相談者プロフィール
相談者の情報
堀内健一さん(仮)、52歳、埼玉県川越市在住。
設備会社に勤務する配管工(勤続18年)。
年収約420万円。
妻(50歳・パート勤務)、長女(24歳・独立)、長男(21歳・大学4年生)の4人家族。
長男は実家暮らしで来春就職予定。
物件・ローンの情報
2009年に中古で購入した木造2階建て一戸建て(築28年)。
住宅ローン残債は約1,420万円、月々の返済は約7万2,000円。
推定売却価格は900万円〜1,100万円程度で、約300万円〜500万円のオーバーローン状態。
ご相談の内容
堀内さんは34歳で現在の設備会社に転職し、以来18年間、配管工として真面目に働いてきました。38歳のとき、家族のためにと中古の一戸建てを購入。「定年までにはローンを完済して、妻と静かに暮らせる家を持ちたい」というのが、堀内さんのささやかな願いでした。
しかし、3年ほど前から会社の受注が減り始め、残業がほとんどなくなりました。月の手取りは5万円近く減少。「一時的なものだろう」と楽観視していましたが、状況は改善しませんでした。さらに2022年春、長男が私立大学に進学。入学金と学費で貯金が大きく減りましたが、「卒業まであと数年の辛抱だ」と自分に言い聞かせていました。
追い打ちをかけたのは、2023年夏の給湯器の故障でした。交換費用25万円をカードローンで補填したことで、毎月の収支がぎりぎりの状態に。住宅ローンの支払いが遅れ始め、最初は数日だった遅延が、徐々に2週間、3週間と延びていきました。銀行から届く督促状を妻に見られないように隠す日々が続きました。
2024年春、3ヶ月連続で住宅ローンが滞納状態となり、銀行から「期限の利益の喪失」を警告する書面が届きました。意味がわからずインターネットで調べ、初めて「競売」という言葉を知りました。夏には長男の後期学費の支払いと重なり、さらに2ヶ月分をまとめて滞納。銀行から返済計画の見直しを提案されましたが、具体的な改善策を思いつくことができませんでした。
そして2024年秋、銀行から「保証会社への債権移管」を予告する書類が届いたことで、堀内さんはついに妻に全てを打ち明けました。妻は「どうしてもっと早く言ってくれなかったの」と泣きました。その夜、二人とも一言も話せないまま朝を迎えました。
翌日から妻は態度を変え、「二人でなんとかするしかないでしょ」とパートのシフトを増やすことを申し出てくれました。その言葉に背中を押され、堀内さんはインターネットで「任意売却」という方法を知り、相談を決意しました。会社の昼休み、駐車場に停めた車の中から震える手で電話をかけたのは、妻に打ち明けてから2週間後のことでした。
相談所からのご提案・解決までの流れ
堀内さんの状況を詳しくお聞きし、まず現状の整理から始めました。住宅ローン残債約1,420万円に対し、物件の推定売却価格は900万円〜1,100万円。売却しても300万円〜500万円程度の残債が発生する見込みでした。
最初に行ったのは、債権者である銀行との交渉です。堀内さんが長年真面目に返済を続けてきた実績を踏まえ、任意売却への同意を求めました。競売になれば売却価格がさらに下がる可能性があることを説明し、銀行側も任意売却に応じる姿勢を示してくれました。
次に、物件の販売活動を開始。築28年の中古物件でしたが、駅から徒歩圏内という立地を活かし、リフォームを検討している若い世帯をターゲットに販売を進めました。約2ヶ月半で買い手が見つかり、最終的な売却価格は1,020万円となりました。
売却後の残債約400万円については、堀内さんの収入と生活状況を考慮し、月々1万5,000円の分割返済で債権者と合意しました。また、売却代金から引っ越し費用として30万円を捻出する交渉にも成功。川越市内で家賃5万8,000円の2DKの賃貸アパートを見つけ、長男の就職までの間、家族で暮らせる住まいを確保しました。
売却から引き渡しまでの期間は、長男の就職活動に支障が出ないよう、大学の冬休み期間に合わせて調整。堀内さんご夫婦と長男の3人で、落ち着いて引っ越し作業を進めることができました。
相談者の声

最初に電話したとき、自分の状況を話すのが恥ずかしくて、声が小さくなってしまったのを覚えています。でも相談員の方が「同じような状況の方は多いですよ」と言ってくれて、少しだけ気持ちが楽になりました。
正直、任意売却をすると自己破産しなければならないと思っていました。残債が残ったら一括で払わないといけないと思い込んでいたので、月々の分割返済で済むと知ったときは驚きました。もっと早く相談していればよかったと今は思います。
引っ越しは寂しかったですが、息子が「場所が変わるだけで、家族は変わらないから」と言ってくれたのが救いでした。妻には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、最近は「新しい部屋も悪くないね」と言ってくれるようになりました。
家賃と残債の返済を合わせても、以前の住宅ローンより負担は軽くなりました。息子も来春から社会人になります。ここからまた、一つずつやり直していこうと思っています。相談して本当によかったです。
担当者のコメント

堀内さんは、最初のお電話のときからとても緊張されている様子が伝わってきました。52歳という年齢で「家を手放す」という決断をされることは、本当に辛いことだったと思います。ただ、堀内さんが一人で抱え込まず、奥様に打ち明け、そして専門家に相談するという行動を取られたことが、最善の結果につながりました。
今回のケースでは、お子様の就職活動への影響を最小限に抑えることを重視しました。引っ越しの時期を調整し、新生活のスタートを円滑に進められたことは、ご家族にとって大きな安心材料になったと思います。
住宅ローンの返済が苦しくなったとき、多くの方が「恥ずかしい」「誰にも言えない」と一人で悩まれます。しかし、早期に相談いただければ、競売を回避し、より良い条件で解決できる可能性が高まります。堀内さんのように、真面目に働いてきた方が、一時的な収入減で苦しむケースは決して珍しくありません。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
