相談者のプロフィール
早川誠二さん(仮)、48歳、埼玉県春日部市在住。
長距離トラック運転手(冷凍食品配送)として地元の運送会社に14年間勤務。
年収は残業・深夜手当込みで約420万円。
妻の久美子さん(仮・45歳)はスーパーでパート勤務、月収7〜8万円。
長男(20歳・調理師専門学校在学中)、長女(15歳・中学3年生)の4人家族。
【物件・ローンの情報】
2006年に新築で購入した4LDKの一戸建て(築19年)。
住宅ローン残債は約1,950万円。月々の返済は95,000円、ボーナス払いあり(年2回各15万円)。
物件の概算査定額は約1,550〜1,650万円。
ご相談の内容
誠二さんが最初につまずいたのは、2020年のコロナ禍でした。運送会社の取引先が縮小し、数ヶ月間にわたって月収が大幅に減少。その不足分を補うためにカードローンを利用したことが、長い苦しさの起点になりました。「すぐ返せるから」という判断でしたが、翌年には残高が70万円を超えていました。
住宅ローンの返済を最優先にしながら生活を維持しようとした結果、固定資産税(年間約14万円)の支払いを後回しにするようになりました。2022年分を払えないまま2023年を迎え、延滞金も加わって督促状が届くようになったころには、すでに滞納総額は30万円近くに膨らんでいました。
転機は2023年秋です。春日部市の税務課から「差し押さえの予告通知」が届きました。誠二さんが長距離の仕事で不在にしていたため、最初に封を開けたのは久美子さんでした。夫が帰宅するまでの数時間、久美子さんは夕食の準備をしながらその通知のことを誰にも言えずにいたと言います。帰宅した誠二さんに通知を見せると、夫婦ともに言葉が出ない時間が続きました。翌日、市役所に電話した誠二さんは、担当者から「分割払いの相談はできるが、差し押さえの手続きはすでに始まっている」と告げられました。
2024年春、事態はさらに深刻になりました。給与振込口座の残高が一部差し押さえられ、長女の塾の月謝引き落としが通らなかったのです。久美子さんが塾の先生に事情を説明して頭を下げることになりました。誠二さんはこのときのことを「普通の家族の生活じゃなくなってきたと思った」と振り返っています。住宅ローンも、この時期に2ヶ月連続で引き落としができない状況になっていました。
その夏、住宅ローンを借りている銀行から「期限の利益喪失に関するお知らせ」が届きました。調べると、一括返済を求められる可能性がある状態だということがわかりました。誠二さんはこのとき初めて、「もう自分だけでどうにかできる段階を超えた」と判断したと言います。
夫婦の会話は表面上は普通に続いていましたが、お金の話になると誠二さんが黙り込むため、久美子さんも深く踏み込めない空気になっていました。ある夜、久美子さんが「家を売ることになっても仕方ないと思っている。でも子どもには言わないでほしい」と静かに言いました。誠二さんはその言葉に少し気持ちが楽になりながらも、「ここまで追い詰めてしまった」という感覚を強く持ちました。
相談前、誠二さんはスマートフォンで断片的に情報を調べていましたが、内容の理解には誤りが混じっていました。「任意売却をしたら信用情報がボロボロになって、二度とローンが組めなくなる」「差し押さえされたら自分では何も動けない」「不動産会社に相談したら、すぐ売り出されてしまう」といった思い込みがあり、相談自体を躊躇する原因になっていました。それでも、職場の同僚から「専門家に早めに動いてもらった方がいい、俺は遅すぎた」という言葉を思い出し、「埼玉 任意売却 相談」と検索して無料相談窓口を見つけました。電話をかける直前、誠二さんは10分ほど画面を見たまま動けなかったそうです。
ご提案・解決までの流れ
初回の相談では、誠二さんが抱えている状況を整理することから始めました。住宅ローンの滞納、固定資産税の差し押さえ、カードローンの残債が同時並行で発生していたため、どの問題から手をつけるべきかを丁寧に説明しました。
まず誠二さんが誤解していた点を解消しました。任意売却は競売とは異なり、売却価格や引き渡し時期について交渉の余地があること、自己破産とは別の手続きであること、差し押さえが入っていても任意売却の手続き自体は進められる場合があることを、具体的な事例を交えながら説明しました。固定資産税の差し押さえと住宅ローンの期限の利益喪失が重なっているケースでは、複数の債権者との調整が必要になるため、早期に動き出すことが解決の質に直結します。誠二さんのケースも、相談のタイミングとしては決して早くはありませんでしたが、競売開始決定の前に動けたことが大きな前提になりました。
次に、住宅ローンを借りている銀行および固定資産税の差し押さえを行っている春日部市との交渉を開始しました。物件の査定を進め、市場価格に近い条件での売却活動を行いながら、内覧の日時や進め方はご家族の希望を優先しました。長女が中学3年生で受験期にあたっていたため、学校生活への影響が出ないよう、内覧は平日の日中に限定し、近隣への告知は最小限にとどめました。
売却成立後、残債の一部については銀行と分割返済の交渉を行い、誠二さんの収入規模に見合った返済計画を設定しました。また、転居先については現在の学区内で賃貸物件を探すことを条件に絞り込み、長女が同じ中学校に通い続けられる環境を確保しました。引き渡し時期も長女の受験日程を考慮したスケジュールで調整できました。
相談者の声

電話する直前まで、正直迷っていました。差し押さえになっていたら、もう自分には何もできないと思い込んでいたんです。でも実際に話を聞いてもらうと、「まだ選択肢がある」と教えてもらえて、それだけで少し呼吸が楽になりました。
任意売却と自己破産は別の話だということ、競売になる前に動けば条件の交渉ができるということ、ネットで調べていたことと全然違う部分がいくつもあって、もっと早く電話しておけばよかったと思いました。一人でスマホを見ながら情報を集めていた時間は、結局何も解決していなかったので。
娘の受験が終わるまで待ちたいという気持ちがあって、それがずっと決断を遅らせていた理由の一つでした。でも相談してみたら、その希望もちゃんと聞いてもらえた。同じ学区内の家に移れたので、娘の学校は変わらずに済みました。妻も「もっと早く言ってほしかった」と言いながら、ほっとした顔をしていました。
担当者のコメント

誠二さんは初回の相談から、家族のことだけを気にされていました。ご自身の状況よりも、お子さんの受験や学校生活のことを先に話されていたのが印象的でした。
このケースで難しかったのは、固定資産税の差し押さえと住宅ローンの期限の利益喪失が重なって発生していた点です。複数の債権者が絡む場合、交渉の順序と進め方が解決の内容に影響するため、状況の整理を丁寧に行うことが重要でした。また、ご家族が引き続き同じ地域で生活できるよう、転居先の条件と引き渡し時期の調整を同時に進めたことで、生活の継続性を確保できました。
税金の滞納と住宅ローンの滞納が重なっているケースは、どちらか一方だけを相談窓口に持ち込んでも解決が難しいことがあります。状況が複雑であればあるほど、早い段階で専門家に全体を見てもらうことが、選択肢を残すことにつながります。「もう遅いかもしれない」と思っている方も、まずは現状を話していただくところから始めてください。
