義母の実家が未接道の空き家に。売却も解体もできず家計を圧迫し続ける状況を打開したい

  • 空き家

相談者様のプロフィール

佐藤美香(仮)様 52歳女性 埼玉県川口市在住 パート事務員(年収180万円、勤務8年目)
夫(55歳・会社員)、長男(26歳・会社員、一人暮らし)、次男(23歳・大学生、県外在学)の4人家族。
茨城県の田舎町にある義母の実家(築45年・未接道物件)を相続し、維持管理に悩んでいる

ご相談の内容

3年前に義母が脳梗塞で倒れ、川口市の介護施設に入居することになりました。その後、義母が亡くなり夫が実家を相続しましたが、接道していない築45年の木造住宅で、現実的に住むことも売ることもできない状況でした。

毎月の固定資産税と水道基本料金で約8,000円、草刈りや管理のための交通費で月1万円程度の出費が続いていました。パート収入180万円の私にとって、年間約20万円の維持費は大きな負担でした。近所からの苦情もあり、月1回は片道2時間かけて管理に通っていましたが、台風で屋根が破損し修繕費15万円がかかったときは本当に参りました。

地元の不動産屋3社に査定を依頼しましたが、「未接道のため建て替え不可、50万円程度」「解体費150万円」と言われ、売却しても100万円の赤字になることが判明しました。夫は「先祖代々の土地を手放したくない」と感情的になる一方、長男からは「負の遺産は引き継ぎたくない」とはっきり言われ、家族の温度差に悩んでいました。

自分なりに「未接道物件 売却」「空き家 処分」などを調べ続けましたが、専門用語ばかりで理解できず、自治体の補助金も条件に合わないと言われて途方に暮れていました。家計簿をつけるたび、この問題のことを考えるたび、胃が痛くなる日々が続いていました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

初回相談で詳しくお話を伺い、まず物件の正確な状況把握を行いました。現地調査により、隣接地との境界や道路との関係性を詳細に確認し、複数の解決パターンをご提案させていただきました。

最も現実的な解決策として、隣地の所有者との交渉による土地の一部売却をご提案しました。隣地所有者にとっても土地の整形や利用価値向上のメリットがあることを説明し、当相談所が仲介役となって交渉を進めました。

同時進行で、残った土地部分については地域の古民家再生に取り組むNPO法人への寄付という選択肢も検討しました。建物の状態確認と寄付の条件整理を行い、NPO側との協議を重ねました。

交渉開始から6ヶ月後、隣地所有者が土地の約3分の1を80万円で買い取ることに合意。残った部分はNPO法人が古民家体験施設として活用することになり、寄付による所有権移転が実現しました。各種手続きや登記変更も含めて、トータル8ヶ月で完全解決に至りました。

相談者の声

正直、最初は半信半疑でした。3年間悩み続けていた問題に解決策があるとは思えませんでした。でも担当の方が現地まで足を運んでくださり、隣地の方との交渉も粘り強く続けてくださったおかげで、まさか売却代金まで得られるとは夢にも思いませんでした。

以前は未接道物件は絶対に売れないと思い込んでいましたが、隣地との関係性や地域のニーズを考慮すれば解決方法があることを学びました。夫も最初は反対していましたが、NPO法人が大切に活用してくれることを知り、最終的には納得してくれました。

月2万円近い負担がなくなり、気持ちも本当に軽くなりました。息子たちも安心したようで、家族全員が前向きな気持ちになれました。一人で悩まず、もっと早く相談すればよかったと思います。専門家の力を借りることの大切さを実感しています。

担当者のコメント

佐藤様のケースは、未接道物件でも諦める必要がないことを示す好例でした。多くの方が「未接道=売却不可」と思い込まれていますが、隣地との関係性や地域の特性を詳しく調査することで、解決の糸口が見つかることは少なくありません。

特に重要だったのは、ご家族の気持ちの整理でした。感情的になりがちなご主人様には、NPO法人による有効活用という形で先祖の土地が生かされることを丁寧に説明し、理解を得ることができました。長男様の現実的なご意見も解決に向けた大きな後押しとなりました。

空き家問題でお悩みの方には、まず物件の詳細な状況把握と、複数の選択肢の検討をお勧めします。一人で抱え込まず、専門家と一緒に最適な解決策を見つけていくことが大切です。どんなに困難に見える物件でも、必ず解決の道はあります。

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