相談者様のプロフィール
– 相談者:室谷健一さん(仮) 42歳・男性
– 居住地:埼玉県川口市
– 職業:物流会社の営業職(勤続14年) 年収540万円
– 家族構成:妻(40歳・スーパーのパート、年収約110万円)、長女(12歳・小学6年生)、長男(9歳・小学3年生)の4人家族
– 物件:2018年2月に新築で購入した4LDKの建売戸建て(購入価格4,180万円)
– 住宅ローン:借入額3,900万円、35年変動金利、当初金利0.625%、元利均等返済。借入時の返済額は月約10万3千円
– ローン残債:約3,020万円(2026年8月時点)
– そのほかの負債:マイカーローン残債約90万円(返済月2万8千円)
ご相談の内容
室谷さんは2018年、長男の誕生を機に賃貸アパートを出て、川口市内に建売戸建てを購入しました。当時の変動金利は0.625%と低く、月々の返済は約10万3千円。営業成績も安定しており、無理なく払えると考えていました。
変わり始めたのは2024年以降です。日本銀行がマイナス金利政策を解除し、取引先の銀行も変動金利を段階的に引き上げました。室谷さんのローンは半年ごとに適用金利が見直されるタイプで、金利は0.625%から1.1%台まで上がり、返済額は月11万2千円ほどに増えました。月にすると約9千円、年間で11万円近い負担増です。
同じ時期に勤務先では残業規制が厳しくなり、残業代と歩合が減って年収は570万円台から540万円に下がりました。長女の中学進学を控えて塾代がかさみ、2025年には古くなった車を買い替えてマイカーローンも抱えました。気づけば家計は毎月3万〜4万円の赤字で、購入時に用意した貯蓄300万円は2年ほどで底をつきかけていました。
金利のニュースを見るたびに気持ちが沈み、次の見直しでまた上がったらどうするのかと考えて眠れない夜が増えました。妻には当初言い出せませんでしたが、通帳を見た妻から「一度二人できちんと考えよう」と言われ、ようやく打ち明けました。
2026年4月分の返済から引き落としが間に合わなくなり、5月、6月と滞納が続きました。7月には銀行から督促状が届き、返済がなければ保証会社による代位弁済に移行すると書かれていました。借り換えは滞納履歴と返済比率の高さで審査に通らず、銀行にリスケジュールを相談しても金利上昇局面では難しいと言われました。任意売却は近所に知られるのではという不安がありましたが、妻の父から「見栄を張らず、いったん身の丈に合った暮らしに戻せばいい」と背中を押され、当相談所にご連絡いただきました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
ご相談をいただいたのは2026年9月で、滞納は5か月目に入っていました。まず室谷さんの家計と住宅ローンの残高、滞納の状況を詳しく確認しました。残債は約3,020万円。一方で、築8年の戸建ての査定額は複数の不動産会社で2,600万〜2,800万円、実際に売り出した場合の想定価格は2,700万円前後でした。売却してもローンが300万円以上残るオーバーローンの状態で、通常の売却では対応できないため、任意売却を進める方針としました。
室谷さんが最も気にされていたのは、長女を転校させたくないという点でした。そこで、同じ中学校区内で賃貸に住み替えることを前提に計画を立てました。
ご相談から約1か月後、返済がないまま保証会社による代位弁済が実行され、債権は保証会社へ移りました。その後、保証会社の担当窓口と交渉し、競売の申し立てを見送ってもらったうえで、任意売却のための販売期間を確保しました。売却後に残る債務については、室谷さんの家計から無理のない範囲で、月1万5千円ずつの分割返済とすることで合意しました。
販売活動では、お子さんが学校に行っている時間帯に内覧を設定し、生活への影響を抑えました。売り出しから約2か月半で近隣に住むご家族が購入を希望され、2,720万円で売買契約に至りました。決済と引き渡しは2027年2月で、ご相談から約5か月での完了となりました。引っ越し先は川口市内の同じ中学校区にある賃貸戸建てで、家賃は月11万円です。長女は転校せずに済みました。
相談者の声

変動金利を選んだのは自分なので、金利が上がったときは見通しが甘かったと自分を責めてばかりいました。相談するまでは、任意売却をすると財産をすべて失って、子どもの学校も変えなければいけないと思い込んでいました。実際には、住む地域も長女の学校も変えずに、毎月の住居費を家計に合った水準まで下げることができました。
代位弁済や保証会社との話し合いは、専門用語が多くて自分だけでは何も進められなかったと思います。担当の方が銀行や保証会社への連絡を代わりに進めてくれて、そのたびに今どの段階にいるのかを説明してくれたので、先が見えない不安がかなり和らぎました。
残った借金は月1万5千円ずつ返しています。金額が決まっているので、以前のように次の金利見直しにおびえることはなくなりました。今は家族で家計の話を普通にできるようになり、それが一番大きな変化だと感じています。
担当者のコメント

変動金利で借りている方からのご相談は、2024年以降はっきりと増えています。室谷さんのように、借入時は余裕をもって返済できていた方でも、金利の上昇と収入の減少、教育費の増加が重なると、家計は短期間で行き詰まります。
今回のポイントは二つあります。一つは、代位弁済の前の段階でご相談いただけたことです。早い時期に方針を決められたため、競売を避けて任意売却の時間を十分に確保できました。もう一つは、住み替え先を同じ中学校区に絞って探したことです。売却額や引っ越しの条件だけでなく、お子さんの生活を基準に計画を組み立てました。
住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、滞納が長く続く前に、できるだけ早くご相談ください。動ける時期が早いほど、選べる方法は多くなります。
