不動産と株式の分け方で悩んだ親族内承継

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相談者プロフィール

佐々木正雄さん(仮)、68歳、埼玉県川越市在住。
建設業を営む有限会社の代表取締役で、創業から40年。年商約3億円、従業員15名の会社を経営。妻(65歳・専業主婦)、長男・健太さん(42歳・現在専務取締役)、次男・雄介さん(38歳・不動産会社勤務)の4人家族。

【事業・財産の状況】
自社株式の評価額約6,000万円、事業用不動産(本社・倉庫・駐車場)評価額約8,000万円、個人資産(自宅・預貯金等)約3,000万円。
会社は安定した収益を上げており、借入金も少ない健全経営。

ご相談内容

正雄さんは40年前に一人で建設会社を立ち上げ、地域密着型の堅実な経営で会社を成長させてきました。近年は体力的な衰えを感じ、そろそろ事業承継を考える時期だと思うようになりました。長男の健太さんは10年前から会社で働き、現場も経営も理解している頼もしい存在です。一方、次男の雄介さんは大手不動産会社で営業として活躍しており、建設業には関心を示していません。

「長男に会社を継がせるのは自然な流れだが、次男にも平等に財産を残してやりたい」という親心がありました。しかし、自社株を分割すると経営権が分散してしまい、事業用不動産も分けると会社運営に支障が出る可能性があります。「どうすれば両方の子どもに公平で、かつ会社の将来にも良い承継ができるのか」と悩んでいました。

税理士からは「自社株の評価が高いので相続税対策も必要」と言われ、さらに複雑な気持ちになりました。家族で話し合おうとしても、「お金の話は気まずい」「兄弟で揉めたくない」という思いから、なかなか本格的な議論ができずにいました。

友人の経営者からは「事業承継は専門家に相談した方がいい」とアドバイスを受け、インターネットで調べてみましたが、「株式の評価方法」「事業承継税制」など専門用語が多く、どこから手をつけていいか分からない状態でした。

ご提案内容

ご相談を受けた際、まず正雄さんの事業承継に対する想いと、ご家族それぞれの意向を丁寧に伺いました。事業承継の選択肢や税制上の優遇措置について分かりやすくご説明し、「親族内承継でも様々な方法がある」ことをお伝えしました。

事業承継専門の税理士・弁護士と連携し、自社株式と事業用不動産の詳細な評価を実施しました。その上で、健太さんと雄介さんそれぞれの希望や将来の計画について個別にヒアリングを行いました。

健太さんは「会社を継いで父の事業を発展させたい」、雄介さんは「兄の経営を応援したいが、自分は不動産投資に興味がある」という意向が明確になりました。

専門家立会いのもとで家族会議を開催し、それぞれの希望と適性を活かした承継プランを提案しました。長男には自社株式を集中して承継させることで経営権を確保し、次男には事業用不動産を承継させて会社への賃貸収入により安定した収益を得られる仕組みを構築しました。また、事業承継税制などの優遇措置を活用し、税負担の軽減も図りました。

相談者の声

最初は「兄弟で平等に」と考えていましたが、それぞれの適性や希望を考慮した方が、結果的に全員が納得できることが分かりました。専門家の方が家族会議をリードしてくれたおかげで、普段は話しにくいお金の話も冷静に議論できました。

健太には会社経営に専念してもらい、雄介には不動産収入で安定した生活を送ってもらえる。会社と家族の両方の将来を考えた良いスキームだと思います。何より、兄弟が協力し合える関係を維持できたのが一番良かったです。

担当者のコメント

最初は「兄弟で平等に」と考えていましたが、それぞれの適性や希望を考慮した方が、結果的に全員が納得できることが分かりました。専門家の方が家族会議をリードしてくれたおかげで、普段は話しにくいお金の話も冷静に議論できました。

片方に会社経営に専念してもらい、もう片方で不動産収入で安定した生活を送ってもらえるという、会社と家族の両方の将来を考えた良いスキームだと思います。何より、兄弟が協力し合える関係を維持することのサポートができたのが一番良かったです。

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