母の認知症進行で実家が空き家に。兄との関係悪化で相続手続きも進まず、維持費負担に限界を感じた
相談者様のプロフィール
山田智子さん(仮)、42歳、神奈川県川崎市高津区在住。
地方銀行の融資課主任で年収480万円、勤務年数18年。夫(45歳・製造業営業部長)、長女(16歳・高校生)、次女(13歳・中学生)の4人家族。
実母(73歳)は軽度認知症で高齢者住宅に入居。実兄(48歳)とは10年前から疎遠状態。
相続物件情報
千葉県市原市の実家(築40年戸建て、土地面積200坪)。
3年前に父親が他界し、現在空き家状態。固定資産税年額18万円、維持管理費月額3万円程度。
ご相談の内容
智子さんは銀行員として不動産担保業務に携わっているため、空き家リスクを人一倍理解していました。母親の認知症が進行し、川崎の高齢者住宅に入居してから実家が完全に空き家となり、「このまま放置すれば資産価値がどんどん下がる」という焦りで夜も眠れない日々が続きました。
最大の悩みは、10年前に父親と大喧嘩して疎遠になった兄の存在でした。相続手続きには兄の同意が必要ですが、電話をかけても「面倒なことは智子に任せる。印鑑証明だけは送る」という冷たい反応。法的には問題ないものの、家族としての温かみのない対応に深く傷つきました。
不動産会社3社に査定を依頼したところ、想定より500万円も安い査定額に愕然。父親が大切にしていた家への愛着と、現実的な維持費負担の間で心が揺れ動きました。長女からは「おばあちゃんの家がなくなるの寂しい」と言われ、家族全体が複雑な感情を抱えていました。
インターネットで情報収集を重ねましたが、相続登記や譲渡所得税の複雑な仕組みに混乱し、特に「居住用財産の3,000万円控除」の適用条件について正しく理解できずにいました。
相談所からのご提案・解決までの流れ
まず智子さんの複雑な家族関係と心情を丁寧に伺い、相続不動産の売却に関する正しい知識をお伝えしました。特に「居住用財産の3,000万円控除」は被相続人が住んでいた家屋であれば適用可能であることを説明し、税負担への不安を軽減しました。
兄との関係については、直接的な修復は困難と判断し、法的手続きを円滑に進める方法を提案しました。司法書士との連携により、最小限の書類で相続登記を完了させる段取りを整えました。
売却戦略では、3社の査定額を詳細に分析し、立地条件と今後の市場動向を考慮して適正価格を設定。また、智子さんの希望である「父親が愛した庭の植木の移植」についても、買主候補との交渉材料として活用することを提案しました。
売却活動は約3ヶ月で完了し、当初の査定額より150万円高い価格での売却を実現。売却益の一部を母親の介護費用に充て、残りを教育資金として確保する資金計画も策定しました。
相談者の声

銀行員として不動産の知識はあると思っていましたが、いざ自分の問題になると感情的になってしまい、冷静な判断ができませんでした。特に兄との関係で一人で悩んでいた時間が本当に辛く、もっと早く相談していれば良かったと思います。
担当者の方が家族の気持ちを理解してくださり、単なる売却手続きではなく、私たち家族の将来まで考えたご提案をいただけました。父の庭の植木を一部でも移植できたことで、長女も納得してくれました。売却後は維持費の負担がなくなり、母の介護に専念できる環境が整いました。
担当者のコメント

智子さんは専門知識をお持ちでしたが、身内のことになると客観視が難しく、特に兄弟関係の複雑さが手続きの障壁となっていました。相続不動産の問題では、法的な解決だけでなく、家族の感情面への配慮が重要です。
今回は智子さんの「家族への愛情」を軸に、現実的な解決策と心情面でのサポートの両方を提供しました。相続問題は時間が経つほど複雑化するため、家族間の意見調整が困難でも、専門家を交えることで円満な解決が可能です。一人で抱え込まず、早めのご相談をお勧めします。
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