母の介護で兄弟対立。実家の相続を巡って家族関係が悪化し、夜も眠れない日々が続いた

  • 相続

相談者様のプロフィール

田中美香子さん(仮)、52歳、神奈川県横浜市青葉区在住。私立中学校の事務職員で年収380万円、勤続15年。
夫(54歳・製造業営業課長)、長男(25歳・IT企業勤務)、長女(22歳・大学4年生)の4人家族。
実家には要介護1の母(78歳)が埼玉県川口市で一人暮らし。兄(55歳・建設会社経営)が母の近所に住み、弟(48歳・商社勤務)は東京都品川区在住。

ご相談の内容

美香子さんの悩みは、3ヶ月前に母が自宅で転倒し大腿骨を骨折したことから始まりました。入院中に認知症の初期症状も発覚し、退院後は要介護認定を受けて週3回のデイサービスを利用することになりました。

2ヶ月前、兄から突然「母さんの面倒を一番見てるのは俺だから、実家の土地建物は俺が相続するのが当然だろう」と告げられました。実家は築40年の一戸建てですが、川口駅から徒歩12分の立地で評価額は約3,500万円。弟に相談すると「姉さんも俺も実家はいらないけど、兄貴が全部取るのはおかしい。法定相続分で分けるべきだ」と主張し、家族間で意見が対立し始めました。

母が「私が死んだら家のことでもめないでほしい」と涙ながらに訴える姿を見て、美香子さんは夜中にスマホで相続について検索し続ける日々が続きました。兄が「母さんの介護費用も俺が多く負担してる。弟は遠いからほとんど顔も出さない」と感情的になり、家族LINEグループの雰囲気も険悪になりました。

仕事中も相続のことが頭から離れず、夫に「最近ため息ばかりついてるよ」と心配される状況。「介護をした人が多く相続できる制度があるはず」と思い込んでいましたが、具体的な手続きや法的根拠がわからず、「このまま家族がバラバラになってしまうのでは」という不安で眠れない夜が続きました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず美香子さんのお話を丁寧に伺い、相続に関する正しい知識をお伝えしました。介護貢献者への配慮として「寄与分」という制度があることや、遺産分割協議の進め方、相続税の基礎控除額についても分かりやすく説明しました。

次に、ご家族全員が参加できる話し合いの場を設定することを提案しました。感情的な対立を避けるため、まずは母親の介護方針と将来の生活設計について話し合い、その上で相続について冷静に検討する段階的なアプローチを取りました。

兄の介護負担を数値化し、寄与分として評価する一方で、法定相続分の原則も尊重した分割案を複数提示しました。最終的に、兄が実家を相続する代わりに他の相続財産(預貯金約800万円)を美香子さんと弟で分割し、さらに兄から代償金として各200万円を支払う案で合意に至りました。

母親の意向も確認し、遺言書の作成もサポートしました。これにより将来的な相続トラブルを防ぎ、家族関係の修復にもつながりました。

相談者の声

最初は兄弟でお金の話をするのが汚いことのように感じていましたが、きちんと話し合うことの大切さを学びました。介護をしてくれている兄への感謝の気持ちと、法的な権利のバランスを取る方法があることを知り、安心しました。母も家族が仲良くしている姿を見て喜んでくれています。夜中に検索していた情報の多くが間違っていたことも分かり、もっと早く専門家に相談すればよかったと思います。担当の方が家族の気持ちを大切にしながら解決策を提案してくれたおかげで、今では兄弟関係も以前より良好になりました。

担当者のコメント

田中様は家族思いの優しい方で、誰も傷つけたくないという気持ちが強く伝わってきました。相続問題は法的な側面だけでなく、家族の感情や長年の関係性が複雑に絡み合います。今回は介護貢献を適切に評価しつつ、法定相続分も考慮したバランスの取れた解決ができました。相続の悩みは一人で抱え込まず、早めに専門家にご相談いただくことで、家族関係を壊すことなく公平な解決が可能です。正しい知識を持って冷静に話し合えば、必ず良い解決策が見つかります。

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