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人工透析の導入で営業職を続けられなくなり住宅ローンが払えない 埼玉県川口市の戸建てを任意売却し同じ学区で生活を立て直した事例

相談者様のプロフィール

藤原直樹さん(仮)、47歳、男性、埼玉県川口市在住。

食品メーカーの営業課長として勤続19年。休職前の年収は約620万円でしたが、現在は休職し、傷病手当金を受給しています。

家族構成は、妻(45歳・スーパーのパート、年収約110万円)、長女(17歳・高校2年生)、長男(14歳・中学2年生)の4人家族です。

物件は2016年に新築で購入した4LDKの一戸建て(購入価格4,200万円、埼玉県川口市)。借入額4,000万円、返済期間35年、金利1.1%の全期間固定型で、住宅ローン残債は約3,050万円、月々の返済額は約11万5,000円です。

ご相談の内容

藤原さんは食品メーカーで20年近く営業一筋に働き、37歳だった2016年に川口市で念願の一戸建てを購入しました。二人のお子様の成長を見ながら、定年まで住み続けるつもりでした。

異変を感じたのは2024年の冬でした。強い倦怠感と足のむくみが続き、2025年2月に慢性腎臓病と診断されます。通院で治療を続けましたが腎機能の低下は止まらず、2025年8月には人工透析の導入が必要になりました。週に3回、1回あたり4時間の通院透析が始まり、外回り中心の営業職を続けることが難しくなって、10月から休職しました。

収入は傷病手当金のみとなり、休職前の6割ほどに落ち込みました。妻のパート収入と合わせても、毎月の住宅ローン返済11万5,000円と透析に伴う医療費、育ち盛りのお子様の教育費を賄うのは難しく、貯蓄を取り崩す生活が続きました。

2025年12月、その貯蓄が底をつき、住宅ローンの返済が初めて滞りました。年が明けても状況は変わらず、2026年3月には金融機関から督促状が届き、返済を続けられない場合は保証会社による代位弁済に移る可能性があると告げられました。

藤原さんは夜中に何度も目が覚め、通帳の残高と返済予定表を見返す日が続いたといいます。妻は「家だけは何とか残せないか」と話し、口論になることもありました。インターネットで調べると「任意売却をすると一生ローンもクレジットカードも作れない」「自己破産しなければ残った借金は消えない」といった情報が目につき、どうすればよいか分からないまま数週間が過ぎました。高校2年生の長女は「私は電車で通っているから引っ越しても大丈夫」と言ってくれましたが、中学2年生の長男は転校を不安がっていました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

ご相談は2026年5月、滞納が6か月続いた時点でした。まず藤原さんの透析スケジュールを確認し、面談や連絡は通院のない日に合わせるところから始めました。

自宅の査定を行ったところ、評価額は2,600万〜2,800万円でした。一方で住宅ローンの残債は約3,050万円あり、売却してもローンを完済できないオーバーローンの状態でした。この場合、通常の売却では金融機関の抵当権を外せないため、債権者の同意を得て売却する任意売却をご提案しました。

あわせて、次の点を整理してお伝えしました。ひとつは、督促状の記載どおり、返済がないままなら数か月以内に保証会社が代位弁済を行い、残額を一括で請求される見込みであること。もうひとつは、任意売却は代位弁済の前でも後でも進められ、売却後に残る債務は一括ではなく、収入に応じた分割弁済を協議できることです。「一生ローンが組めない」という認識も誤解で、事故情報は完済や和解から5〜7年で登録が消えることを説明しました。

ご家族の希望は、長男の中学校の学区を変えないことでした。そこで川口市内の同じ学区にある賃貸戸建てを探しながら、並行して自宅の売却活動を進めました。2026年6月に金融機関と保証会社から任意売却の同意を取り付け、7月に購入希望者と2,700万円で売買契約を締結しました。ちょうどこの時期に保証会社の代位弁済が実行されたため、以後の残債交渉は保証会社と行いました。

2026年8月に決済と引渡しを完了し、売却代金からは引越し費用として20万円を配分してもらいました。売却後に残った約450万円の債務は、月2万円の分割弁済で合意しました。あわせて、障害厚生年金の申請について社会保険労務士へ相談するようご案内しました。

相談者の声

家を持てたことが一つの区切りだと思っていたので、手放すと決めるまでに時間がかかりました。妻とも何度も言い合いになりましたが、担当の方が数字を一つずつ示してくれて、今の収入では返済を続けても遅かれ早かれ行き詰まると分かり、ようやく前を向けました。

任意売却をすると一生ローンもカードも作れないと思い込んでいましたが、一定期間で情報は消えると聞いて安心しました。残った借金も一括で払えと言われるものだと覚悟していたので、月2万円ずつでよいと決まったときは力が抜けました。

同じ学区で賃貸が見つかり、息子が転校せずに済んだのが一番よかったです。娘も通学を変えずにいられました。通院の日を避けて連絡してもらえたので、体力的な負担も少なくて済みました。今は治療に集中でき、夜も眠れるようになっています。

担当者のコメント

藤原さんは、ご自身の病気で働けなくなったことに責任を感じておられ、相談に来られた当初は表情が硬いままでした。病気による収入減少は誰にでも起こり得ることで、返済が難しくなったこと自体を責める必要はありません。

今回はオーバーローンでしたが、査定額と残債の差、代位弁済後の分割弁済の見通しを具体的な金額で示すことで、ご家族が納得して方針を決められました。学区を変えないという条件を最優先にし、賃貸探しと売却活動を同時に進めたことも、生活の混乱を抑えるうえで役立ちました。

住宅ローンの滞納は、放置すると代位弁済や競売に進み、選べる手段が減っていきます。傷病手当金の受給中で先が見えないという段階でも、早めにご相談いただければ、任意売却や残債の分割など打てる手はあります。健康の回復を最優先にしながら、無理のない範囲で生活を立て直すお手伝いをします。