父が隠していた赤字投資物件を相続。借金1,200万円と息子の大学進学費用で家計が破綻寸前に
相談者様のプロフィール
山田健一さん(仮)、48歳、埼玉県川口市在住。
大手メーカー品質管理部課長代理、年収580万円、勤務年数24年。妻・美香さん(45歳・パート事務員)、長男・翔太くん(18歳・高校3年生、私立大学進学予定)、長女・あかりさん(15歳・高校1年生)の4人家族。
ご相談の内容
父親の突然死から3ヶ月後、相続手続きを進める中で衝撃的な事実が判明しました。父が生前「投資で老後資金を増やしている」と話していた千葉県市川市の中古アパート(築25年、6戸)が、実は毎月15万円の赤字を垂れ流していたのです。父は退職金1,500万円で購入したものの、空室率の高さと修繕費で5年間赤字が続き、預貯金を切り崩して補填していました。
相続財産を整理すると、不動産の残債1,200万円に対し現金・預金はわずか150万円。一方で長男の大学費用や住宅ローンの残債もあり、家計は火の車状態でした。妻の美香さんは「相続放棄すれば借金はなくなるけど、お父さんの実家も手放すことになる」と冷静に分析する一方、長男の翔太くんは「おじいちゃんの家がなくなるのは嫌だ」と感情的になり、家族会議は平行線をたどりました。
税理士から相続放棄の期限が迫っていると告げられ、健一さんは一睡もできない夜を過ごしました。「父さんがなんで相談してくれなかったんだ」という怒りと「俺がもっと話を聞いていれば」という後悔が交錯し、会社でも集中できない日々が続きました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
健一さんの状況を詳しくお聞きし、まず相続財産の詳細な調査を実施しました。不動産の現在価値、賃貸収支の改善可能性、売却時の見込み額を専門家と連携して算出した結果、物件の立地条件は悪くないものの、大規模修繕が必要で短期的な収支改善は困難と判断されました。
そこで、限定承認という選択肢をご提案しました。これにより相続財産の範囲内でのみ債務を承継し、健一さんの個人財産を守ることができます。同時に、不動産の売却を前提とした債務整理プランを策定し、金融機関との交渉をサポートしました。
売却活動では、投資用物件として購入を検討する買主を見つけ、残債を下回る価格での売却となりましたが、不足分については月々2万円の分割返済で金融機関と合意しました。さらに、お父様の実家については相続財産から除外し、健一さんが維持できるよう手続きを進めました。
相談者の声

正直、父の借金が発覚した時は絶望的な気持ちでした。息子の大学進学も諦めなければいけないのかと夜も眠れませんでした。でも、担当の方が限定承認という方法があることを教えてくれて、父の実家も守れると分かった時は本当に安心しました。
相続放棄しか選択肢がないと思い込んでいましたが、実際にはいくつかの解決方法があることを知り、無知の怖さを痛感しました。金融機関との交渉も一人では到底できませんでしたが、専門家のサポートがあったからこそ現実的な返済プランで合意できました。息子も来春から大学生になりますが、家計への影響を最小限に抑えることができ、家族みんなでほっとしています。
担当者のコメント

山田さんのケースは、親世代が子供に心配をかけまいと投資の実情を隠してしまい、相続時に大きな問題となった典型例です。限定承認は一般的に知られていない制度ですが、相続財産が債務超過の可能性がある場合には非常に有効な選択肢です。
特に重要だったのは、お父様の実家を守りながら投資用不動産の問題を解決できたことです。相続問題は感情的になりがちですが、冷静に法的な選択肢を検討し、家族の将来を最優先に考えることが大切です。一人で抱え込まず、早めに専門家にご相談いただければ、必ず解決の道筋が見えてきます。
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