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再婚後の住宅ローン|審査・名義変更・新規購入の疑問を専門家が解説

2025年12月16日

再婚を機に考える「住まい」のこと。現在の住宅ローンはどうなるのか、新しく組むことはできるのか、多くの方が不安に感じています。

前の結婚で購入した家の名義や残債、養育費の支払い、再婚相手との収入合算など、考えるべきポイントは複雑です。金融機関の審査基準も通常とは異なる部分があり、何から手をつければよいか分からないという声をよく耳にします。

この記事では、再婚後の住宅ローンに関するあらゆる疑問を解消し、ご自身の状況に合った最適な選択ができるよう、分かりやすく解説していきます。状況別のパターン整理から審査のポイント、具体的な手続きまで、実務に即した内容をお届けします。

【状況別】再婚後の住宅ローンはどうなる?3つの基本パターン

再婚後の住まいについては、大きく分けて3つのパターンがあります。まず、ご自身の状況がどのパターンに当てはまるかを確認しましょう。それぞれのパターンで注意すべき点や必要な手続きが異なるため、現状を正確に把握することが第一歩となります。

パターン1:今の家に住み続ける

元配偶者と購入した家に、再婚相手と住み続ける場合、最も注意が必要なのは名義の確認です。不動産登記上の所有権と住宅ローンの債務者名義が誰になっているかを、登記簿謄本やローン契約書で必ず確認してください。

所有権が単独名義か共有名義か、住宅ローンの債務者が自分だけなのか元配偶者との連帯債務なのかによって、今後の対応が大きく変わります。特に元配偶者が連帯保証人や連帯債務者のままになっている場合は要注意です。

万が一、元配偶者が別の借入で返済困難になったり、自己破産などをした場合、あなたの住宅ローンにも影響が及ぶ可能性があります。金融機関に相談して、保証人の変更や借り換えを検討することをおすすめします。ただし、金融機関の承諾が必要となり、再婚相手の収入証明や信用情報の審査を求められることが一般的です。

パターン2:家を売却して新しい住まいを探す

今の家を売却し、新しい住まいを検討する場合、まず確認すべきは「アンダーローン」か「オーバーローン」かという点です。不動産会社に査定を依頼し、売却価格の見込みと住宅ローンの残高を比較してください。

アンダーローンとは、売却価格が住宅ローン残高を上回る状態を指します。この場合は売却代金で完済できるため、比較的スムーズに進められます。一方、オーバーローンは売却価格よりも残債が多い状態で、売却代金だけでは完済できません。

オーバーローンの場合、不足分を自己資金で補填するか、任意売却という選択肢も検討する必要があります。任意売却は金融機関の合意を得て、残債があっても売却できる方法です。ただし信用情報に影響が出る可能性があるため、まずは専門家への相談をおすすめします。

売却と新居購入のタイミングも重要なポイントです。売却を先に進めるのか、新居の購入資金を確保してから売却するのか、資金計画と住み替えのスケジュールを慎重に立てる必要があります。

パターン3:再婚相手と新たに住宅ローンを組んで家を購入する

二人で新しいスタートを切るために、新規で住宅ローンを組む場合、一人で組むか二人で組むかという選択があります。一人で組む場合は単独名義となり、審査も一人の収入や信用情報のみで判断されます。

二人で組む場合は、ペアローンと収入合算という2つの方式があります。ペアローンは夫婦それぞれが債務者となり、二本の住宅ローン契約を結ぶ形です。両者が団体信用生命保険に加入でき、それぞれが住宅ローン控除を受けられるメリットがあります。

収入合算は、主債務者一人がローンを組み、もう一方の収入を合算して借入金額を増やす方式です。連帯保証型と連帯債務型があり、連帯債務型の場合は両者が住宅ローン控除を受けられます。ただし、連帯保証型では収入を合算した側は住宅ローン控除の対象外となります。

どの方式を選ぶかは、夫婦の働き方や将来設計によって異なります。例えば、どちらかが将来的に仕事を辞める可能性がある場合、ペアローンでは返済計画に影響が出る点に注意が必要です。

再婚時の住宅ローン審査で押さえるべき6つの重要ポイント

再婚特有の事情が住宅ローン審査にどう影響するのか、金融機関が重視するポイントを解説します。通常の審査基準に加えて、再婚ならではのチェック項目があることを理解しておきましょう。事前審査の段階で正確な情報を申告することが、スムーズな融資承認への近道となります。

1. 前の住宅ローンの残債

前の結婚で組んだ住宅ローンが残っている場合、金融機関は返済負担率を厳しくチェックします。返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のことで、一般的には35%以内が目安とされています。

既存の住宅ローンの月々の返済額は、新規の借入審査において債務として計上されます。完済している場合は問題ありませんが、残債がある状態で新たな借入を希望する場合、審査のハードルは上がります。

元配偶者が住んでいる家のローンを引き続き支払っているケースでは、自分の収入から二重に返済することになるため、借入可能額が大幅に制限される可能性があります。可能であれば、新規借入の前に完済や借り換えを検討することをおすすめします。

2. 養育費の支払い

養育費を支払っている場合、金融機関によっては返済負担率の計算に含めることがあります。公正証書などで取り決めた養育費は、契約上の支払義務として認識されるためです。

月々の養育費が5万円、住宅ローンの希望返済額が10万円の場合、合計15万円の支払い能力があるかどうかを審査されます。源泉徴収票や課税証明書から年収を確認し、これらの支払いが可能かどうか判断されます。

養育費の支払期間が長い場合や金額が大きい場合は、借入金額に影響が出る可能性が高くなります。審査時には正直に申告することが重要で、後から発覚すると契約違反となるリスクもあります。金融機関によって判断基準が異なるため、複数の金融機関に相談してみるのも一つの方法です。

3. 再婚相手の信用情報

ペアローンや収入合算を利用する場合、再婚相手の信用情報も審査の対象となります。信用情報機関に登録されている過去の借入状況、返済履歴、延滞の有無などが確認されます。

過去にクレジットカードの支払いを延滞していたり、消費者金融からの借入がある場合、審査に影響する可能性があります。特に直近数年間の信用情報は重視されるため、心配な場合は事前に信用情報機関に開示請求をして確認しておくとよいでしょう。

再婚相手が自営業の場合は、会社員とは異なる審査基準が適用されます。確定申告書の直近3年分の提出を求められることが多く、収入の安定性や事業の継続性が評価されます。フラット35など、自営業者でも利用しやすい住宅ローン商品を検討するのも選択肢の一つです。

4. 連れ子の有無と今後のライフプラン

家族構成の変化は、将来の支出として考慮されることがあります。連れ子がいる場合、教育費や生活費の増加が見込まれるため、返済計画の妥当性がチェックされます。

特に子どもが複数いる場合や、これから進学を控えている場合は、長期的な資金計画を金融機関に説明できるよう準備しておくことが重要です。具体的な返済計画や家計の収支状況を示すことで、審査担当者の理解を得やすくなります。

再婚後に新たに子どもを予定している場合も、収入の変動や支出の増加が想定されます。産休・育休中の収入減少や、保育費用の発生なども視野に入れた返済計画を立てることをおすすめします。

5. 申込時の年齢と健康状態

完済時年齢は多くの金融機関で80歳未満と設定されています。例えば、45歳で35年ローンを組むと完済時は80歳となり、審査が厳しくなる可能性があります。

団体信用生命保険への加入も重要なポイントです。団信は住宅ローンの債務者に万が一のことがあった場合、保険金で残債が完済される仕組みで、多くの金融機関で加入が必須条件となっています。

健康状態に不安がある場合、団信の加入を断られることがあります。その場合はワイド団信という、加入条件が緩和された保険商品を検討するか、フラット35のように団信加入が任意の住宅ローンを選ぶという方法もあります。ただし、団信に加入しない場合は、別途生命保険での保障を検討する必要があります。

6. 勤続年数や年収の安定性

金融機関は勤続年数を重視します。一般的には勤続3年以上が望ましいとされ、転職直後の場合は審査が厳しくなることがあります。雇用形態も確認され、正社員の方が契約社員やパート勤務よりも有利です。

年収の安定性も重要な審査項目です。源泉徴収票や課税証明書で過去の収入推移を確認され、年収が安定しているか、増加傾向にあるかなどが評価されます。歩合給やインセンティブの割合が高い職種の場合、固定給部分を中心に審査されることもあります。

再婚を機に転職を考えている場合は、住宅ローンの申し込みタイミングに注意が必要です。できれば転職前に審査を通しておくか、転職後に勤続年数を積んでから申し込むことを検討してください。

【手続き解説】再婚後の住宅ローン名義変更と団信の見直し

再婚後に必要となる各種手続きは、一見複雑に思えますが、一つずつ整理して進めれば問題ありません。特に名義変更と団信の受取人変更は、将来のトラブルを避けるために必ず対応しておきたい項目です。ここでは実際の手続きの流れと注意点を詳しく解説します。

住宅ローンの名義変更・借り換えの流れ

住宅ローンの名義変更は、金融機関の承諾なしには行えません。まずは現在借入している金融機関に相談し、名義変更が可能かどうかを確認してください。多くの場合、新たに名義人となる人の審査が必要となります。

名義変更の手続きでは、新名義人の収入証明書類、源泉徴収票、課税証明書などの提出を求められます。再婚相手に変更する場合は、その方の信用情報や返済能力が審査されます。金融機関が承諾すれば、契約書の作り直しと不動産登記の変更手続きに進みます。

借り換えという選択肢もあります。別の金融機関で新たに住宅ローンを組み直し、既存のローンを完済する方法です。借り換えにより金利が下がる場合や、返済期間を見直したい場合に有効な手段となります。ただし、諸費用として登記費用、保証料、事務手数料などがかかるため、総合的なコスト比較が必要です。

司法書士に依頼する場合の費用相場は、登記内容によりますが10万円から30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。手続きには1ヶ月から2ヶ月程度の期間がかかることが一般的です。

忘れてはいけない団信(団体信用生命保険)の受取人変更

団体信用生命保険は住宅ローンに付帯する保険で、債務者に万が一のことがあった場合に残債が保険金で完済されます。再婚した場合、受取人や連絡先の変更手続きを必ず行ってください。

受取人の変更は、金融機関または保険会社に連絡して手続きを行います。必要書類として、婚姻届受理証明書や戸籍謄本の提出を求められることがあります。手続きを怠ると、万が一の際に前の配偶者に連絡が行くなど、トラブルの原因となる可能性があります。

生命保険の見直しも合わせて検討することをおすすめします。再婚により家族構成が変わった場合、必要保障額も変わってきます。団信でカバーされる住宅ローン以外の保障について、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるのもよいでしょう。

変更手続きは通常1週間から2週間程度で完了しますが、金融機関によって異なります。再婚後できるだけ早く対応することが、現在の家族を守ることにつながります。

再婚後の住宅ローンに関するよくある質問(Q&A)

実際に相談窓口に寄せられる質問の中から、特に多いものをピックアップしてお答えします。同じような悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

Q. 再婚相手に前の住宅ローンのことを知られたくないのですが…

住宅ローンの契約や審査では、債務の申告が求められます。特にペアローンや収入合算を利用する場合、互いの債務状況を開示する必要があり、隠すことは実質的に困難です。

単独名義で新たにローンを組む場合でも、金融機関は信用情報機関を通じて既存の借入状況を確認します。虚偽の申告をすると契約違反となり、最悪の場合、融資が実行されなかったり、後から一括返済を求められる可能性もあります。

再婚を機に新しい生活を始めるのであれば、お互いの経済状況を正直に話し合うことが信頼関係の構築につながります。前の住宅ローンがあることは決して恥ずかしいことではなく、今後の資金計画を立てる上で共有すべき重要な情報です。どうしても相談しづらい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの第三者を交えて話し合うのも一つの方法でしょう。

Q. 再婚相手が自営業/パートでもローンは組めますか?

自営業の場合、会社員と比べて審査基準が異なりますが、住宅ローンを組むこと自体は可能です。ただし、確定申告書の直近3年分の提出が求められ、収入の安定性や事業の継続性が重視されます。

黒字決算が続いていること、売上や所得が安定または増加傾向にあることが評価のポイントとなります。業歴が長いほど有利で、最低でも3年以上の事業実績があることが望ましいとされています。フラット35は自営業者にも比較的利用しやすい住宅ローン商品として知られています。

パート勤務の場合も、収入合算やペアローンの利用は可能です。ただし、雇用形態や勤続年数、年収の金額によって、主債務者として単独で組むのは難しいケースもあります。パート収入を合算することで世帯収入を増やし、借入金額を上げる方法が一般的です。

いずれの場合も、金融機関によって審査基準が異なるため、複数の金融機関や住宅ローンアドバイザーに相談してみることをおすすめします。

Q. 相続で揉めないために、今からできることはありますか?

再婚後の住まいについて、将来の相続を見据えた対策は非常に重要です。特に連れ子がいる場合や、前の配偶者との間に子どもがいる場合は、遺産分割でトラブルになるケースが少なくありません。

不動産の所有権を明確にしておくことが第一歩です。共有名義の場合、相続時に権利関係が複雑化する可能性があります。単独名義にするか、どちらの名義にするかは、家族構成や資産状況を考慮して決定してください。

遺言書の作成も有効な対策です。公正証書遺言として残しておけば、自分の意思を明確に示すことができ、相続人間のトラブルを防ぐことにつながります。遺言書には、誰にどの財産を相続させるかを具体的に記載してください。

生命保険の受取人指定や、団信の受取人変更も忘れずに行いましょう。税理士や弁護士に相談し、相続税の試算や、遺留分への配慮なども含めた総合的な対策を立てることをおすすめします。早めの準備が、家族の将来を守ることにつながります。

まとめ:再婚後の住宅ローンは専門家への相談が解決の近道

再婚時の住宅ローンは、法律、税金、金融など専門的な知識が求められる場面が多くあります。住宅ローンの残債、養育費の支払い、家族構成の変化など、考慮すべき要素が複数重なるため、一人で抱え込まずに専門家に相談することが重要です。

不動産会社、ファイナンシャルプランナー、司法書士、弁護士など、それぞれの専門分野から適切なアドバイスを受けることで、最適なプランを立てることができます。無料相談を実施している事業者も多いので、まずは気軽に問い合わせてみてください。

再婚後の新しい生活を安心してスタートさせるために、住まいの問題をしっかりと解決しておきましょう。ご自身の状況に合った選択をすることが、家族の将来を守ることにつながります。

この記事の執筆者
笹井 信弘
ファイナンスや法令に関する豊富な知識と経験を活かし、資産運用や不動産に関する悩みを抱える方々の相談に親身に対応しています。相談員として一人ひとりの状況に寄り添い、最適な解決策を提案するだけでなく、より多くの方が安心して資産や不動産に向き合える社会を目指し、書籍の執筆・出版活動にも力を入れています。

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