現場事故で働けず労災給付に。道路付けの悪い戸建ての売却に苦戦も家族の未来を優先
相談者様のプロフィール
吉田裕一さん(仮)、34歳、東京都板橋区在住。
建設現場監督として8年間勤務していたが、2024年3月の転落事故により就労困難となり現在は労災給付を受給中。
妻・恵美さん(31歳・コンビニパート)、長女・莉子ちゃん(5歳・幼稚園年中)、次女・心音ちゃん(2歳・保育園)の4人家族。
事故前年収520万円から労災給付月額26万円に減少。
物件・ローンの情報
2020年購入の中古戸建て(3LDK・築15年)。
購入価格3,800万円、住宅ローン残債約3,200万円、月々返済額10万8千円。
幅員3.5mの私道に面し接道幅が狭く、最寄り駅徒歩18分の立地。現在査定額約2,400万円。
ご相談の内容
建設現場監督として働いていた裕一さんは、2024年3月の現場での足場点検中に高所から転落し、腰椎圧迫骨折と両足の複雑骨折という重傷を負いました。3ヶ月間の入院治療を経て退院しましたが、医師からは「現場での肉体労働は困難で、デスクワークへの転職が必要」との診断を受けました。
労災保険の給付は受けられるものの、建設業界一筋だった裕一さんにとってデスクワークへの転職は想像以上に困難でした。面接では「現場経験しか知らない」ことがハンデとなり、内定獲得に至らない状況が続いています。妻の恵美さんがコンビニでのパート時間を増やして家計を支えていますが、月々10万8千円の住宅ローン返済が重い負担となっていました。
決断のきっかけとなったのは、5歳の莉子ちゃんが「パパの足、もう痛くないの?お仕事できるの?」と心配そうに尋ねてきた時でした。娘の純粋な質問に明確に答えることができず、現実に向き合う必要性を強く感じました。翌日、恵美さんと将来について真剣に話し合い、このままでは家族全体が経済的に破綻してしまうという危機感から、専門家への相談に踏み切りました。
裕一さんは「自分の不注意で事故を起こし、家族を困らせてしまった」という強い自責の念を抱えており、特に恵美さんが深夜までコンビニで働く姿を見るたびに胸が苦しくなっていました。また、購入時は気にしていなかった物件の道路付けの悪さが、売却時には大きな問題になることへの不安も抱えていました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
裕一さんの労災事故による収入減少と身体的制約を総合的に検討した結果、現在の住宅ローン継続は現実的ではないと判断し、任意売却による解決をご提案しました。ただし、物件の立地条件(私道接道・駅徒歩18分)により売却活動の長期化が予想されるため、債権者には事前に状況を詳しく説明し、十分な売却期間の確保について理解を求めました。
売却活動では、道路付けの悪さという物件の弱点を正直に開示しつつ、価格面でのメリットを前面に打ち出す戦略を取りました。当初は近隣相場に近い価格設定で開始しましたが、3ヶ月間問い合わせが少なく、段階的な価格調整を実施。最終的に相場より15%程度低い価格まで下げることで、投資用物件を探していた買主からの申し込みを獲得しました。
並行して、裕一さんご家族の新居探しもサポート。子どもたちの通園先を変更することなく、かつ家賃負担を軽減できる物件として、同じ板橋区内の賃貸アパート(家賃7万5千円)をご紹介しました。売却完了まで6ヶ月を要しましたが、最終的に2,450万円で成約。残債務約700万円については、裕一さんの労災給付収入を考慮し、月々2万5千円の分割返済で債権者と合意に至りました。
相談者の声

事故の後遺症で思うように働けなくなり、家族に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。住宅ローンが払えなくなって、最初は途方に暮れていました。担当者の方は私の体の状況をよく理解してくださり、無理のないスケジュールで手続きを進めてくれました。
正直、家がなかなか売れなかった時は不安で眠れない夜もありましたが、その都度状況を説明してもらい、最後まで諦めずに買主を探してくれました。道路が狭くて条件の悪い家だったのに、きちんと売却できて本当に感謝しています。
今は賃貸住宅での生活ですが、住居費が大幅に下がったおかげで経済的な余裕ができました。子どもたちも同じ幼稚園と保育園に通えているので、環境の変化による負担も最小限で済みました。体の回復に専念しながら、新しい仕事探しも頑張っています。
担当者のコメント

労災事故による収入減少は、ご本人の意思とは無関係に起こる問題です。裕一さんは非常に責任感の強い方で、ご自分を責めがちでしたが、まずは治療と回復に集中していただくことが最優先でした。
物件の売却では、道路付けなどの立地条件が厳しく、当初の想定より時間がかかりましたが、価格調整と粘り強い販売活動により、最終的に適正な買主を見つけることができました。条件の厳しい物件でも、適切な戦略があれば必ず解決策は見つかります。労災や病気による収入減でお悩みの方は、一人で抱え込まず早めにご相談いただければと思います。
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