相談者プロフィール
【相談車の情報】
菊池誠一さん(仮)、48歳、埼玉県川越市在住。
印刷会社の営業部長として21年間勤務。
2023年秋、会社の事業縮小による早期退職勧奨を受け退職。退職金は約480万円。
その後9ヶ月の求職活動を経て内定が得られず、現在は警備会社のアルバイトとして勤務。
年収は退職前の650万円から約220万円に減少。
妻の恵子さん(46歳・スーパーのパート、月収約9万円)、専門学校2年生の長男(20歳)、高校2年生の長女(17歳)の4人家族。
【住宅・ローンの情報】
2011年に川越市内の戸建て(4LDK)を3,980万円で購入。
住宅ローン残債は約2,950万円。2024年時点の推定市場価値は約2,300万円で、約650万円のオーバーローン状態。
月々の返済額は約115,000円。
ご相談の内容
退職後しばらくは退職金と貯蓄を取り崩してローン返済を続けていましたが、9ヶ月に及ぶ求職活動で内定はゼロ。「半年以内には決まる」と妻に言い続けてきた言葉が、少しずつ重くなっていきました。2024年秋、ついに1回目の返済遅延が発生し、銀行から書面が届きました。その後も返済が続かず、銀行の担当者から「競売になる前に対応を」という言葉を直接聞いたとき、問題の深刻さが現実として迫ってきました。
妻の恵子さんとはこの間、問題の核心を正面から話し合えていませんでした。恵子さんは薄々気づきながら待っていて、そのすれ違いがかえって菊池さんの精神的な重荷になっていました。長男には「自分が奨学金を借りて通っているのに、家の心配まで背負わせたくない」と、一切話していませんでした。
相談を決意した直接のきっかけは、夕食の席で長女がぽつりと「お父さん、うちって大丈夫?」と聞いてきたことでした。来年の大学進学を自分から諦める話を持ち出してきた長女の言葉を聞いて、「何もしないでいることが一番ダメだ」と初めて思えたといいます。その夜からスマートフォンで「住宅ローン 払えない」「任意売却」と調べ始め、一週間ほど問い合わせフォームを開いては閉じることを繰り返したあと、ようやく電話をかける決心をしました。
ご提案内容・解決までの流れ
初回相談で最も時間をかけたのは、菊池さんが調べる中で抱えていた疑問の整理でした。「任意売却と競売の違い」「売っても残る債務はどうなるのか」「引越し費用が出るという情報は本当か」——これらに対して、一つずつ丁寧にお伝えしました。
物件はオーバーローン状態のため、売却後も約650万円前後の残債が見込まれました。この点についても早期に銀行と交渉を開始し、残債の分割返済について合意形成を進めました。任意売却では債権者(銀行)の同意を得た上で売却を進めるため、交渉の窓口となる担当者との連絡調整を継続して行いました。
売却活動では、川越市内の築14年・4LDKという物件特性を踏まえ、ファミリー層をターゲットに設定。学区の安定性や生活利便性を前面に出した販売活動を展開し、相談から約4ヶ月で買い手が決まりました。売却代金は全額ローンの返済に充当し、残債については銀行との合意に基づく分割払いに移行しました。
引越し先は菊池さんの希望通り川越市内の賃貸物件を確保。長男・長女がこれまでの生活圏から離れずに済む形を優先しました。引越しにかかる費用についても、交渉の中で一定の充当が認められました。
相談者の声

任意売却のことをネットで調べていたとき、正直どこを信用していいのかわかりませんでした。「無料相談」と書いてあるサイトが多すぎて、どこも同じに見えて。電話する前は「連絡したら、もう後戻りできない気がする」という感覚があって、何度かかけようとしてやめました。
実際に話してみると、売っても残るローンのことをごまかさずに説明してもらえたことが、逆に安心につながりました。残債が残ること自体は想定していましたが、それをちゃんと伝えてくれる相手だとわかって、信頼できると感じました。
妻には「ちゃんと動いてる」と報告できたのが、この半年でいちばん楽になった瞬間だったかもしれません。娘の大学受験については、川越市内に住み続けられることになったので、本人の意向に沿った進路を選ばせてあげられる状況にはなりました。まだ不安がないわけではないですが、方向が決まってからは夜中に目が覚めることはなくなりました。
担当者のコメント

菊池さんが初めてお電話をくださったとき、声のトーンから相当な緊張が伝わってきました。こういったご相談では、「相談すること=家を失うことが決まる」という誤解から、行動が遅れてしまうケースが多くあります。実際には、早めにご相談いただくほど選択肢が広がります。競売に移行してしまうと、売却価格が市場価格を大きく下回ることが多く、残債がさらに膨らむリスクがあります。
今回はオーバーローン状態での任意売却でしたので、残債処理についての銀行交渉が解決の鍵でした。残債が残ること自体はデメリットではありますが、競売と比較すれば売却額・条件ともに有利に進めることができ、残債額を最小限に抑えることにつながります。菊池さんのケースで特に意識したのは、「川越を離れたくない」という家族全員に関わる希望を、できる限り条件に組み込むことでした。住み慣れた地域に留まれたことが、その後の生活再建にとって心理的な安定につながったと感じています。
住宅ローンの返済が厳しくなってきたと感じたら、延滞が続く前にご相談ください。動き出す時期が早いほど、残せる選択肢は確実に増えます。
