【離婚】連帯保証人は解除できる?住宅ローンなどから外れるための方法と注意点を解説
2025.09.10
離婚を機に「連帯保証人から外れたい」と考える方は多いものです。しかし、離婚届を提出するだけでは連帯保証人の責任は消えません。元配偶者が住宅ローンや事業資金の返済を滞納した場合、あなたに突然請求が来る可能性があります。
この記事では、離婚時に連帯保証人を解除するための具体的な方法と、解除が困難な場合の対処法について詳しく解説します。適切な手続きを踏むことで、将来のリスクを回避し、新しい生活を安心してスタートできるようになるでしょう。
【結論】離婚しても連帯保証人の責任は消えない!まず知っておくべき基本

離婚と連帯保証人の関係について、多くの方が誤解を抱いています。結論から言うと、離婚届を提出しただけでは連帯保証人の責任は一切なくなりません。連帯保証契約は夫婦関係とは別の法的な契約であり、離婚による夫婦関係の解消とは無関係に継続します。
連帯保証人とは?保証人との違い
連帯保証人は、主債務者(借りた本人)と同等の返済責任を負う立場です。通常の保証人と異なり、債権者(金融機関など)は主債務者への請求を行わず、いきなり連帯保証人に返済を求めることができます。
また、連帯保証人は「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」を持ちません。これは「まず本人に請求してください」「本人の財産を差し押さえてから請求してください」と言えないことを意味しており、保証人よりもはるかに重い責任を負うことになります。
なぜ離婚だけでは連帯保証人を解除できないのか
連帯保証契約は、債権者と連帯保証人の間で結ばれた独立した契約です。この契約は夫婦関係の有無に関わらず有効であり、離婚によって自動的に解消されることはありません。
債権者にとって連帯保証人は重要な担保であり、一方的な解除を認めてしまうと貸し倒れリスクが高まります。そのため、連帯保証人を解除するためには債権者の同意が必要となり、代替の担保を提供するなどの条件を満たす必要があるのです。
離婚後も連帯保証人のままでいる3つのリスク

連帯保証人の地位を放置することは、将来にわたって深刻なリスクを抱え続けることを意味します。元配偶者との関係が良好であっても、経済状況の変化によって突然トラブルに巻き込まれる可能性があります。
リスク1:元配偶者の滞納で突然あなたに請求が来る
元配偶者が住宅ローンや事業資金の返済を数ヶ月滞納すると、金融機関からあなたに返済の催促が届きます。連帯保証人には催告の抗弁権がないため、「まず本人に請求してください」と拒否することはできません。
例えば、月額10万円の住宅ローンを6ヶ月分滞納された場合、60万円の一括返済を求められることになります。さらに遅延損害金も加算されるため、実際の請求額はより高額になる可能性があります。
リスク2:自己破産されると、残債が一括で請求される
元配偶者が自己破産した場合、残りの債務全額があなたに請求されます。住宅ローン残高が2000万円残っていれば、その全額の返済義務があなたに移ります。
自己破産によって元配偶者の債務は免責されますが、連帯保証人の責任は消滅しません。むしろ、主債務者がいなくなったことで、あなたが実質的な債務者となってしまうのです。
リスク3:【住宅ローンの場合】家を失う可能性がある(競売)
住宅ローンの連帯保証人になっている場合、返済が滞ると担保となっている不動産が競売にかけられる可能性があります。特に夫婦で共有名義にしている場合、あなたの持分も含めて競売の対象となります。
競売では市場価格の6〜7割程度でしか売却されないことが多く、売却後も多額の残債が残るケースがあります。結果として、家を失った上に多額の債務を負うという最悪の事態に陥る危険性があるのです。
離婚時に連帯保証人を解除するための4つの具体的な方法

連帯保証人を解除するためには、債権者の同意を得る必要があります。そのためには、債権者にとって不利益とならない代替手段を提示することが重要です。以下の方法を検討してみましょう。
方法1:代わりの連帯保証人を立てる
最も一般的な方法は、あなたの代わりとなる連帯保証人を立てることです。元配偶者の親族や信頼できる第三者に連帯保証人になってもらい、債権者に承認を得ます。
新しい連帯保証人は十分な収入と資産を持っている必要があります。金融機関は新しい保証人の信用情報や年収、勤続年数などを厳格に審査するため、条件を満たす人を見つけることが課題となります。また、引き受けてくれる人がいても、その人に大きな負担をかけることになる点も慎重に検討する必要があります。
方法2:別のローンへの借り換えをしてもらう
元配偶者が単独で新しい金融機関からローンを組み直し、既存の債務を完済する方法です。この場合、新しいローンにはあなたが連帯保証人として関与しないため、完全に責任から解放されます。
ただし、元配偶者の単独での借り換えが可能かどうかは、年収や信用状況によって左右されます。離婚によって世帯年収が減少している場合や、既に他の借入がある場合は、借り換え審査に通らない可能性もあります。
方法3:担保となっている不動産を売却する
不動産を売却してローンを完済し、連帯保証関係を解消する方法です。任意売却を活用すれば、競売よりも高値での売却が期待でき、残債を最小限に抑えることができます。
売却時期や価格設定が重要なポイントとなります。市場相場を適切に把握し、できるだけ高値で売却することで、売却後の残債を減らすことができるでしょう。ただし、売却価格がローン残高を下回る場合(オーバーローン)は、差額分の処理について事前に話し合っておく必要があります。
方法4:その他の資産(預貯金など)で一括返済する
元配偶者が預貯金や株式などの資産を活用して債務を一括返済する方法です。退職金や相続財産がある場合には、この方法が有効な選択肢となります。
一括返済によって利息負担を軽減できるメリットもありますが、手元資金がなくなることで生活に支障が出る可能性もあります。将来の生活設計を十分に検討した上で判断することが大切です。
連帯保証人の解除が難しい場合の対処法
すべてのケースで連帯保証人を解除できるわけではありません。解除が困難な状況でも、将来のリスクを軽減するための方法があります。これらの対処法を活用して、可能な限り自分自身を保護しましょう。
離婚協議書(公正証書)で求償権について明記する
連帯保証人として返済した金額は、主債務者である元配偶者に対して求償権として請求できます。この権利を確実に行使できるよう、離婚協議書や公正証書に明確に記載しておくことが重要です。
具体的には「甲(元配偶者)の債務について乙(あなた)が連帯保証人として返済した場合、甲は乙に対してその全額を直ちに返済する」といった条項を盛り込みます。公正証書にすることで、将来的に強制執行も可能になるため、より確実な保全策となるでしょう。
債務整理を検討する
どうしても返済が困難な場合は、債務整理を検討する必要があります。個人再生や自己破産などの法的手続きによって、債務負担を軽減したり免責を受けたりすることができます。
ただし、債務整理には信用情報への影響や職業制限などのデメリットもあります。弁護士や司法書士と相談して、あなたの状況に最も適した方法を選択することが重要です。早めに専門家に相談することで、より多くの選択肢を検討できるようになります。
連帯保証人の解除に向けた手続きの進め方と相談先

連帯保証人の解除を成功させるためには、適切な順序で手続きを進める必要があります。関係者との調整や交渉を円滑に進めるため、専門家の協力を得ながら計画的に取り組みましょう。
STEP1:まずは債権者(金融機関)に相談
最初に債権者である金融機関に連帯保証人解除の意向を伝え、どのような条件であれば解除が可能かを確認します。金融機関によって方針が異なるため、具体的な要求事項を把握することが重要です。
相談時には、解除理由(離婚)と代替案を整理して臨みましょう。単に「解除したい」と伝えるだけでは前向きな回答は得られません。代わりの連帯保証人の候補や借り換えの可能性など、具体的な提案を用意しておくことで、建設的な協議ができるようになります。
STEP2:離婚問題に詳しい弁護士・司法書士に相談
離婚に伴う連帯保証人の問題は複雑な法的判断が必要になるため、専門家のサポートが不可欠です。離婚問題に精通した弁護士や司法書士に相談し、最適な解決策を検討してもらいましょう。
専門家は債権者との交渉代理や離婚協議書の作成なども担当できるため、手続き全体をスムーズに進めることができます。初回相談は無料で実施している事務所も多いので、複数の専門家から意見を聞いて比較検討することをお勧めします。
STEP3:【不動産が絡む場合】任意売却などに対応できる不動産会社に相談
住宅ローンの連帯保証人で不動産売却を検討している場合は、任意売却に対応できる不動産会社への相談も必要です。任意売却は通常の売買とは異なる専門知識が必要なため、経験豊富な業者を選ぶことが重要です。
任意売却専門の不動産会社は、債権者との調整や売却戦略の立案なども行います。競売と比較してより有利な条件で売却できる可能性が高いため、早めに相談することで選択肢を広げることができるでしょう。
よくある質問(Q&A)

Q1: 離婚調停や裁判で連帯保証人の解除を命じてもらえますか?
A: 家庭裁判所は夫婦間の財産分与や親権などについては判断できますが、連帯保証契約は債権者との間の契約のため、裁判所が一方的に解除を命じることはできません。
ただし、離婚調停や審判の中で「元配偶者が連帯保証人解除に向けて努力する」「代替手段を講じる」といった取り決めを盛り込むことは可能です。この場合でも、最終的には債権者の同意が必要となる点は変わりません。
Q2: 連帯保証人になっていることを忘れていました。時効はありますか?
A: 連帯保証債務に時効はありますが、主債務者が返済を続けている限り時効は更新され続けます。また、債権者からの催告や裁判上の請求によっても時効は中断(更新)されます。
住宅ローンのように長期間の契約では、完済まで時効が成立する可能性は極めて低いと考えられます。時効を期待するのではなく、積極的な解決策を検討することをお勧めします。
Q3: 元配偶者が勝手に追加借入をした場合も責任を負いますか?
A: 連帯保証契約の範囲内であれば、あなたの同意なく追加借入が行われても連帯保証責任は発生します。ただし、契約書で保証限度額が設定されている場合は、その範囲内での責任となります。
根保証契約(継続的な取引の保証)の場合は特に注意が必要です。離婚後は速やかに保証契約の見直しや解除を検討し、新たな借入に対する責任を回避することが重要です。
Q4: 連帯保証人を解除できないなら、せめて元配偶者の借入状況を知ることはできますか?
A: 連帯保証人には債権者に対して債務の履行状況を問い合わせる権利があります。返済状況や残高について定期的に確認することで、リスクを早期に把握できます。
ただし、プライバシーの観点から詳細な取引履歴まで開示されるとは限りません。重要なのは滞納の有無や残債額などの基本的な情報を定期的にチェックすることです。
Q5: 自分が住宅ローンを組む際に、他の連帯保証債務は影響しますか?
A: 既存の連帯保証債務は新規借入審査に大きく影響します。金融機関は連帯保証債務を潜在的な債務として評価するため、借入可能額が減少したり、審査に通らない可能性があります。
信用情報機関に照会すれば、あなたの連帯保証債務も記録されています。新しい住宅ローンを組む予定がある場合は、事前に既存の連帯保証関係を整理しておくことが賢明です。
Q6: 元配偶者が海外に移住した場合、連帯保証人の責任はどうなりますか?
A: 主債務者が海外に移住しても、連帯保証人の責任は消滅しません。むしろ、海外にいる債務者への督促が困難になるため、債権者はより早い段階で連帯保証人に請求してくる可能性があります。
国際的な債権回収は複雑で費用もかかるため、金融機関は国内にいる連帯保証人から回収を図ろうとします。元配偶者の海外移住が決まっている場合は、移住前に連帯保証関係の整理を急ぐ必要があります。
Q7: 連帯保証人解除の手続きにはどのくらいの費用がかかりますか?
A: 費用は選択する方法によって大きく異なります。代替保証人を立てる場合は金融機関の事務手数料(数万円程度)、弁護士に依頼する場合は30〜50万円程度が一般的です。
任意売却を伴う場合は仲介手数料(売却価格の3%程度)、公正証書作成には数万円の費用がかかります。初期費用を抑えたい場合は、まず金融機関との直接交渉から始めることをお勧めします。
Q8: 元配偶者が自己破産する前に、連帯保証人として何か準備できることはありますか?
A: 元配偶者の自己破産が予想される場合は、速やかに法律専門家に相談することが重要です。破産手続きが開始される前であれば、任意売却による債務圧縮や、あなた自身の債務整理の準備が可能な場合があります。
また、元配偶者からの求償権を確保するため、公正証書や債務承認書などの書面を整備しておくことも有効です。破産後では回収が困難になるため、事前の対策が極めて重要となります。
【まとめ】連帯保証人を解除方法とできること
離婚しても連帯保証人の責任は自動的には消滅しません。放置していると、元配偶者の返済滞納によって突然高額な請求を受けるリスクがあります。
連帯保証人を解除するためには、代替保証人の確保、借り換え、不動産売却、一括返済などの方法があります。解除が困難な場合でも、離婚協議書での求償権明記や債務整理による負担軽減が可能です。
最も重要なのは早めに行動することです。債権者、法律専門家、不動産会社など関係者と連携を取りながら、あなたの状況に最も適した解決策を見つけましょう。新しい人生を安心してスタートするためにも、連帯保証人の問題を先送りせず、積極的に取り組むことをお勧めします。
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