夫のモラハラで離婚決意も子供の受験・進学を優先。夫名義の自宅に住み続けることに

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相談者様のプロフィール

山田直美さん(仮)、36歳、埼玉県新座市在住。
介護施設の相談員で、年収は350万円。勤務年数7年。
夫(38歳・製造業管理職・年収550万円)、長男(14歳・中学2年生)、長女(12歳・小学6年生)の4人家族。

【物件・ローンの情報】
8年前に購入した4LDKの新築一戸建て(購入価格3,600万円)。
住宅ローン残債は約2,700万円(月々8万円返済)。夫の単独名義。
現在の査定価格は約3,100万円。

ご相談の内容

直美さんは8年前、夫と共に新座市に念願のマイホームを購入しました。当時は夫の収入も安定しており、直美さんは時短勤務で家事・育児に専念する理想的な生活でした。

しかし2年前から夫の性格が変わり、些細なことで怒鳴るようになりました。「お前の稼ぎじゃ何もできない」「俺が養ってやってる」などの暴言を子供たちの前でも平気で繰り返すように。直美さんは精神的に追い詰められ、心療内科に通院するまでになりました。

決定的だったのは4ヶ月前の出来事でした。長男の健太が友達を家に呼んだ際、夫が些細なことで激怒し、健太の前で直美さんに「この役立たずが」と罵声を浴びせました。健太は友達の前で恥ずかしい思いをし、それ以降友達を家に呼ばなくなりました。長女の美咲も「お父さんが怖い」と言うようになり、直美さんは子供たちのために離婚を決意しました。

しかし、健太は来年受験を控えて地元の公立高校を志望しており、美咲も来年中学進学という大切な時期でした。転居による転校は絶対に避けたい状況でした。夫は「俺名義の家だから出て行け」と主張し、直美さんの年収では住宅ローンの引き継ぎも不可能でした。

「夫名義の家なので自分には権利がない」「住宅ローンの名義変更は不可能」と思い込んでいた直美さんは、夜中に子供たちの寝顔を見ながら「どうすれば良いのか」と涙が止まらない日々を過ごしていました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

直美さんからご相談をいただいた際、まず「夫名義でも財産分与の対象になる」「住み続ける方法はいくつかある」ことを詳しくご説明しました。特に、お子様の受験・進学という特別な事情を最優先に考慮した解決策を検討しました。

家の査定価格3,100万円からローン残債2,700万円を差し引くと、約400万円の資産価値があることが判明。この半分の200万円が直美さんの財産分与分として計算できることをお伝えしました。

具体的な解決策として、夫が家を出て直美さんと子供たちが住み続ける代わりに、財産分与として受け取るべき200万円を放棄する提案を行いました。住宅ローンは引き続き夫名義のまま夫が支払い、直美さんは夫に対して月5万円の家賃相当額を支払う取り決めにしました。

養育費については月8万円を確保し、実質的に家賃相当額と相殺する形で調整。子供たちが成人するまでの期間限定という条件で、夫側も最終的に合意しました。将来的には家の売却または直美さんが退去することも取り決めに含めました。

相談者の声

最初は夫名義の家なので諦めるしかないと思っていました。住宅ローンの引き継ぎも不可能でしたし、子供たちには転校させたくないけれど現実的には無理だと感じていました。

相談所の方が「お子様の受験・進学を最優先に考えましょう」と言ってくださったときは、本当に救われた気持ちでした。財産分与を放棄することで住み続けられるという提案は、目から鱗でした。

夫との交渉も、感情的にならずに「子供たちの福祉を最優先」という視点で進めてくださったおかげで、思っていたよりもスムーズに合意できました。健太も美咲も転校せずに済み、受験勉強と中学進学に集中できる環境を維持できて本当によかったです。

家族の形は変わりましたが、子供たちが安心して暮らせる環境を守れたことが何より嬉しいです。

担当者のコメント

直美さんは本当に子供思いの優しいお母様でした。ご自身の権利よりもお子様たちの教育環境を最優先に考えられており、そのお気持ちを最大限尊重した解決策を模索しました。

夫名義の不動産でも、婚姻期間中に形成された財産として財産分与の対象になります。今回のケースでは、お子様の受験・進学という特別事情があったため、財産分与の方法を工夫することで住み続けることを実現できました。

離婚時の住居問題は、特にお子様がいる場合には教育環境の継続性が重要な要素となります。経済的な制約があっても、創意工夫によって最適な解決策は必ず見つかります。一人で悩まず、ぜひ専門家にご相談ください。

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