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がんで休職、住宅ローンを3ヶ月滞納。「家族に迷惑をかけたくない」と一人で抱え込んでいた

任意売却

相談者プロフィール

相談者の情報
堀口雅彦さん(仮)、47歳、埼玉県入間市在住。
自動車部品メーカーの品質管理部門に22年間勤務。
発病前の年収は約480万円。現在はがん治療のため休職中で、傷病手当金(月額約18万円)を受給中。
妻(45歳・パート勤務)、長女(17歳・高校3年生)、長男(13歳・中学2年生)の4人家族。

物件・ローンの情報
2012年に新築建売で購入した木造2階建て4LDKの戸建て(埼玉県入間市)。
購入価格3,280万円。
住宅ローン残債は約2,180万円。
月々の返済は約8.9万円(ボーナス払いなし)。

ご相談の内容

堀口さんは、長女の小学校入学をきっかけに購入した建売住宅で、13年にわたって家族4人で暮らしてきました。自動車部品メーカーの品質管理部門で22年間勤め上げ、大きなトラブルもなく、堅実な暮らしを続けていました。住宅ローンの返済も一度も遅れたことはありませんでした。

状況が変わったのは、2024年6月の健康診断でした。肝機能の異常値を指摘され、精密検査を受けた結果、肝細胞がん(ステージⅡ)と診断されました。同年7月に入院し、肝臓の部分切除手術を受けました。手術は成功しましたが、退院後も倦怠感が強く、工場での立ち仕事や重量物を扱う業務への復帰は困難と主治医に告げられ、休職に入りました。

休職後は、傷病手当金(月額約18万円)と妻のパート収入(月額約9万円)を合わせた約27万円で生活をやりくりしていました。しかし、住宅ローン8.9万円に加え、長女の大学受験に向けた費用、月約2万円の通院費、日々の食費や光熱費を合わせると、毎月3〜5万円の赤字が出る状態でした。入院・手術時の医療費で貯蓄は大きく減っており、残高は約90万円にまで落ち込んでいました。

2025年1月、住宅ローンの引き落とし日に口座残高が不足し、初めて返済が遅れました。翌月、翌々月も支払いが追いつかず、3ヶ月連続の滞納となりました。銀行からは「期限の利益の喪失」について説明する書面が届きましたが、堀口さんは書面の意味がよくわからず、スマホで「住宅ローン 3ヶ月滞納 どうなる」と検索して初めて「競売」や「任意売却」という言葉を知りました。

堀口さんが精神的にもっとも苦しかったのは、家族に滞納の事実を言い出せなかった時期でした。妻の裕子さんは堀口さんの体調を心配し、「お金のことは何とかなるから」と声をかけてくれていましたが、実際には何とかなっていないことを堀口さんだけが知っている状態でした。銀行からの書面も、しばらく引き出しの中にしまったままにしていました。夜、家族が寝た後にリビングでスマホの検索結果を読み続ける日が続き、同じキーワードで何度も調べてはかえって混乱を深めていました。

4月のある夜、堀口さんはようやく妻に「ローンが3ヶ月分払えていない」と打ち明けました。裕子さんはしばらく黙った後、「なんでもっと早く言ってくれなかったの」と言いました。その夜、二人でリビングのテーブルに通帳や請求書を並べ、初めて家計の全体像を共有しました。数字を確認した裕子さんは、「これ、どうにもならないよね」と小さな声で言いました。

翌日、裕子さんが市役所の生活相談窓口に電話をかけ、法テラスの紹介を受けました。そこから任意売却を扱う相談窓口の存在を知り、5月上旬に当相談所へ連絡をいただきました。堀口さんは電話をかける直前、10分ほどスマホを手にしたまま動けなかったそうです。「電話したら本当に終わりになるのではないか」という恐れと、「このまま何もしないで競売になる方がもっと怖い」という思いの間で揺れていたと、後に語ってくれました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

初回の面談では、堀口さんご夫婦のお話を時間をかけてお聞きしました。堀口さんは緊張した様子でしたが、裕子さんが横で何度もうなずきながら状況を補足してくれたことで、少しずつ落ち着いて話してくださるようになりました。

まず、堀口さんが抱えていた誤解を一つずつ解消することから始めました。堀口さんは「任意売却をすると一生ローンが組めなくなる」と考えていましたが、すでに3ヶ月の滞納がある時点で信用情報には事故記録が残っている可能性が高いこと、任意売却そのものが信用情報を悪化させるわけではないことをお伝えしました。また、「売却後の残債は一括返済を求められる」と思い込んでいましたが、債権者と交渉の上、無理のない月額での分割返済に切り替えられるケースが多いことをご説明しました。競売との違い――売却価格、引越し時期の調整、近隣への配慮、引越し費用の捻出――についても、具体的な数字を示しながらお話ししました。

堀口さんご夫婦が一番心配されていたのは、長女の彩花さんの受験への影響でした。彩花さんは高校3年生で、来春の大学受験を控えています。「引越しの時期を受験が落ち着く春まで調整できないか」というご希望を最優先に、売却活動のスケジュールを組みました。

物件の査定を行った結果、市場価格は約1,700万円と見込まれ、残債の約2,180万円との間に約480万円の差額が生じる状況でした。この残債の処理について債権者である銀行と粘り強く交渉を重ね、売却後の残債については月額1万円からの分割返済に応じていただくことができました。堀口さんの傷病手当金の残り受給期間や、復職の見通しなどの情報を丁寧に整理して債権者に提出したことが、交渉をスムーズに進める材料になりました。

売却活動においては、近隣やお子さまの学校に知られることへの配慮を徹底しました。内覧は堀口さんご夫婦が時間帯を指定できるようにし、看板や広告も限定的な掲載にとどめました。約2ヶ月の売却活動を経て、1,680万円での成約に至りました。

引き渡しの時期は、彩花さんの受験が終わる翌年3月以降に調整し、長男の蓮くんの学区にも配慮して、同じ入間市内の賃貸物件(家賃6.5万円)への転居を実現しました。月々の住居費はローン返済時の8.9万円から6.5万円に下がり、残債の分割返済を加えても、傷病手当金とパート収入の範囲内で無理なく生活を維持できる家計に改善されました。

相談者の声

最初に電話をかけたときは、正直なところ「もう手遅れなのではないか」と思っていました。3ヶ月もローンを滞納してしまって、どうにもならないだろうと。ネットで調べれば調べるほど怖い情報ばかり目に入ってきて、任意売却と自己破産の違いもよくわかっていませんでした。「売った後に残りの借金を一括で返せ」と言われるのだと思い込んでいたので、相談する前から諦めかけていたというのが本当のところです。

相談所の方に「残債は分割返済で交渉できます」と言われたとき、少し肩の力が抜けたのを覚えています。競売と任意売却の違いを、数字を見せながら説明してもらえたことで、ようやく自分が何を選ぶべきか考えられるようになりました。

一番ありがたかったのは、娘の受験スケジュールに合わせて引き渡しの時期を調整してもらえたことです。妻と二人で一番心配していたことだったので、それが可能だとわかったときは本当にほっとしました。家を手放すのはつらいですが、競売で追い出されるのとは全く違います。自分たちのペースで次の暮らしを準備できたことが、家族にとっては大きかったと思います。

振り返ると、もっと早く相談していればよかったと思います。一人で抱え込んでいた2〜3ヶ月は、ただ不安が大きくなるだけの時間でした。妻に打ち明けて、妻が市役所に電話してくれたことで道が開けました。同じように悩んでいる方がいたら、まずは誰かに話してみてほしいと思います。

担当者のコメント

堀口さんは、22年間まじめに働き、住宅ローンも一度も遅れたことがなかった方です。がんという予期しない病気によって休職を余儀なくされ、収入が大きく減少したことで返済が困難になりました。こうした状況は誰にでも起こり得ることであり、堀口さん自身に落ち度があったわけではありません。

ご相談時、堀口さんは任意売却に対していくつかの誤解を持っていらっしゃいました。特に「残債の一括返済を求められる」「信用情報が今以上に悪くなる」という思い込みが、相談を躊躇させていた大きな要因でした。こうした誤解は堀口さんに限ったことではなく、多くのご相談者に共通しています。正確な情報を早い段階でお伝えし、ご自身の状況を客観的に把握していただくことが、解決への第一歩になります。

今回の案件では、長女の大学受験という家族の大きなイベントに配慮したスケジュール調整と、債権者への丁寧な状況説明による分割返済の合意が、解決のポイントになりました。堀口さんの傷病手当金の受給状況や復職の見込みを整理して債権者に伝えたことで、現実的な返済プランへの理解を得ることができました。

住宅ローンの返済でお悩みの方は、滞納が始まった段階で、できるだけ早くご相談いただくことをお勧めします。早い段階でのご相談であるほど、売却の条件交渉や引越し時期の調整など、選択肢の幅が広がります。一人で悩み続けても状況は改善しません。まずはお話をお聞かせください。