母親の介護施設入所で実家が空き家に。特定空家の通知が届き、年間20万円の固定資産税増額の不安で眠れない日々

  • 空き家

相談者様のプロフィール

林達也さん(仮)、45歳、埼玉県所沢市在住。
都内IT企業で課長として22年勤務し、年収は720万円。妻(43歳・パート勤務)、長男(16歳・高校1年生)、長女(13歳・中学1年生)の4人家族。
栃木県那須町にある築45年の実家を相続したが、母親の介護施設入所により空き家状態となっている。

ご相談の内容

達也さんの悩みは3年前の父親の他界から始まりました。85歳の母親が一人で実家に住んでいましたが、昨年の冬に転倒して大腿骨を骨折し、入院をきっかけに認知症の症状も表面化。退院後は千葉県内の介護施設に入所することになり、実家は空き家となりました。

月に1度は様子を見に行っていましたが、今年に入って雨漏りが発生し、1階の畳が腐り始めていることに気づきました。隣家から「庭の草木が伸び放題で困っている」と連絡が来るようになり、慌てて草刈り業者に依頼しましたが費用は15万円。屋根修理の見積もりは200万円を超える金額でした。

決定的だったのは市役所から「特定空家等に該当する可能性がある」という通知が届いたことです。固定資産税の軽減措置が受けられなくなり、年間20万円近い固定資産税がさらに増額される可能性を知り、頭を抱えました。不動産会社3社に査定を依頼しましたが「売却困難」「解体費用を考慮すると実質ゼロ円」と言われ、解体費用だけで300万円近くかかると聞いて絶望的な気持ちになりました。

妻とは実家の話になると険悪な雰囲気になることが増え、長男の大学受験費用の準備もある中で、毎晩実家のことを考えると眠れない日々が続いていました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず達也さんの実家の詳細な現状調査を行い、建物の状態と土地の価値を正確に把握しました。その結果、建物は解体が必要な状態でしたが、土地については那須町の移住促進事業の対象エリアに該当することが判明しました。

解決策として、以下の段階的なアプローチを提案しました。まず、建物内の遺品整理を専門業者と連携して実施。父親の盆栽コレクションの一部は愛好家グループに譲渡し、母親の着物は着物買取専門店で査定を受けました。これにより約50万円の資金を確保できました。

次に、那須町の空き家対策補助金制度を活用し、解体費用の一部補助を申請。通常300万円の解体費用が200万円まで軽減されました。さらに、解体後の土地については移住希望者向けの土地として町が斡旋する制度を利用し、150万円で売却することができました。

特に達也さんが希望していた庭の松の木については、造園業者と相談し、千葉のご自宅に移植することを実現しました。父親との思い出を形として残すことができ、達也さんの心の負担も大幅に軽減されました。

相談者の声

相談前は本当に途方に暮れていました。インターネットで調べても断片的な情報ばかりで、自分のケースに当てはまるものが見つからず混乱していました。特定空家の通知が来た時は、このまま税金がどんどん増えていくのではないかと不安で仕方ありませんでした。

まさか那須町に補助金制度があることや、移住促進事業の対象になることは知りませんでした。300万円の解体費用が200万円に減り、さらに土地も150万円で売却できたことで、実質的な負担は50万円程度に収まりました。何より、父親の思い出の松の木を自宅に移植できたことが嬉しかったです。

妻も解決策が見えてからは協力的になり、家族の雰囲気も改善しました。長男の受験費用への不安もなくなり、心から安心できるようになりました。一人で抱え込まずに相談して本当に良かったです。

担当者のコメント

達也さんは真面目で責任感の強い方でしたが、情報収集に限界があり、一人で解決しようとして行き詰まっていました。空き家問題は地域によって活用できる制度が大きく異なるため、専門知識がないと見落としがちな支援策が多数存在します。

今回のケースでは、那須町の移住促進政策と空き家対策補助金をうまく組み合わせることで、負担を最小限に抑えることができました。また、達也さんの「父親の思い出を残したい」という気持ちを汲み取り、松の木の移植を提案したことで、心理的な負担も軽減できました。

空き家問題は早期対応が重要です。特定空家に指定される前に行動することで、選択肢は大幅に広がります。一人で悩まず、地域の制度に詳しい専門家にご相談することをお勧めします。

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