妻との価値観の違いで家庭内冷戦状態。子どもたちのためにも離婚を決意したが、親権と住宅ローンが心配

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小林雄介さん(仮)、45歳、埼玉県さいたま市大宮区在住。
IT企業でシステムエンジニアとして勤務、年収620万円、勤務年数18年。妻・真由美さん(43歳・専業主婦)、長男・翔太くん(16歳・高校1年生)、長女・愛菜さん(13歳・中学1年生)の4人家族。住宅ローン残債2200万円(月12万円返済)。
妻との教育方針や家計管理を巡る価値観の違いから家庭内が冷戦状態となっている。

ご相談の内容

雄介さんは会社では頼れるベテランエンジニアとして評価されていましたが、家庭では妻の真由美さんとの価値観の違いが年々深刻化していました。教育熱心な真由美さんは子どもたちに私立中学受験をさせたい考えでしたが、雄介さんは「公立でも十分」という考えで対立。また、家計のために真由美さんに働いてほしいと考える雄介さんに対し、真由美さんは専業主婦でいることに誇りを持っていました。

決定的な亀裂が生じたのは昨年12月のことでした。長女の愛菜さんの中学受験塾代(月8万円)を巡って激しい口論となり、真由美さんが「あなたは家族のことを何も分かっていない!」と涙ながらに訴えました。雄介さんも「俺だけが働いて、なぜ全て俺が我慢しなければならないんだ」と感情的になってしまいました。

その後、夫婦の会話は必要最小限となり、家庭内は冷戦状態に。今年春頃から真由美さんが「離婚したい」と口にするようになりました。雄介さん自身も「このまま一緒にいても互いが不幸になるだけ」と感じるようになりましたが、子どもたちへの影響や経済面での不安から踏み切れずにいました。

特に長男の翔太くんが最近反抗的になり、「家にいると息が詰まる」と言って友人宅に泊まることが増えたことで、雄介さんは「子どもたちのためにも決断が必要」と考えるようになりました。家庭がうまくいかないストレスから仕事に没頭し、残業や休日出勤を増やして家にいる時間を減らしていましたが、「逃げているだけではダメだ」という罪悪感も感じていました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず雄介さんの状況を詳しく伺い、離婚に対する不安と希望を整理しました。雄介さんは「父親が親権を取るのは難しい」「養育費で生活が破綻する」という思い込みを持っていらっしゃいましたが、実際にはケースバイケースであることをご説明しました。

最も重要だったのは、お子さんたちの意思と生活環境の確認でした。16歳の翔太くんと13歳の愛菜さんは既に自分の意思を表明できる年齢であり、面談の結果、翔太くんは「お父さんと一緒に住みたい」、愛菜さんは「お母さんと一緒がいい」という希望を持っていることが分かりました。

そこで、親権を分ける「分離監護」を提案しました。翔太くんは雄介さんが、愛菜さんは真由美さんが親権を持つ形で協議を進めました。これにより、雄介さんの「子どもと離ればなれになる」という不安を解消できました。

住宅ローンについては、雄介さんが住宅を取得し、真由美さんと愛菜さんには財産分与として現金600万円を支払うことで合意。雄介さんは翔太くんと一緒に現在の家に住み続け、真由美さんと愛菜さんは近くのマンションに転居することになりました。

養育費は愛菜さんのみの分として月額5万円に設定。翔太くんは雄介さんが直接養育するため、互いの養育費負担を相殺する形としました。

相談者の声

最初は「父親が親権を取るのは無理」だと諦めていましたが、子どもたちの意思を尊重した分離監護という方法があることを知り、希望が持てました。翔太との関係を維持できることが何より嬉しかったです。

住宅ローンについても「離婚したら家を売らなければならない」と思い込んでいましたが、財産分与の方法を工夫することで住み続けられることが分かりました。翔太にとっても環境を変えずに済むのは良かったと思います。

養育費の負担も当初心配していたより軽くなり、生活が破綻する心配がなくなりました。真由美への感謝の気持ちもあったので、現金での財産分与を通じてけじめをつけることができました。何より子どもたちが「両親は喧嘩別れしたわけではない」と理解してくれたことが一番の成果です。

担当者のコメント

雄介さんのケースでは、お子さんたちの年齢と意思がポイントでした。16歳と13歳であれば、自分の気持ちをしっかり表明できる年齢です。親権は必ずしも母親が有利というわけではなく、子どもの福祉を最優先に判断されます。

分離監護は珍しいケースですが、兄弟それぞれの希望と生活環境を考慮した結果、最も適切な選択でした。住宅ローンの処理も、売却ありきではなく、家族全体の生活の安定を考えて提案させていただきました。

離婚は必ずしも敵対的なものである必要はありません。お互いを尊重し、特に子どもたちの将来を第一に考えることで、建設的な解決が可能です。男性の方でも親権取得や子どもとの関係維持について諦める必要はありませんので、まずはご相談いただければと思います。

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