実家の相続と空き家管理で家計を圧迫。母の介護費用と維持費で毎月赤字に

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相談者様のプロフィール

吉田美香さん(仮)、42歳、神奈川県川崎市高津区在住。
医療機器メーカーの営業事務、年収420万円、勤続14年。夫の健一さん(45歳・IT企業勤務)、長男翔太君(14歳・中学2年)、長女彩花さん(11歳・小学5年)の4人家族。

ご相談の内容

美香さんは一人っ子のため、3年前に父親を亡くした後は、母親と実家の管理をすべて担ってきました。昨年10月、母親が自宅で転倒し大腿骨を骨折、入院中に認知症の症状が進行したため、退院後は長岡市内の介護付き有料老人ホームに入居することになりました。

実家が空き家となってからは、月に一度新幹線で通い家の管理をしていましたが、今年1月の大雪で雨樋が破損し雨漏りが発生。近所の方からの連絡で急遽修理を依頼したところ、費用は12万円に上りました。その後も水道管の凍結防止や庭木の剪定など、維持費用が続々とかさんでいきました。

決定的だったのは2月末の固定資産税納付書でした。年間15万円の税金に改めて驚愕し、母親の介護費用月額18万円と実家の維持費を合わせると、夫婦の貯蓄を切り崩す状況となっていました。息子の塾代や娘の習い事費用を削ることを考え始めた時、「このままではいけない」と相談を決意されました。

夫からは「売却も検討した方がいい」と言われましたが、美香さんは「母が戻りたいと言ったらどうしよう」「父との思い出の家を手放すなんて」という気持ちが強く、一人で判断することに大きなプレッシャーを感じていました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず、認知症の進行した母親の法定後見人申立てを司法書士と連携して進めました。これにより、母親に代わって美香さんが法的に不動産の処分権限を得ることができました。

並行して、実家の詳細な査定を実施。築45年という築古物件でしたが、長岡市内の比較的良好な住宅地にあるため、土地値として800万円程度の評価となりました。一方で、このまま空き家管理を続けた場合の年間費用を試算すると、固定資産税、光熱費、管理代行費用、修繕費等で年間約40万円が必要との結果でした。

美香さんの心情を考慮し、まず3ヶ月間の空き家管理サービスを利用して様子を見ることを提案。この期間中に母親の状況や美香さん家族の経済状況を総合的に検討していただきました。

3ヶ月後、母親の認知症症状に改善が見られず、美香さんも経済的負担の限界を感じられたため、売却の方向で進めることとなりました。地元の信頼できる不動産会社と連携し、約2ヶ月で750万円での売却が成立しました。

相談者の声

正直、実家を手放すことに対する罪悪感がありました。でも、専門家の方に「お母様のためにも、ご家族のためにも、適切な選択をすることが大切」と背中を押していただいたことで決断できました。

売却前に家族みんなで実家を訪れ、父や母との思い出を子どもたちと共有する時間を作れたのも良かったです。売却代金の一部は母の介護費用に充て、残りは子どもたちの教育費として貯蓄することができました。

何より、毎月の赤字状態から解放されたことで、心の余裕が生まれました。母に会いに行く時も、お金の心配をせずに済むようになり、純粋に母との時間を大切にできています。

担当者のコメント

美香さんのように、親の介護と実家の管理を同時に抱える方は非常に多く、経済的・精神的負担は計り知れません。感情的に手放しにくい実家ですが、適切なタイミングでの判断が、結果的にご家族全体の幸せにつながることが多いのです。

今回は法定後見人の申立てから売却まで、各専門家と連携してワンストップでサポートできたことが、スムーズな解決につながりました。相続や空き家の問題は一人で悩まず、早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。

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