相続した実家の管理に悩み、母の認知症で家族の意見が対立。借金もあり相続放棄も検討していた

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相談者様のプロフィール

森田恵子さん(仮)、52歳、神奈川県横浜市青葉区在住。
私立中学校事務職員、年収380万円、勤務年数15年。夫・雅之さん(55歳・会社員)、長男・拓也さん(27歳・SE・都内一人暮らし)、長女・美咲さん(24歳・看護師・実家暮らし)の4人家族。
昨年12月に父親が82歳で他界し、母親は5年前から認知症で施設入所中(要介護4)。

ご相談の内容

恵子さんの父親は群馬県前橋市の実家(築45年木造2階建て・土地120坪)で一人暮らしをしていましたが、昨年12月に他界されました。父親は遺言書で「不動産は長男に相続させる」と記していましたが、大阪で建設会社を経営する兄(56歳)からは「管理は無理だから売却して現金で分けよう」と提案されました。

しかし恵子さんは「母がいつか実家に帰りたいと言うかもしれない」「父の思い出が詰まった家を手放したくない」という強い思いがあり、兄との意見が対立。さらに農機具購入のローン残債約200万円があることが判明し、相続放棄も検討せざるを得ない状況でした。

毎晩遅くまで相続関係のサイトを見て情報収集しても答えが見つからず、兄からの「早く決めないと期限が過ぎる」というプレッシャーも感じていました。母親の施設を訪問するたびに「お父さんは元気?」と尋ねられるものの、真実を伝えることができずにいました。夫や子供たちも心配している状況で、専門家に相談することを決意されました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず、恵子さんの感情面を大切にしながら、相続の全体像を整理しました。実家の査定を行ったところ約1,200万円の価値があり、借金200万円を差し引いても十分にプラスの財産であることを確認。相続放棄ではなく、適切な相続手続きを進める方向で検討しました。

兄との調整では、第三者の専門家が間に入ることで感情的な対立を避け、建設的な話し合いができるよう支援。母親の認知症の状況を考慮し、成年後見制度の活用も視野に入れながら、現実的な選択肢を提示しました。

最終的には、実家を売却して現金で分割相続する方針で兄と合意。売却益から借金を完済し、残った資金で母親の介護費用を確保。恵子さんには父親の思い出の品を整理する時間を十分に設け、心の整理もつけていただけました。売却完了までの約6ヶ月間、実家の管理についても具体的なアドバイスを提供し、負担を軽減しました。

相談者の声

最初は相続放棄しか選択肢がないと思い込んでいましたが、専門家の方に全体を整理してもらい、実は多くの選択肢があることが分かりました。兄との話し合いも、感情的にならずに進められたのは、第三者の方が間に入ってくださったおかげです。

実家を手放すことには複雑な気持ちもありましたが、母の介護費用も確保でき、兄との関係も良好に保てました。売却前に家族で実家を訪れ、父の思い出を語り合う時間を作れたことも良かったです。今は母の施設での生活をサポートしながら、安心して過ごせています。相談前は夜も眠れませんでしたが、今では家族との時間を大切にできるようになりました。

担当者のコメント

恵子さんは非常に責任感が強く、家族への愛情も深い方でした。しかし、相続に関する知識不足から選択肢を狭めてしまい、一人で抱え込んで苦しまれていました。相続は法的な手続きだけでなく、家族の感情や今後の生活設計も含めた総合的な判断が必要です。

今回は兄妹間の調整にも力を入れ、お互いの立場を理解し合えるよう支援しました。相続財産の活用方法を具体的に示すことで、現実的な解決策を見つけることができました。相続で悩まれている方は、一人で抱え込まず、早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。

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