仕事がうまくいかず年収が100万円ダウン。3ヶ月の滞納で競売通知が届くが、家族に打ち明けられず…
相談者様のプロフィール
相談者の情報
田中 健一さん(仮)42歳・男性
神奈川県川崎市中原区在住
IT企業営業課長、年収580万円→480万円に減額、勤務年数15年
家族構成:妻(39歳・パート月収8万円)、長男(中学2年生)、長女(小学4年生)
物件・ローンの情報
3LDKマンション(築12年)、2018年購入(購入価格3,500万円)
住宅ローン残債:2,800万円、月返済額12万円
管理費・修繕積立金:月2.5万円
ご相談の内容
田中さんの悩みは2023年秋から始まりました。勤務先の業績悪化により基本給が15%カットされ、さらに営業成績の低迷で賞与も大幅に減額。年収が一気に100万円も下がってしまったのです。追い打ちをかけるように、妻が体調を崩してパートの勤務時間を減らすことになり、世帯収入はさらに減少しました。
月々の住宅ローン返済12万円に管理費等を加えると14.5万円。子どもたちの塾代や習い事費用も月4万円かかり、家計は完全に赤字状態に陥りました。田中さんは「一時的なもの」と自分に言い聞かせ、妻にも同じように説明していましたが、状況は一向に改善しませんでした。
2024年春頃から住宅ローンの返済が2ヶ月遅れるようになり、銀行から督促状が届くように。田中さんは郵便物を妻に見られないよう、帰宅時間を調整して自分で受け取るようになりました。夜中に何度も目が覚め、住宅ローンのことばかり考える日々。通勤電車で不動産関連の広告を見るたびに胸が苦しくなり、同僚との飲み会も「家のことで忙しくて」と断るようになりました。
ついに3ヶ月滞納となった2024年夏、銀行から「期限の利益の喪失」の通知が届き、一括返済を求められました。同時に競売開始決定通知書も郵送され、田中さんはもう隠しきれないと観念し、妻に全てを打ち明けました。妻は最初ショックを受けましたが、「一緒に解決しよう」と言ってくれました。しかし、子どもたちには転校の可能性があることをまだ伝えられずにいました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
田中さんは任意売却について調べ、当相談所にお電話をいただきました。初回相談では、現在の収支状況と住宅ローンの詳細を詳しくお聞きし、競売と任意売却のメリット・デメリットを丁寧に説明いたしました。
まず、物件の査定を実施したところ、現在の市場価格は2,400万円程度と判明。ローン残債2,800万円との差額400万円が残債として残ることをご説明し、債権者との交渉により分割返済の可能性があることをお伝えしました。
債権者である銀行との交渉では、田中さんの現在の収入状況と今後の返済能力を詳細に説明し、任意売却への同意を取り付けました。同時に、保証会社との調整も並行して進め、残債の分割返済について月3万円での合意を得ることができました。
売却活動では、田中さんのご希望である「子どもたちの転校を避けたい」という想いを受け、学区内での賃貸物件探しも同時にサポート。幸い、現在のマンションから徒歩10分の場所に3DKの賃貸物件(家賃9.5万円)を見つけることができ、引っ越し時期の調整も含めて売却スケジュールを組み立てました。
売却は約3ヶ月で成約し、2,380万円で売却が完了。諸費用を差し引いた後、残債は約450万円となり、月3万円の15年返済で合意いたしました。
相談者の声

正直、最初は任意売却についてもよく分からず、本当に競売より良いのか半信半疑でした。インターネットで調べても、手数料が高いのではないかとか、結局家を失うことに変わりはないという不安ばかりでした。
でも、担当の方が最初の相談で競売との違いを具体的な数字で示してくださり、残債の返済についても現実的な提案をしていただけたので、安心して任意売却を進めることができました。特に、子どもたちの学校のことを最優先に考えてくださり、引っ越し先の物件探しまでサポートしていただけたのは本当にありがたかったです。
任意売却を終えて3ヶ月が経ちましたが、月々の住居費が9.5万円の家賃と残債返済3万円で計12.5万円となり、以前より2万円も負担が軽くなりました。子どもたちも転校せずに済み、長男は友達と一緒に高校受験に向けて頑張っています。妻も体調が回復してパートの時間を増やすことができ、家計も安定してきました。
一時は家族にどう説明すればいいか分からず、一人で抱え込んでしまいましたが、早めに相談していれば、もっと精神的に楽だったと思います。今は新しいスタートを切ることができ、いつかまた家族で「我が家」と呼べる場所を持ちたいという希望も持てるようになりました。
担当者のコメント

田中さんは最初のお電話の際、とても疲れた様子で、「もう手遅れかもしれません」とおっしゃっていました。競売開始決定通知が届いてからのご相談でしたが、まだ十分に任意売却で解決できる状況でした。
田中さんのケースで特に配慮したのは、お子様の学校環境を変えないことでした。任意売却は単に家を売るだけでなく、その後の生活再建まで含めてサポートすることが重要だと考えています。そのため、売却活動と並行して賃貸物件探しも行い、引っ越し時期の調整まで細かく対応させていただきました。
住宅ローンの返済が困難になった際は、一人で抱え込まずに早めにご相談いただくことが大切です。選択肢が多いうちに相談していただければ、より良い解決策をご提案できます。田中さんのように、家族の生活を最優先に考えた解決方法は必ずありますので、諦めずにご相談ください。
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