父の入院で実家が「負動産」に。維持費で家計圧迫、夫婦関係も悪化した状況を解決
相談者様のプロフィール
中村恵子さん(仮)、47歳、東京都東村山市在住。
地方銀行の融資課係長として24年勤務、年収520万円。夫の健一さん(49歳・製造業技術職・年収480万円)、長女の美咲さん(19歳・私立大学2年生)、長男の大輝さん(16歳・高校2年生)の4人家族。
千葉県市原市にある実家(築45年木造2階建て・土地60坪)の相続問題に直面。
物件の状況 築45年の木造2階建て、最寄り駅から徒歩25分。
不動産査定では建物価値ゼロ、土地650万円程度、解体費用200万円が必要。
固定資産税年12万円、維持費が家計を圧迫している状態。
ご相談の内容
恵子さんの実父が脳梗塞で倒れ、退院の見込みが立たなくなったことから実家問題が始まりました。一人っ子の恵子さんが実家の管理を任される中、月15万円の父の介護費用に加え、実家の固定資産税や光熱費の基本料金、庭の手入れ費用が重なり、家計は厳しい状況になりました。
夫の健一さんからは「お父さんの家のことで、なんで俺たちが苦しまなきゃいけないんだ」と言われ、長女の学費も控える中での板挟み状態に。仕事中も集中できず、夜中に目が覚めると「このままじゃ家計が破綻する」「でも父が生きているのに家を手放すなんて」という思いがぐるぐると回る日々が続きました。
不動産会社の査定で厳しい現実を知り、インターネットで「負動産 相続」「相続放棄」などを調べましたが、情報が錯綜して混乱するばかり。銀行員として他人の相続相談には慣れているものの、いざ自分のこととなると冷静な判断ができず、専門家への相談を決意しました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
まず、恵子さんの家計状況と実家の維持コストを詳細に分析しました。現状のまま維持すると年間約50万円の持ち出しが続く計算となり、10年で500万円の負担になることを数値で確認していただきました。
その上で、以下の3つの選択肢を整理してご提案しました。
1. 現状維持案
父名義の預金400万円を活用し、当面の維持費を賄う方法。ただし8年程度で資金が枯渇するリスクを説明。
2. 早期売却案
解体費用を差し引いても450万円程度が手元に残り、それを父の介護費用に充てる方法。税務上の特例措置も活用できることを説明。
3. 段階的処分案
まずは家財整理と建物の解体のみを行い、更地にして維持費を削減。その後、父の状況を見ながら売却時期を検討する方法。
恵子さんは父への想いと現実的な判断の間で揺れていましたが、段階的処分案を選択。解体業者の紹介から家財整理の手配、更地化後の管理方法まで、一貫してサポートしました。更地になったことで固定資産税は約6万円に減額され、草刈りなどの維持費も大幅に削減できました。
相談者の声

最初は父に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、専門家の方に数字で現状を整理していただき、感情的にならずに判断できました。段階的に進めることで、父にも納得してもらうことができ、家族の関係も改善しました。
銀行員として相続の相談を受ける立場なのに、いざ自分のこととなると全く冷静になれませんでした。インターネットの情報だけでは判断できない部分がたくさんあり、早めに相談して本当に良かったです。夫との関係もギスギスしなくなり、子どもたちにも安心した表情を見せられるようになりました。
建物を解体することで年間の維持費が大幅に削減でき、父の介護費用にも余裕ができました。将来的には土地も売却する予定ですが、今は焦らず、父の状況を見ながら進めていけそうです。
担当者のコメント

恵子さんのように、親の介護と実家の管理に同時に直面するケースは近年非常に多くなっています。特に銀行員という職業柄、他人には冷静にアドバイスできても、自分の問題となると感情的になってしまうのは自然なことです。
今回のポイントは、すべてを一度に解決しようとせず、段階的なアプローチを取ったことです。建物の解体だけでも維持費を大幅に削減でき、家計の負担を軽減できました。また、ご家族それぞれの想いを丁寧に聞き取り、全員が納得できる解決策を見つけることができました。
負動産の問題は時間が経つほど解決が困難になります。維持費の負担や家族関係の悪化を防ぐためにも、早めの専門家への相談をお勧めします。
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