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胃がんの手術・長期療養で住宅ローンの返済が困難になった40代会社員の任意売却事例

相談者様のプロフィール

【相談者の情報】
橋本慎一さん(仮)、44歳、埼玉県さいたま市浦和区在住。
製造業の品質管理部門に勤続17年のベテラン社員。年収は手術前で約520万円。
妻(42歳・パート勤務)、長女(16歳・高校1年生)、長男(12歳・中学1年生)の4人家族。
2016年に建て売り一戸建て(4LDK)を購入。住宅ローン残債は約2,600万円、月々の返済は約8万5千円。

ご相談の内容

橋本さんは3年前、定期健診で胃に異常が見つかり、精密検査の結果、早期胃がんと診断されました。幸い早期発見だったため、腹腔鏡手術で切除できましたが、術後の回復に予想以上の時間がかかりました。手術から半年が経過した頃には職場に復帰できると考えていましたが、体力の低下と消化機能の問題から、固形物を思うように食べられない状態が続き、主治医から「もう半年は無理をしないように」と指示されました。

傷病手当金を受給しながら療養を続けましたが、給与の3分の2程度の支給額では、月々8万5千円の住宅ローン返済に加え、治療費や通院費、食事療法に必要な特別食の費用もかさみ、家計は次第に追い詰められていきました。妻がパートの時間を増やして対応しましたが、子供2人の学費や生活費を補うには限界がありました。

橋本さんが最も気にしていたのは、長女の高校進学でした。ちょうど病気が判明した年に長女が高校受験を控えており、「自分の病気のせいで子供の進路に影響を出してはいけない」という気持ちが強く、妻にも本当の家計の厳しさをなかなか打ち明けられませんでした。通帳の残高が減り続ける中、夜中に目が覚めて電卓を叩く日が続いたといいます。

療養開始から1年が過ぎた頃、銀行から住宅ローンの返済状況についての問い合わせが来るようになりました。その頃には貯蓄もほぼ底をつき、妻に正直に状況を話さざるを得なくなりました。妻は「なんで早く言ってくれなかったの」と涙を見せながらも、「二人で考えよう」と前向きな姿勢を見せてくれました。その言葉がきっかけとなり、橋本さんは「このまま銀行に任せて競売になるより、自分たちで動いた方がいい」と思い、インターネットで任意売却について調べ始めました。

調べる中で、任意売却についていくつかの誤解があったことに気づきました。「任意売却をすると信用情報に大きな傷がつき、二度とローンが組めない」「自分から連絡すると銀行に強引な返済を迫られる」といった不安を持っていましたが、専門の相談所が仲介してくれること、また競売よりも条件が整いやすいことを知り、相談を決意しました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

初回のご相談では、橋本さんの体調と今後の就労見通しを丁寧に確認しました。主治医からは復職の目安として半年から1年後という見立てが出ていましたが、フルタイム復帰ができるか否かはまだ不確定な状態でした。

現在の家計収支を整理したところ、毎月の赤字は約5万円に上っており、このまま続ければ数か月以内に住宅ローンの延滞が避けられない状況でした。物件の査定を行ったところ、さいたま市内の立地と築年数から、市場価格は約2,400万円前後と見込まれました。ローン残債の2,600万円には届かない金額でしたが、銀行との交渉によって残債の一部を売却後の分割払いとして処理できる可能性がありました。

橋本さんご夫妻に対しては、以下の流れで進めることをご提案しました。

まず、債権者である銀行に対して任意売却の申し入れを行い、売却活動の期間を確保しました。銀行側も競売より回収額が高くなる可能性があるため、交渉に応じてもらうことができました。次に、売却先の不動産業者との価格交渉を進め、約3か月の活動期間中に2,380万円での売却が成立しました。残債の差額については、橋本さんの復職後に少額ずつ返済していく分割和解の形で銀行と合意しました。

また、売却後の住居については、近隣の賃貸物件への転居を支援しました。長男・長女の通学への影響を最小限にするため、現在の学区内で物件を探し、家賃6万8千円の3LDKへの転居を実現しました。月々の住居費が8万5千円から6万8千円に下がり、家計の圧迫感が大きく改善されました。

手続き全体を通じて、橋本さんの通院スケジュールに合わせて打ち合わせ日を調整し、体力的な負担を考慮して妻が主体となって手続きを進められるようにサポートしました。

相談者の声

最初に相談に来たとき、自分から「ローンが払えません」と言うのは、本当に情けなくて、恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。でも、担当の方が病気の経緯や家族の状況を丁寧に聞いてくれて、責める雰囲気が一切なかったので、正直に話すことができました。

任意売却をすると、二度とローンが組めなくなると思っていましたが、それが全員に当てはまるわけではないこと、また競売になるよりずっと条件がいいということを教えてもらったとき、「もっと早く相談すればよかった」と感じました。一人で抱え込んで、貯蓄を全部使い切る前に動けてよかったです。

引っ越し後は、子供たちの学校も変わらずに済み、家族4人で落ち着いた生活が送れています。体調の方も少しずつ回復していて、主治医からもそろそろ職場復帰の準備を始めていいと言われています。担当の方に、進捗を報告したい気持ちです。妻も「あのとき相談して本当によかった」と言っています。

担当者のコメント

橋本さんは、病気の療養中にもかかわらず、家族への影響を最小限にしたいという気持ちが非常に強い方でした。そのために一人で抱え込む時間が長くなり、結果として家計の余裕がなくなってからのご相談となりました。

病気やけがによる収入減少は、誰にでも起こり得ることです。特に40代は住宅ローンの残債が多く残っている世代でもあり、収入が途絶えると短期間で家計が逼迫しやすい状況にあります。こうしたケースでは、競売になってしまう前に動き出すことが、選択肢の幅を広げる上で非常に重要です。

今回は、銀行との交渉によって残債の処理方法を取り決め、お子様の通学に影響のない範囲での転居を実現することができました。売却後の生活設計についても丁寧に確認しながら進めたことで、橋本さんご家族が新しい環境に安心して移行できたと感じています。

住宅ローンの返済が苦しくなり始めたと感じたら、延滞が始まる前にご相談ください。早い段階ほど、より多くの選択肢を持った状態で対応することができます。