最愛の妻を亡くしうつ病を発症。住宅ローンが払えなくなり差し押さえが心配になった

相談者様のプロフィール

吉田正雄さん(仮)、64歳、埼玉県さいたま市浦和区在住。
製造業で品質管理責任者として36年間勤務していたが、現在はうつ病のため休職中。
3年前に最愛の妻・和子さんを癌で亡くし、独身。子どもはなし。

物件・ローンの情報
2010年に購入した築15年の戸建て住宅(4LDK・敷地面積120㎡)。住宅ローン残債約1,650万円、月々の返済額8万7千円。
現在の物件評価額は約1,400万円で、約250万円のオーバーローン状態。

ご相談の内容

正雄さんの人生は2022年春に大きく変わりました。結婚32年目で妻・和子さんが膵臓癌で他界。闘病中は看病のため休暇をフル活用し、治療費や入院費で貯金200万円を使い切りました。「二人で老後を過ごすため」に購入した思い出の家で、突然一人きりの生活が始まったのです。

和子さんが使っていた部屋をそのまま残し、毎日仏壇に話しかける日々が続きました。食欲不振、不眠、集中力低下などの症状が現れ、会社での業務に支障をきたすように。同僚から心配されても「大丈夫です」と答えるのが精一杯でした。出勤しても机に座っているだけで何も手につかず、遅刻や欠勤も増加。上司の勧めで心療内科を受診し、「うつ病」と診断されました。

2023年春から傷病手当金での生活が始まりましたが、月収が32万円から21万円に減少。住宅ローンの返済が家計を圧迫し、食費や光熱費を切り詰めても毎月2万円程度の赤字が続きました。2024年夏にはついに住宅ローンの支払いが1ヶ月遅延。「和子がいたら、こんなことには…」と自分を責める日々でした。

3ヶ月目の滞納で銀行から「法的措置を検討する」という通知が届いたとき、ネットで「競売」について調べるうち、「家を追い出される」「近所に知られる」という情報に恐怖を感じ、外出もままならなくなりました。心療内科の医師から「環境を変えることも治療の一つ」とアドバイスを受け、「和子のためにも、きちんと整理しよう」と専門家への相談を決意されました。

相談所からのご提案・解決までの流れ

まず正雄さんの心身の状態を最優先に考慮し、無理のないペースで手続きを進めることをお約束しました。現在の収入状況とオーバーローン状態を詳細に分析し、競売を避けるためには任意売却が最適解であることをご説明しました。

特に配慮したのは、正雄さんの心理的負担を最小限に抑えることです。奥様との思い出の品々の整理については、無理に急がず十分な時間を確保。仏壇や大切な家具については、新居への移転方法も含めて具体的にご提案しました。

債権者との交渉では、正雄さんの病気療養中である事情を詳しく説明し、競売手続きの停止と任意売却への同意を取り付けました。売却活動は3ヶ月間で完了し、1,400万円で成約。残債250万円については、傷病手当金終了後の生活設計を考慮し、月1万5千円の無理のない分割返済で合意しました。

新居は同じ市内のバリアフリー対応の1LDK賃貸マンション(家賃5万5千円)をご紹介。病院への通院にも便利で、管理人常駐のセキュリティ面も安心な物件を確保できました。売却で得た手持ち資金により、当面の生活費も確保し、治療に専念できる環境を整えました。

相談者の声

和子を亡くしてから、この家にいることが辛くもあり、でも思い出を手放すのも辛くて、どうしていいか分からませんでした。担当の方が「奥様との思い出は家ではなく、正雄さんの心の中にあります」と言ってくださったとき、少し気持ちが楽になりました。

任意売却というと冷たい印象でしたが、実際は病気の私のペースに合わせて進めてくれました。仏壇や和子の写真、二人で選んだ食器なども新しい住まいに持参でき、和子も安心していると思います。

新しいマンションは管理人さんもいて、一人暮らしには心強いです。家賃も安くなったので、治療費の心配も減りました。残債の返済も無理のない金額で、「これなら完済できる」と希望が持てます。担当の方に「和子さんもきっと正雄さんの新しいスタートを応援していますよ」と言っていただき、前向きに考えられるようになりました。

担当者のコメント

正雄さんは大きな喪失を経験され、心身ともに非常に辛い状況でした。このようなケースでは、経済的な解決だけでなく、相談者様の心情に寄り添うことが最も大切だと考えています。

うつ病などの精神的な病気を患っている方の任意売却では、無理のないスケジュールと心理的負担への配慮が不可欠です。正雄さんの場合も、奥様との思い出を大切にしながら、新しい環境での生活再建を支援することを心がけました。

病気療養中で収入が減少している状況でも、債権者との適切な交渉により現実的な解決策を見つけることは可能です。一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。心身の健康を第一に、一緒に最善の道を探しましょう。

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