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離婚後も夫名義の住宅ローンが残り、競売通知が届いた事例――埼玉県川口市・40代女性の任意売却解決記録

相談者様のプロフィール

【相談者の情報】
岩田美穂さん(仮)、42歳、埼玉県川口市在住。
会社員(一般事務職)、年収270万円、勤続14年。
子ども2人(長男15歳・中学3年生、次女11歳・小学5年生)の3人家族。
3年前に夫と離婚し、現在は子どもたちと3人で生活している。

【物件・ローンの情報】
2013年に夫婦共同で購入した4LDKの一戸建て(埼玉県川口市)。
住宅ローン残債は約2,400万円(名義は元夫のまま)。月々の返済額は約9万円。
購入時の価格は3,100万円。

ご相談の内容

離婚した3年前、美穂さんは元夫との間でいくつかの取り決めをしました。子どもたちの養育費は月7万円、自宅には美穂さんと子どもたちが引き続き住み続けること、住宅ローンは元夫が支払い続けること——これらを口頭と簡単な書面で確認し合いました。当時は「とにかく子どもたちの生活を守ること」が最優先で、ローンの名義をどうするかといった細かいことは後回しになっていました。

離婚後の生活は楽ではありませんでしたが、養育費が届く間は何とか暮らしていけました。ところが1年ほど前から養育費が遅れるようになり、半年前からは完全に止まりました。それでも元夫からは「仕事が落ち着いたら払う」という連絡が散発的に来るだけで、状況は改善しませんでした。

そして4か月前、1通の郵便物が届きました。差出人は裁判所で、内容は競売開始決定の通知でした。元夫がローンを滞納し続けていたらしく、美穂さんはその事実を郵便物が届くまでまったく知らされていませんでした。

「競売になったら家を出なければならない。でも長男は来年高校受験で、転校させるのは可哀想。次女も今の学校の友達が大切な時期。何より、今の家賃相場で引っ越し先を探したら、今の収入では絶対に無理」と頭の中をぐるぐると同じ考えが巡りました。子どもたちには話せず、夜に一人でネット検索を繰り返す日が続きました。

検索の中で「任意売却」という言葉を見つけました。しかし調べれば調べるほど、「名義が元夫のままでは自分では動けないのではないか」「元夫が協力してくれなければ手続きが進まないのではないか」という疑問が膨らみました。元夫とは離婚後、必要最低限の連絡しか取っておらず、今さら相談できるかどうかも不安でした。

子どもたちが寝静まった深夜に相談窓口へのメールを書き始め、送信ボタンを押すまでに2時間近くかかりました。「自分の家でもないのに相談していいのか」という気持ちが最後まで残っていたと言います。

相談所からのご提案・解決までの流れ

ご相談をいただいた時点で、競売の申し立てから約3か月が経過しており、時間的な余裕は限られていました。まず状況を整理するために、以下の点を確認しました。

まず、美穂さん自身は住宅ローンの名義人ではありませんが、実際の居住者として任意売却の手続きに関わることは可能であることをご説明しました。ただし手続きを進めるためには、名義人である元夫の同意と協力が不可欠です。元夫の現住所と連絡先をご確認いただき、当相談所から直接ご説明する機会を設けることをご提案しました。

次に、元夫への連絡については、美穂さんが単独で交渉するのではなく、相談所が間に入る形を取りました。元夫としても競売になれば信用情報への影響が大きく、任意売却によって残債の一部を整理できることはメリットがある点をご説明したところ、協力の意向を示してもらえました。

売却活動を開始したところ、物件は川口市の利便性の高いエリアに立地していたこともあり、約6週間で買い手が見つかりました。売却価格は2,180万円。残債2,400万円との差額約220万円については、債権者との交渉により分割返済の合意を得ました。

美穂さんと子どもたちの引っ越し先については、売却完了のタイミングに合わせて2か月の猶予期間を確保しました。長男の受験期を考慮し、同じ学区内での賃貸物件をいくつかリストアップするサポートも行いました。最終的には徒歩圏内に3LDKの賃貸物件が見つかり、長男・次女とも転校なく新生活をスタートできました。

手続き全体を通じて、美穂さんの署名が必要な書類と元夫の署名が必要な書類を明確に分け、やりとりが最小限になるよう調整しました。

相談者の声

競売通知が届いた日は本当に頭が真っ白になりました。自分が何も知らないまま、いきなり「出て行け」と言われているような感覚でした。

相談する前は、名義が元夫の名前だから自分には何もできないと思っていました。でも相談所の方に「居住者として関われる方法があります」と言ってもらえて、少し前に進める気がしました。

元夫との連絡は自分一人ではとても無理でしたが、間に入ってもらえたので助かりました。元夫も最終的には話し合いに応じてくれて、そこは思ったよりスムーズでした。

子どもたちには引っ越しの少し前に話しました。長男は「受験が終わったら引っ越せばよかったのに」と言いましたが、同じ学区内に住めることが分かると「まあいいか」と言ってくれました。今の家より少し狭くなりましたが、子どもたちは新しい部屋に慣れてきたようです。

あのまま何もしていたら、競売で強制退去になっていたと思います。一歩踏み出して良かったです。

担当者のコメント

離婚後の住宅ローン問題は、居住者と名義人が別々になっているケースが多く、今回のように居住者の方が状況を把握できないまま競売が進んでしまうことは珍しくありません。名義人でなくても、実際に住んでいる方からのご相談は十分に対応できますので、「自分が動いていいのか」と迷われている方にもぜひご連絡いただければと思います。

今回は元夫の方にも任意売却の客観的なメリットをご理解いただけたことが、手続きをスムーズに進める上で大きかったです。離婚後の案件では感情的な対立が障壁になることもありますが、当事者同士が直接やりとりしなくて済む仕組みを作ることで、解決につながるケースは多くあります。

競売の通知が届いてから時間がない中でも、お子さんの学区を変えずに済む形に持っていけたことは、担当者としても良かったと感じています。状況が悪化してからでも間に合うことはありますが、早めにご相談いただくほど選択肢は広がります。