相談者様のプロフィール
相談者の情報
小林誠さん(仮)、42歳、神奈川県横浜市青葉区在住。
大手IT企業のシステムエンジニアとして15年勤務していたが、過重労働によりうつ病を発症し休職中。妻・美咲さん(39歳・スーパーのパート勤務)、長女・結衣ちゃん(10歳・小学4年生)、次女・彩花ちゃん(7歳・小学1年生)の4人家族。
休職前の年収は約720万円だったが、現在は傷病手当金で月収が約30万円に減少。妻のパート収入と合わせても月38万円の世帯収入となっている。
物件・ローンの情報
2016年3月に購入した新築分譲マンション(3LDK・70㎡)。
購入価格は4,800万円で、住宅ローン残債は約3,650万円。
月々の返済額は約13万5千円(35年ローン・変動金利)。管理費・修繕積立金は月額2万3千円。現在の査定額は周辺相場の下落により約3,200万円となっている。
ご相談の内容
小林さんは、大規模システム刷新プロジェクトのリーダーを任され、半年近く連日終電帰りと休日出勤が続きました。家族のために頑張らなければと自分を奮い立たせていましたが、次第に朝起きられなくなり、通勤電車で動悸がするようになりました。妻の美咲さんが心配しても、プロジェクトが終われば落ち着くからと聞き流していました。
2024年2月のある朝、小林さんはベッドから起き上がれなくなりました。体が鉛のように重く、頭の中が真っ白になったといいます。妻に付き添われて心療内科を受診すると、中等度のうつ病と診断され、即座に休職を勧められました。最初は1〜2ヶ月で復職できると楽観視していましたが、休職3ヶ月目になっても復職の目処は立ちませんでした。
傷病手当金は給与の約3分の2で、月収が約50万円から30万円に減少しました。住宅ローン、管理費、光熱費、食費、子どもの習い事、生命保険を計算すると、毎月約7万円の赤字です。小林さんは毎晩、スマホの家計簿アプリを開いては溜息をついていました。しかし妻には心配をかけたくなくて、大丈夫だよと笑顔を作っていたそうです。
9月のある夜、長女の結衣ちゃんが「パパ、ピアノやめてもいいよ。お金かかるでしょ?」と言ってきました。10歳の子どもが家計を気にする姿に、小林さんは胸が締め付けられました。翌日、妻から「私、パートの時間増やせないか聞いてみる」と言われ、自分が働けないせいでと自分を責め、さらに眠れない夜が増えました。
貯金残高が150万円を切った10月、小林さんは意を決して銀行に相談しましたが、返済猶予は一時的な措置で根本的な解決にはならないと感じました。ある夜、リビングで妻と向き合い、「もうこの家、維持できないかもしれない」と打ち明けました。妻は「この家より、あなたが元気になることの方が大事だから」と答えてくれました。その言葉に、小林さんは涙が止まらなくなったといいます。
深夜、小林さんは何度も「うつ病 住宅ローン 払えない」で検索していました。任意売却や競売、自己破産などの記事を読み漁りましたが、任意売却は自己破産とセットだと思い込み、残債があると一生借金を背負うというイメージがありました。子どもの学校を転校させたくないという強い思いと、相談したら本当に家を失うことが確定してしまうという恐れから、相談フォームのボタンを何度もクリックしかけては閉じる日々が続きました。
午後11時過ぎ、子どもたちが寝静まった後、小林さんはスマホで任意売却の相談フォームを開きました。入力欄に指が震え、送信ボタンの前で10分以上固まりました。これを押したら本当に家を手放すことになる、でも妻の言葉が頭をよぎりました。送信完了の画面が表示された瞬間、小林さんは深い溜息をついたそうです。不思議と、少しだけ肩の荷が下りた気がしたといいます。
相談所からのご提案・解決までの流れ
小林さんご家族の状況を詳しくお伺いし、まず現在の収支状況と今後の見通しを整理しました。休職期間が1年を超える可能性があること、復職後も以前と同じ年収に戻るかは不透明なこと、貯蓄の減少スピードを考えると早期の対応が必要であることをご説明しました。
小林さんが最も心配されていた「任意売却=自己破産」という誤解を解き、任意売却は競売を避けて市場価格に近い金額で売却する方法であること、残債は無理のない範囲で分割返済の交渉が可能であることをお伝えしました。また、お子さんの学区を変えずに近隣の賃貸物件に住み替えることで、生活環境の大きな変化を最小限に抑えられることもご提案しました。
債権者である金融機関との交渉では、小林さんの病状や休職の経緯、今後の収入見込みを丁寧に説明しました。診断書や傷病手当金の支給証明書などの資料を提出し、誠実に対応する姿勢を示したことで、金融機関も任意売却に同意してくれました。
マンションの売却活動では、室内を丁寧に整え、購入時のメリットを最大限アピールしました。駅から徒歩8分の好立地、日当たりの良さ、管理状態の良好さが評価され、約3ヶ月で3,280万円での売却が決まりました。売却代金でローン残債を返済した後の残債約370万円については、小林さんの体調回復を待ちながら、月2万円からの無理のない分割返済プランで金融機関と合意しました。
並行して、お子さんの通学に支障がない青葉区内の賃貸マンション(2LDK・家賃9万5千円)を見つけ、引っ越しのタイミングも小林さんの体調に配慮しながら調整しました。売却決済から新居への入居まで、スムーズに進めることができました。
相談者の声

相談前は、任意売却をすると自己破産しなければならないと思い込んでいました。また、残債を一括で返さなければならないという誤解もあり、相談するのが怖かったです。実際には、分割での返済が可能で、しかも自分の状況に合わせて無理のない金額で交渉してもらえると知り、大きな安心を得ました。
担当の方は想像以上に優しく、私の話を丁寧に聞いてくれました。お辛かったですねという言葉に、思わず涙ぐんでしまいました。競売じゃなくても道はありますよ、お子さんの学区を変えずに近くの賃貸を探すサポートもできますという説明を聞いて、少しずつ心の重しが軽くなっていきました。
新しい賃貸マンションは以前より狭くなりましたが、家賃と残債の返済を合わせても月11万5千円になり、以前の住宅ローンと管理費の合計15万8千円より約4万円も軽減されました。この差が本当に大きく、食費や光熱費にも余裕ができ、子どもたちの習い事も続けられています。
何より、経済的な不安が軽減されたことで、治療に専念できるようになりました。主治医からも、表情が明るくなったと言われました。妻も、あなたが少しずつ笑顔を取り戻してくれて嬉しいと言ってくれています。娘たちは最初は引っ越しを寂しがっていましたが、友達と変わらず遊べることが分かってからは元気に過ごしています。
もっと早く相談すればよかったと心から思います。一人で抱え込まず、専門家に相談することの大切さを実感しました。
担当者のコメント

小林さんのケースは、働き盛りの方が突然の病気で収入が減少し、住宅ローンの返済に行き詰まるという、誰にでも起こりうる状況でした。特に印象的だったのは、10歳のお嬢さんが家計を気にして習い事を辞めると申し出たエピソードです。小林さんがどれほど追い詰められていたかが伝わってきました。
多くの方が任意売却に対して誤解や不安を抱いていらっしゃいます。任意売却は自己破産とは別の手続きですし、残債があっても生活状況に応じた無理のない返済計画を立てることができます。小林さんにも、まずはこれらの誤解を丁寧に解くことから始めました。
今回、金融機関との交渉では、小林さんの病状や治療の必要性を誠実に説明し、診断書などの客観的な資料を提出したことが、円滑な合意につながりました。また、お子さんの学区を変えない住み替えを実現できたことで、ご家族の生活環境への影響を最小限に抑えることができました。
うつ病などの精神疾患は、治療に時間がかかることが多く、経済的な不安がさらに症状を悪化させる悪循環に陥りがちです。住宅ローンの問題を解決することで、治療に専念できる環境を整えることが何より重要です。
一人で悩まず、できるだけ早い段階でご相談ください。状況が悪化する前であれば、選択肢も広がります。小林さんのように、解決の道は必ずあります。
