母の介護を一人で担い、いざ相続となった時に相続税や遺産分割で不安に。実家を守りながら兄弟円満に解決したい。
相談者様のプロフィール
宮田 美智子様(仮)52歳・女性
千葉県船橋市在住。地元信用金庫の融資課係長として24年間勤務、年収480万円。
夫(55歳・建設会社現場監督)、長男(25歳・IT企業勤務)、次男(22歳・大学生)の4人家族。
実弟は大阪在住の製薬会社営業部長(49歳)。78歳の実母を長年介護していたが、昨年12月に急性心不全で他界。
ご相談の内容
母の葬儀を終えた直後から、宮田様の不安は始まりました。実家の片付けを進める中で、母名義の預貯金が予想以上の1,200万円あることが判明。さらに船橋市内の実家(築35年、土地60坪)に加え、茨城県にある母の実家の農地(約300坪)も相続していたことを初めて知ったのです。
大阪在住の弟との遺産分割協議では「姉さんが介護してくれたから実家は当然もらって」と言われる一方、預貯金については「半分ずつが妥当では」と提案されました。宮田様は介護費用や実家の維持費を考えると複雑な気持ちになりました。
税務署から相続税の申告書類が届くと、不安は急激に高まりました。インターネットで調べても基礎控除額や計算方法が複雑で理解できず、職場の先輩から「相続で家を手放すことになった人もいる」という話を聞き、毎晩2時間ほど眠れない日が続きました。融資業務中もふと相続のことが頭に浮かび、書類の数字を見間違えることが増えていました。
夫からは「専門家に相談すれば」と言われましたが費用面が心配で、長男に電話相談すると「ネットで調べればわかるよ」と軽く言われ、世代間のギャップを感じました。市役所の無料相談も30分の時間制限で詳しく聞けず、書店で購入した相続本も専門用語が多く挫折。一人で抱え込むプレッシャーが日増しに大きくなっていました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
初回相談で、宮田様の財産状況を詳しくヒアリングしました。まず相続税について、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人2人=4,200万円)を説明し、遺産総額が約1,600万円程度であれば相続税は発生しないことをお伝えしました。これにより宮田様の最大の不安が解消されました。
次に茨城の農地について現地調査を行ったところ、農業委員会への手続きが必要な純農地でしたが、宅地転用の見込みは低く、固定資産税評価額も年間2万円程度と判明しました。
遺産分割については、宮田様の介護貢献を考慮した分割案を複数提示しました。最終的に、実家と茨城の農地を宮田様が相続し、預貯金1,200万円のうち800万円を宮田様、400万円を弟様が相続する案で兄弟が合意。介護への感謝の気持ちを形にできる分割となりました。
遺産分割協議書の作成から相続登記まで一貫してサポートし、弟様との円滑な調整も行いました。また、今後の相続税対策として生前贈与の活用方法もアドバイスしました。
相談者の声

相談前は相続税で実家を手放すことになるのではと毎晩不安で眠れませんでしたが、実際には相続税がかからないと分かりほっとしました。茨城の農地も価値がないと思っていたのですが、きちんと調査していただき現状を正確に把握できました。
弟との分割についても、私の介護への想いを汲んだ提案をしていただき、お互い納得できる形で解決できました。弟からも「専門家に入ってもらって良かった、姉さんが一人で悩まなくて済んで安心した」と言われ、兄弟関係も以前より良好になったように思います。
遺産分割協議書の作成も複雑でしたが、分かりやすく説明していただき、安心して任せることができました。母が大切にしていた実家を守ることができ、子どもたちにも資産を残せて本当に感謝しています。
担当者のコメント

宮田様は長年の介護で心身ともにお疲れの中、相続手続きへの不安を一人で抱え込んでいらっしゃいました。特に相続税への誤解が大きな不安の原因となっていたため、まず正確な情報をお伝えし、安心していただくことを最優先にしました。
遺産分割では、介護貢献を適切に評価しつつ、兄弟関係を良好に保てる分割案を慎重に検討しました。弟様とも直接お話しし、宮田様の介護への想いと今後の生活への配慮をご理解いただけるよう努めました。
相続は法律的な手続きだけでなく、家族の想いや関係性が複雑に絡み合います。専門知識とともに、依頼者様の心情に寄り添ったサポートが何より大切だと改めて感じた事例でした。
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