択肢が残されています。任意売却は競売と異なり、市場価格に近い金額で売却できる可能性が高く、残債の処理についても債権者と交渉できる余地があります。専門の不動産業者やファイナンシャルプランナーに相談し、早急に対応することが重要です。
ステップ3:自宅が競売に(滞納6ヶ月以降)
滞納が6ヶ月以上続くと、保証会社または金融機関が裁判所に競売の申し立てを行います。競売開始決定の通知が届いた後は、法的手続きが粛々と進んでいくため、自宅に住み続けられる期間は限られてきます。
競売は市場価格の6〜7割程度で落札されることが多く、売却後も多額の残債が残るケースが一般的です。加えて、競売の事実は近隣に知られやすく、精神的な負担も大きくなります。
この段階でも、競売手続き中であれば任意売却への切り替えが可能な場合があります。ただし、競売の入札期日が近づくほど選択肢は限られるため、一刻も早く弁護士や任意売却専門の不動産業者に相談してください。差し押さえや強制退去といった事態を避けるため、最後まで諦めずに行動することが大切です。
育休中に住宅ローンが払えない!今すぐできる4つの対処法

実際に返済が困難になった場合、慌てず冷静に対処することが求められます。ここでは優先順位の高い順に、すぐに実行できる具体的な方法を紹介します。
どの方法も早く取り組むほど効果的ですが、特に金融機関への相談は滞納前に行うことで、より多くの選択肢が得られます。夫婦で協力し、できることから一つずつ進めていきましょう。
1. まずは家計の状況を夫婦で共有・見直し
返済が苦しいと感じたら、まず現在の収支を正確に把握することから始めます。育児休業給付金の支給額、配偶者の収入、毎月の固定費と変動費を家計簿やアプリで「見える化」しましょう。
特に見落としがちなのが、育休中は社会保険料が免除される点です。健康保険料や厚生年金保険料の支払いが不要になるため、手取り額は給付金以上に改善されるケースもあります。一方で、ボーナス払いを設定している場合は要注意。育休中はボーナスが出ないか大幅に減額されるため、ボーナス月の返済を変動金利の月払いに変更するなど、早めの対策が必要です。
固定費の見直しも効果的な方法の一つ。スマートフォンの料金プラン変更、保険の見直し、使っていないサブスクリプションの解約など、月々数千円でも削減できれば年間で大きな差になります。夫婦で現状を共有し、優先順位をつけて支出削減に取り組むことが、返済計画の立て直しにつながるでしょう。
2. 借入先の金融機関にすぐに連絡・相談する
返済が困難だと分かった時点で、すぐに住宅ローンを借りている金融機関に連絡してください。「相談したら印象が悪くなるのでは」と心配する方もいますが、実際には逆です。滞納してから連絡するよりも、事前に相談する方が金融機関からの信頼を得やすく、柔軟な対応を引き出せます。
相談の際は、育休による一時的な収入減少であること、復職後の返済見込みがあることを具体的に説明しましょう。多くの金融機関では、返済額の一時的な減額、元金据え置き期間の設定、返済期間の延長といった条件変更に応じてくれます。
例えば、月々10万円の返済を育休期間中だけ5万円に減額し、復職後に元の金額に戻すといった調整が可能です。ただし、返済期間を延長すれば総返済額は増えるため、将来の家計への影響も考慮に入れる必要があります。金融機関の窓口では、複数のシミュレーションを提示してもらえるので、遠慮せず詳しく聞いてみることをおすすめします。
3. 利用できる公的制度を確認する(育児休業給付金など)
育休中は、国や自治体が提供するさまざまな給付金や支援制度を活用できます。すでに申請済みのものもあるかもしれませんが、見落としている制度がないか改めて確認しましょう。
育児休業給付金は雇用保険から支給され、休業開始から6ヶ月間は賃金の67%、それ以降は50%が給付されます。支給のタイミングは2ヶ月ごとになるため、最初の給付までの期間は貯蓄でカバーする計画が必要です。
出産に関する給付としては、出産手当金(健康保険加入者が対象)や出産育児一時金(一児につき50万円)があります。また、児童手当は0歳から中学卒業まで支給されるため、家計の足しになるでしょう。
住宅ローン控除については、育休中も年末調整や確定申告で適用を受けられますが、所得税が発生しない場合は控除額が少なくなる点に注意が必要です。復職後に改めて控除を受けられるよう、必要書類は大切に保管しておいてください。
4. 親族に一時的な援助を相談する
どうしても返済資金が不足する場合、親族からの一時的な援助を検討することも一つの選択肢です。特に両親や義両親が経済的に余裕がある場合、孫の誕生という喜ばしい機会に協力してくれる可能性があります。
ただし、お金の貸し借りは後々のトラブルにつながりやすいため、口約束ではなく借用書を作成し、返済計画を明確にしておくことが重要です。金額、返済期限、利息の有無などを書面に残すことで、双方が安心できる関係を維持できます。
また、贈与として受け取る場合は、年間110万円までなら贈与税が非課税となる基礎控除が利用できます。住宅取得等資金の贈与の特例を使えば、さらに大きな金額を非課税で受け取れるケースもあるため、税理士やファイナンシャルプランナーに相談してみるとよいでしょう。
親族への相談は心理的なハードルが高いかもしれませんが、滞納して信用情報に傷がつくよりは、早めに頭を下げて協力を仰ぐ方が賢明な判断といえます。
金融機関への相談ガイド|返済条件の変更(リスケジュール)とは?

金融機関への相談は、住宅ローン返済問題を解決する最も有効な手段の一つです。「リスケジュール」と呼ばれる返済条件の変更は、滞納前であれば比較的スムーズに進められます。
ここでは、相談前に準備すべき書類や、具体的な条件変更の方法、そして相談時の注意点について詳しく解説します。事前準備をしっかり行うことで、金融機関との交渉を有利に進められるでしょう。
相談前に準備するものリスト
金融機関に相談する際は、現在の収支状況を客観的に示す資料を用意することが大切です。口頭で「返済が苦しい」と伝えるだけでは説得力に欠けるため、具体的な数字で説明できるよう準備しましょう。
必要な書類としては、給与明細書や育児休業給付金の支給決定通知書、配偶者の収入を証明する書類が挙げられます。また、家計簿やクレジットカードの利用明細など、毎月の支出が分かる資料もあると効果的です。
| 準備するもの | 詳細 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
| 収入関係書類 | 給与明細、育児休業給付金通知書、源泉徴収票 |
| 支出関係資料 | 家計簿、クレジットカード明細、光熱費の領収書 |
| 住宅ローン契約書 | 現在の借入残高、金利、返済予定表 |
| その他の借入状況 | カードローンや自動車ローンの残高が分かる資料 |
準備するもの詳細本人確認書類運転免許証、マイナンバーカードなど収入関係書類給与明細、育児休業給付金通知書、源泉徴収票支出関係資料家計簿、クレジットカード明細、光熱費の領収書住宅ローン契約書現在の借入残高、金利、返済予定表その他の借入状況カードローンや自動車ローンの残高が分かる資料
加えて、復職予定日や復職後の見込み収入についても説明できるようにしておくと、金融機関は返済能力の回復を見込んで前向きな対応をしてくれる可能性が高まります。夫婦で相談内容を事前に話し合い、返済計画の希望条件を整理しておくことも忘れずに行ってください。
主な返済条件の変更方法:返済額の減額、元金据え置き、期間延長
金融機関が提案する返済条件の変更には、いくつかのパターンがあります。状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
返済額の一時的な減額は、育休期間中だけ月々の返済額を減らし、復職後に元の金額に戻す方法です。例えば月10万円の返済を6万円に減額すれば、月4万円の余裕が生まれます。ただし、減額した分は後で上乗せして返済するか、期間延長で調整することになります。
元金据え置きは、一定期間は利息のみを支払い、元金の返済を猶予してもらう方法です。月々の返済額を大幅に減らせるため、収入が大きく減少している場合に有効ですが、元金が減らない期間が長引くほど総返済額は増加します。
返済期間の延長は、残りの返済期間を延ばすことで月々の返済額を減らす方法です。35年ローンを40年に延長するといった調整が考えられますが、定年後も返済が続く可能性があるため、将来のライフプランとの整合性を慎重に検討する必要があります。
いずれの方法も、審査や手続きに時間がかかる場合があるため、返済が困難になる前、できれば育休に入る前に相談を始めるのが理想的です。
金融機関に相談する際の注意点
金融機関への相談では、誠実な態度と具体的な説明が求められます。まず大切なのは、現状を正直に伝えること。収入や支出を誇張したり隠したりすると、後で信頼を失う原因になります。
相談時には、「なぜ返済が困難なのか」「いつ頃回復する見込みなのか」を明確に説明しましょう。育休は一時的な収入減少であり、復職後は元の収入に戻る見込みがあることを強調すれば、金融機関も協力的な姿勢を示しやすくなります。
また、複数の金融機関から借入がある場合は、すべての債権者に同時に相談することが重要です。一つの金融機関だけに有利な条件を提示すると、他の債権者とのバランスが崩れ、全体の調整が難しくなる可能性があります。
相談内容は必ず記録に残し、担当者の名前や連絡先も控えておきましょう。後日、話した内容に食い違いが生じた際に、記録があれば確認がスムーズです。電話で相談した場合も、後日改めて支店窓口を訪れ、書面で条件変更の内容を確認することをおすすめします。
育休中の家計を支える公的支援と給付金

育休中は、国や自治体が提供するさまざまな給付金や支援制度が家計の大きな支えになります。申請漏れがないよう、利用可能な制度を網羅的に確認しておきましょう。
制度によっては申請期限が設けられているものもあるため、出産前から情報を集めておくことが大切です。また、自治体独自の支援制度もあるため、お住まいの市区町村のホームページもチェックしてみてください。
育児休業給付金の支給額と期間を再確認
育児休業給付金は、雇用保険に加入している人が育休を取得した際に受け取れる給付金です。子どもが1歳になるまでが基本の支給期間ですが、保育所に入れないなどの理由があれば、最長2歳まで延長できます。
支給額は休業開始時の賃金日額をもとに計算され、休業開始から180日目までは賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます。例えば、月給30万円の場合、最初の6ヶ月は約20万円、それ以降は約15万円が目安となります。
支給は2ヶ月ごとにまとめて振り込まれるため、育休開始直後は収入が途絶える期間が発生します。この空白期間を乗り切るために、事前に2〜3ヶ月分の生活費を貯蓄しておくことが推奨されます。
また、育児休業給付金は非課税のため、所得税や住民税がかかりません。さらに、育休中は社会保険料も免除されるため、実質的な手取り額は給付金の額面に近い金額となります。この点を踏まえて、家計のシミュレーションを行うとよいでしょう。
出産手当金・出産育児一時金
出産手当金は、健康保険に加入している人が出産のために休業した場合に支給される手当です。出産日以前42日から出産日後56日までの範囲内で、仕事を休んだ期間が対象となります。支給額は標準報酬日額の3分の2相当で、育児休業給付金とは別に受け取れます。
ただし、国民健康保険加入者は出産手当金の対象外となるため、自営業やフリーランスの方は注意が必要です。会社員や公務員の配偶者として扶養に入っている場合も、本人が被保険者でなければ受け取れません。
出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険に加入している人が出産した際に、子ども一人につき50万円が支給される制度です。双子の場合は100万円となります。多くの場合、医療機関が直接受け取る「直接支払制度」を利用できるため、出産費用を立て替える必要がありません。
出産費用が50万円を下回った場合は、差額を後日申請して受け取ることができます。逆に出産費用が50万円を超えた場合は、超過分を自己負担する形になります。
児童手当
児童手当は、0歳から中学校卒業までの子どもを養育している家庭に支給される手当です。所得制限はありますが、多くの世帯が対象となります。
支給額は子どもの年齢と人数によって異なります。3歳未満は月額15,000円、3歳以上小学校修了前は月額10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生は月額10,000円です。支給は年3回、4ヶ月分がまとめて振り込まれます。
児童手当を受け取るには、出生届提出後に市区町村の窓口で申請が必要です。申請が遅れると、申請月の翌月分からの支給となり、遡って受け取ることはできません。出産後は慌ただしい時期ですが、忘れずに早めに申請しましょう。
また、所得制限限度額を超える世帯でも、特例給付として月額5,000円が支給される場合があります。詳細な所得制限額は自治体のホームページで確認できるため、該当するか不明な場合は問い合わせてみることをおすすめします。
住宅ローン控除はどうなる?育休中の注意点
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。最長13年間適用され、所得税から控除しきれない分は住民税からも一部控除されます。
育休中も住宅ローン控除の適用を受けることは可能ですが、注意すべき点があります。控除は納めた所得税額が上限となるため、育休により所得が大幅に減少すると、控除できる金額も少なくなるのです。
例えば、年間の控除可能額が30万円でも、育休により所得税が10万円しか発生しなければ、実際に控除されるのは10万円までとなります。ただし、育児休業給付金は非課税所得なので、配偶者の収入や他の所得がない場合、所得税自体が発生しないこともあります。
育休中に住宅ローン控除を受けるには、年末調整または確定申告が必要です。会社員の場合、育休中でも年末調整の対象となりますが、給与収入がない月が続いた場合は、自分で確定申告を行う必要が生じることもあります。必要書類を準備し、控除を受け損ねないよう注意してください。
育休前からできる!将来のための住宅ローン対策

これから住宅ローンを組む予定の方や、第二子の出産を考えている家庭にとって、育休期間を見据えた事前の対策は非常に重要です。計画的に準備することで、育休中の経済的不安を大きく軽減できます。
住宅購入は人生最大の買い物の一つですが、将来のライフイベントを想定せずに借入額を決めてしまうと、後で返済に苦しむことになりかねません。ここでは、長期的な視点で安心できる返済計画の立て方を紹介します。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローンの返済計画を立てる際、多くの人が「年収の何倍まで借りられるか」という視点で考えがちですが、実際には「いくらなら無理なく返せるか」を基準にすべきです。
一般的に、年間返済額は年収の25%以内に抑えるのが安全とされています。年収500万円なら年間125万円、月々約10万円が目安です。ただし、これは共働き世帯の場合、両方の収入が継続することを前提とした計算になります。
育休を取得する予定がある場合は、配偶者一方の収入だけで返済できる金額に設定しておくと安心です。例えば夫の年収が600万円、妻の年収が400万円の世帯なら、夫の収入だけで計算した返済可能額(年間150万円程度)を上限とする考え方があります。
また、変動金利を選択する場合は、金利上昇リスクも考慮に入れましょう。現在の低金利が続く保証はないため、金利が1〜2%上昇しても返済できる余裕を持った計画が望ましいです。金融機関のシミュレーションツールを活用し、複数のシナリオで試算してみることをおすすめします。
頭金を準備し借入額を抑える
住宅購入時に頭金を多く用意することは、その後の返済負担を大きく軽減します。一般的には物件価格の2割程度を頭金として準備するのが理想とされていますが、育休を予定している場合は、さらに余裕を持った資金計画が必要です。
頭金を増やすことで借入額が減り、毎月の返済額も利息負担も少なくなります。例えば3,000万円の物件を購入する場合、頭金なしでフルローンを組むのと、600万円の頭金を入れて2,400万円を借りるのでは、月々の返済額に2万円以上の差が生じることも珍しくありません。
ただし、頭金を貯めることに固執しすぎて、手元資金がゼロになってしまうのは避けるべきです。住宅購入後は引っ越し費用、家具家電の購入、固定資産税など、まとまった支出が続きます。育休に備えるためにも、最低でも生活費の6ヶ月分程度は緊急用の貯蓄として残しておきましょう。
また、親族からの援助が期待できる場合は、住宅取得等資金の贈与税非課税制度の活用も検討してください。一定の条件を満たせば、最大1,000万円まで非課税で贈与を受けられるため、頭金を増やす有効な手段となります。
育休中の収入減を想定した貯蓄計画
育休期間中の収入減少を乗り切るには、事前の貯蓄が不可欠です。育児休業給付金は休業前の賃金の50〜67%にとどまるため、その差額分を補填できる貯蓄を準備しておく必要があります。
具体的には、月々の住宅ローン返済額の6ヶ月〜1年分を目安に貯蓄しておくと安心です。月10万円の返済なら60万円〜120万円となります。この金額に加えて、出産費用や育児用品の購入費用も考慮すると、出産前に200万円程度の貯蓄があると余裕を持って育休期間を過ごせるでしょう。
貯蓄を計画的に進めるためには、共働きの間に「片方の収入は全額貯蓄に回す」といったルールを設けるのも効果的です。夫婦それぞれの収入を別々に管理するのではなく、世帯全体の収支として把握し、将来のライフイベントに備える意識を持つことが大切です。
また、財形貯蓄制度や社内預金制度がある会社なら、給与天引きで自動的に貯蓄できる仕組みを活用しましょう。手元に入る前に貯蓄されるため、使ってしまう心配がなく、確実に資金を積み立てられます。育休は予定できるライフイベントですから、早めの準備で経済的な不安を解消しておくことが、家族の安心につながります。
まとめ:一人で抱え込まず、早めの相談と行動が解決の鍵
育休中の住宅ローン返済問題は、決して珍しいことではありません。世帯収入が一時的に減少する中で、毎月の返済負担を重く感じるのは当然のことです。
重要なのは、問題を先送りにせず、滞納する前に行動を起こすことです。金融機関への相談、公的制度の活用、家計の見直し、親族への協力依頼など、できることは数多くあります。特に金融機関への相談は、返済条件の変更や一時的な返済猶予など、柔軟な対応を引き出せる可能性が高い手段です。
また、どうしても返済の継続が難しい場合は、任意売却という選択肢も視野に入れましょう。競売になる前に専門家に相談することで、より有利な条件で自宅を売却し、残債の処理についても交渉できる余地が生まれます。
育休は子育てという新しいステージの始まりであり、家族にとって大切な時期です。経済的な不安を一人で抱え込まず、夫婦で協力し、必要であれば専門家の力を借りながら、最適な解決策を見つけてください。この記事で紹介した対処法が、あなたの家庭の安心につながることを願っています。

