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フリーランス転身後の税金滞納で差し押さえ、公売スケジュールが決定。家族に打ち明けられず一人で悩み続けた8年間

任意売却

相談者様のプロフィール

相談者の情報
森川裕介さん(仮)、52歳、千葉県船橋市在住。
フリーランスのシステムエンジニアとして8年前に独立した個人事業主。
年収は約650万円(変動あり)。
妻の由紀子さん(50歳)は元事務職で、現在は夫の事業の経理サポートを担当。
長男の拓海さん(23歳)は社会人2年目で都内で一人暮らし、次男の海斗さん(20歳)は私立大学3年生で自宅から通学中。

物件・ローンの情報
2010年に購入した築22年の中古マンション(4LDK、14階建ての9階部分)。購入価格は4,500万円で、住宅ローン残債は約2,100万円。
月々の返済額は約11.2万円。査定額は約2,800万円前後。
税金滞納額は延滞金を含めて約240万円に膨らみ、不動産が差し押さえられ、公売実施スケジュールが決定していた。

ご相談の内容

森川さんは8年前、45歳でIT企業を退職し、フリーランスのシステムエンジニアとして独立しました。当初は会社員時代より年収が100万円以上アップし、順調な滑り出しでした。しかし、独立後は所得税や住民税、国民健康保険料、国民年金保険料などの支払いが大幅に増加し、確定申告も妻と二人でネット検索しながら行っていたため、経費計上や控除について十分に理解できていませんでした。

独立3年目から仕事の波が激しくなり、年収が580万円に落ち込んだ時期がありました。しかし前年の所得をベースに計算された税金の請求が届き、支払いが追いつかなくなりました。同時期に次男の私立大学進学も重なり、貯金を大幅に取り崩す状況に。住民税を2期分滞納し、督促状が届くようになりました。

「次の入金があれば払える」と先延ばしにしていましたが、クライアントからの入金が遅れることもあり、結局支払えず。市役所から電話がかかってくるようになり、「来月必ず払います」と言い訳を繰り返しました。住宅ローンは何とか払い続けていましたが、税金の滞納は雪だるま式に増え続け、延滞金が加算されて総額約180万円にまで膨れ上がりました。

市役所から「このままでは財産調査に入ります」という文書が届いた時、初めて「差し押さえ」という言葉を目にし、背筋が凍る思いがしました。妻に相談すると「私も経理やってたんだから、もっと早く言ってよ!」と責められ、夫婦関係がギクシャクし始めました。

市役所の納税課で分納相談を行い、月々3万円ずつ支払うことで合意しましたが、3ヶ月後に大きな案件がキャンセルになり、収入が大幅減。分納の約束を守れなくなりました。この頃から夜眠れない日が増え、仕事のパフォーマンスも低下していきました。

1年前の春、市役所から「差押予告通知書」が届き、手が震えて通知書をまともに読むことができませんでした。次男に「お父さん、何か困ってることある?」と声をかけられましたが、「仕事が忙しいだけだ」とごまかしました。夏にはついに「不動産差押通知書」が届き、自宅マンションが差し押さえられました。この時点で滞納額は延滞金を含めて約240万円。妻に見せると、妻は泣き崩れました。

半年前の秋、市役所から「公売実施のお知らせ」という文書が届きました。「公売」という言葉の意味を調べて愕然としました。強制的にインターネットオークションで自宅が売られてしまうという内容でした。妻と深夜まで話し合いましたが、答えが見つかりませんでした。長男にも状況を伝えると、「俺が貯金出すよ」と言ってくれましたが、社会人2年目の息子に迷惑はかけられませんでした。

3ヶ月前、市役所から「公売実施スケジュール」が届きました。見積価額は約2,500万円。住宅ローン残債を差し引いても滞納税金を払える金額ではありましたが、「公売」という方法で家を失うことへの恐怖と屈辱感が強くありました。「公売 任意売却 違い」と検索し、任意売却なら市場価格に近い金額で売却でき、公売より有利な条件になる可能性が高いことを知りましたが、「公売のスケジュールが決まってからでは遅いのでは?」という不安がありました。

妻が「もう時間がないよ。専門家に相談しよう」と強く説得してくれましたが、「今さら相談しても間に合わない」「どうせ高額な手数料を取られるだけだ」という諦めと不信感がありました。

決意のきっかけは、ある晩次男が「お父さん、公売って何?市役所から書類が届いてたけど」と聞いてきたことでした。隠し切れなくなり状況を説明すると、次男は「だったら早く相談しようよ。俺も就活終わったら働いて家族を支えるから」と言ってくれました。20歳の息子のその言葉に、「これ以上子供たちに負担をかけるわけにはいかない」と決意し、妻と次男に背中を押されて、任意売却の相談窓口に電話をかけることを決めました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

森川さんご夫婦からのご相談を受けた時点で、既に公売の実施スケジュールが決定しており、入札開始まで約2ヶ月という緊急性の高い状況でした。まず公売の詳細なスケジュールを確認し、インターネット公売の公開日がいつなのかを把握した上で、公開前に公売を取り下げてもらえるよう、迅速に動く必要があると判断しました。

初回面談では、森川さんの事業収支や滞納税金の内訳を詳細に確認しました。住宅ローン残債が約2,100万円に対し、査定額が約2,800万円とオーバーローンではなかったため、売却後の資金で滞納税金を完済できる見込みがありました。これは任意売却を進める上で非常に重要なポイントでした。

すぐに市役所の納税課に連絡を取り、公売の取り下げ条件について確認しました。市役所側からは「滞納税金の全額納付、または確実な納付の見込みが立つこと」が条件として示されました。私たちは任意売却による売却計画を提示し、「公売よりも高値で売却できる可能性が高く、結果として市としても税金を確実に回収できる」という点を強調しました。

並行して、物件の売却活動を開始しました。築22年ですが、駅から徒歩8分という好立地と、管理状態の良いマンションであることをアピールポイントとして、複数の不動産業者に査定を依頼しました。最終的に約2,850万円での売却が決まり、買主も引き渡し時期について柔軟に対応してくれることになりました。

売買契約時には、買主から手付金として285万円(売却価格の10%)を受領しました。この手付金を活用し、市役所に「売買契約が成立し、決済日に滞納税金を全額納付できる見込みが立った」という旨を報告しました。市役所は手付金の入金を確認した上で、「決済日までに全額納付されることを条件に公売を取り下げる」という判断を下してくれました。これにより、公売の公開日前に公売を取り下げることができ、森川さんご家族の精神的負担を大きく軽減することができました。

住宅ローンの債権者である銀行には、売却の経緯と抵当権抹消の手続きについて説明し、協力を得ました。また、森川さんには税理士の紹介も行い、今後の確定申告や経理業務について専門家のサポートを受けられる体制を整えました。

売却後の転居先については、次男さんが大学を卒業するまでは通学に支障が出ないよう、船橋市内か近隣エリアで賃貸物件を探すことをご提案しました。最終的に船橋市内の2LDKの賃貸マンション(家賃9.5万円)が見つかり、決済日の2週間後に引っ越しを完了されました。

決済日には、売却代金約2,850万円から住宅ローン残債約2,100万円を返済し、滞納税金約240万円を完済。諸費用や引っ越し費用を差し引いても、約350万円が手元に残りました。この資金を今後の生活資金として確保することができ、森川さんご家族の生活再建の基盤を築くことができました。

相談者の声

公売のスケジュールが決まってから相談したので、正直もう手遅れだと思っていました。でも担当の方が「まだ間に合います。すぐに動きましょう」と言ってくれて、初めて希望が見えました。

それまで8年間、税金のことを一人で抱え込んで、妻にも子供にも心配をかけまいと隠し続けていました。でも結局、自分の力だけではどうにもならなくなって、家族にも迷惑をかける結果になってしまいました。もっと早く専門家に相談していればと後悔しています。

任意売却について何も知らなかったので、「公売と何が違うの?」「どうせ同じように家を失うんでしょ?」と思っていました。でも、公売よりも高く売れること、自分の意思で売却できること、何より公売という強制的な形ではなく、自分で決断して家を手放せることの意味が大きかったです。これが最後の尊厳だと感じました。

担当の方が市役所との交渉もすべて代行してくれて、公売を取り下げてもらえた時は、本当に気が楽になりました。決済を迎える前に公売が取り下げられたことで、家族全員が少し前を向けるようになりました。

税理士の先生も紹介してもらい、今は確定申告や経理もしっかりサポートしてもらっています。もう二度と税金で苦しむことがないよう、専門家の力を借りることの大切さを痛感しました。

新しいマンションは前より狭いですが、家族3人で食卓を囲む時間は前より温かく感じます。次男も「お父さん、元気になったね」と言ってくれて、本当に相談して良かったと思います。

担当者のコメント

森川さんのケースは、フリーランスや個人事業主の方が陥りやすい税金滞納の典型的な例です。会社員時代は給与から天引きされていた税金が、独立後は自分で管理する必要があり、事業の波による収入変動もあって、支払いが後回しになってしまうことが少なくありません。

特に経費計上や控除について十分な知識がないまま確定申告を行っていると、本来より多い税金を支払うことになったり、逆に申告漏れで追徴課税を受けることもあります。独立時から税理士に相談することを強くお勧めします。

税金の滞納は放置すると延滞金が加算され続け、最終的には財産の差し押さえや公売に至ります。森川さんの場合、公売のスケジュールが決定した後のご相談でしたが、まだ公開日前だったため、任意売却による解決が可能でした。

今回のケースでは、市役所との交渉において、「公売よりも任意売却の方が高値で売却でき、結果として税金を確実に回収できる」という点を丁寧に説明したことが功を奏しました。売買契約時の手付金を滞納税金の納付原資として示すことで、市役所も公売取り下げの判断をしやすくなりました。

公売が決まってからでも、公開日前であれば任意売却で解決できる可能性があります。また、任意売却では市場価格に近い金額で売却できるため、公売の見積価額よりも有利な条件になることが多く、残る資金も大きくなります。

税金滞納でお悩みの方は、差し押さえや公売の通知が届いても諦めず、できるだけ早い段階でご相談ください。一人で抱え込まず、専門家と一緒に最善の解決策を見つけましょう。