夫の不倫による離婚で共有名義マンション売却。妻の親からの頭金800万円をめぐって対立

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相談者様のプロフィール

高橋雅子さん(仮)、38歳、東京都練馬区在住。
大手化粧品会社の営業事務職で、年収は420万円。勤務年数12年。
夫(40歳・IT企業SE・年収580万円)、長女(10歳・小学4年生)の3人家族。

【物件・ローンの情報】
5年前に購入した3LDKのマンション(購入価格4,200万円)。
住宅ローン残債は約3,100万円。夫婦の共有名義(持分5:5)。
頭金1,200万円のうち800万円は雅子さんの両親からの援助。

ご相談の内容

雅子さんは5年前、夫と共に念願のマンションを購入しました。頭金1,200万円のうち800万円は雅子さんの両親が「娘夫婦の幸せのため」と快く援助してくれました。贈与税対策として雅子さん名義での贈与でしたが、マンションは夫婦の共有名義で登記しました。

3ヶ月前、夫の同僚女性との不倫が発覚し、雅子さんは離婚を決意しました。夫は一度は謝罪したものの、財産分与については「共有名義なので売却益も半分ずつが当然」と主張。一方、雅子さんの両親は「私たちが出した800万円分は雅子が受け取って当然」と強く反発し、完全に対立状態となりました。

父からは連日電話があり「弁護士を雇って徹底的に戦うべき」と言われる一方、夫からは「君の両親は金の話ばかりする」と批判され、雅子さんは完全に板挟み状態でした。10歳の長女も両親の不仲を察知しており、「パパとママはなんで喧嘩ばかりするの?」と涙目で聞かれた時は、胸が締め付けられる思いでした。

職場では普段通りに振る舞っていましたが、集中力が続かず、昼休みに一人でいると涙が出てきてしまう状況でした。現在の年収では娘と二人での生活維持は困難で、転校の可能性もあり、将来への不安は増すばかりでした。

「贈与分は自動的に自分のものになる」と思い込んでいましたが、ネットで調べても複雑すぎて理解できず、専門家に相談する決意をしました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

雅子さんからご相談をいただいた際、まず贈与と共有名義の関係について詳しくご説明しました。「贈与分も含めて共有財産として扱われるのが原則」だが、「贈与の経緯や目的によっては特別受益として考慮される可能性がある」ことをお伝えしました。

マンションの査定を実施し、現在の市場価値が約3,800万円であることを確認。売却益は約700万円が見込まれることが判明しました。夫の不倫という有責行為があることも踏まえ、財産分与において雅子さんに有利な条件での交渉を提案しました。

両親の援助分800万円について、完全な返還は困難でも、特別受益として一定の配慮を求める方向で調整を進めました。夫との直接交渉では感情的になりがちなため、第三者を介した冷静な話し合いの場を設定しました。

最終的に、売却益700万円のうち450万円を雅子さんが、250万円を夫が受け取る形で合意が成立。養育費月5万円も確保できました。同じ学区内での賃貸物件探しもサポートし、長女の転校を避けることができました。

相談者の声

共有名義にしてしまった以上、両親からの援助分も半分は夫のものになってしまうのかと絶望的な気持ちでした。両親も激怒していて、弁護士を雇って裁判も辞さない構えでしたが、娘のことを考えると長期化は避けたいと思っていました。

相談所の方が「贈与の経緯も含めて総合的に判断される」と説明してくださり、完全に諦める必要はないことが分かって安心しました。夫の不倫という事情も考慮していただき、思っていたよりも有利な条件で解決できました。

両親も最初は納得していませんでしたが、「娘と孫の新しい生活のスタート資金になれば」と最終的に理解してくれました。娘も転校せずに済み、友達関係も維持できて本当によかったです。

担当者のコメント

今回のケースは、親族間の贈与が絡む複雑な事例でした。雅子さんは娘思いの優しい方で、ご両親との関係も大切にされており、できるだけ円満な解決を望まれていました。

贈与分の扱いは法的に複雑な問題ですが、不倫という有責事由や、お子様の福祉を最優先に考えることで、単純な半分割りではない合理的な解決に導くことができました。感情的な対立が激化しがちなケースでしたが、冷静な第三者の視点で調整することの重要性を改めて感じました。

親族からの援助が絡む不動産の財産分与でお悩みの方は、諦めずに専門家にご相談ください。個別の事情を丁寧に検討すれば、必ず納得できる解決策が見つかります。

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